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2024年10月10日【ESG】

イー・ロジット、自動倉庫システムの本稼働を開始

坂上 賢治

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Eコマース領域のBPOサービス&コンサルティングサービスを提供するイー・ロジット、同社と資本提携契約を結ぶRENATUS ROBOTICS Inc. (RENATUS社/本社:米カリフォルニア州) の両社が進めていた自動倉庫システム「RENTUS」の第一号機が、9月27日より本格稼働を開始したことを(10月10日)明らかにした。

 

ちなみに自動倉庫システムとは、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理するオートメーションシステムのことを指す。そこには、ピッキングの生産性を向上させるためのピッキングシステムや、保管効率を高めるための電動ラックシステム、倉庫内作業をシステム管理するための倉庫管理システム(WMS)など、取扱い貨物の性質や区画サイズ、立地環境等などの多様な形態がある。

 

ただいずれにしても、上記両社がこれまで自動倉庫システムの本格稼働を目指していた背景には、「最低賃金の引き上げ」、「少子高齢化」などの社会的要因を受け、人件費の高騰は避けられないこと、人材の確保がますます困難な状況となることが挙げられる。

 

加えて何よりも「早く届くことが当たり前」とされる昨今のEC・物流業界にとっては、ドライバー不足という課題は重く、その深刻さが年を追う毎に確実に増していく。

 

それに対して日本国内の運送会社はドライバーの待機時間を削減するべく配送トラックへの荷物の引き渡し業務の切り離しを推し進めており、これを受けて倉庫側は一層の業務スピードの加速化と効率性が求められている。

 

 

今回の両社は、直面するEC・物流業界の課題解消取り組むための布石の一歩として、自動倉庫システム「RENATUS」の一号機を埼玉草加センターへ導入。実機の本稼働に向けて漕ぎ着けたところだ。

 

現状に於ける実証テストとその成果は以下の通り

 

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・単体テスト
・システム連携テスト
・実際のオペレーションを想定した実証テスト

 

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<主なテスト内容>
1.入庫から格納まで
入庫時のデータ入力や格納スピード、スムーズな格納の動きが取れているか

 

>テスト内容

 

– 空トート(商品を入れる折り畳みコンテナ)が正しく入庫されるかの確認
– RENATUSステーション(ピッキング作業するスペース)に空トートをセットし、棚へ自動に入庫されるか
– WMS(倉庫管理システム)の入荷作業情報がRENATUSへ連携されるかの確認
– 入荷商品の採寸と撮影を行い、WMSで員数検品とトートを紐付けしRENATUSへデータ連携
– RENATUSへ連携されたトートが正しく反映され、入庫されるかの確認
– 検品されたトートをRENATUSステーションにセットし、トート内の商品情報が正しく反映され棚へ自動入庫されるか

>結果:WMSと連携され、データが正しく反映されていること、ステーションにトートを置く事でRENATUSへの自動入庫がスムーズに実行できていることが確認された。

 

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2.ピッキングから梱包まで

>テスト内容

 

– WMSからの出荷情報が正しく連携されているかの確認
– WMSから出荷情報を連携し、RENATUSステーションに出荷対象商品が出庫され、ステーションUIでピックする商品およびピック数が正しく表示されるか
– ピッキングが正しくできるかの確認
– ステーションUI上に表示された出荷対象商品を、トートから正しい数ピックし、出荷用の箱へ正しく投入できるか
– ピッキング完了後に、正しく納品書が発行されるかの確認
– ステーションでオーダー単位のピッキングが完了した後、正しく納品書が出力・印刷されるか
– 納品書の投入後、封函ラインでの自動封函・送り状貼付確認
– 納品書の投入完了後に、出荷箱が自動で封函ラインへ押し出され、自動封函および運送会社の送り状の印字・自動貼付けが行われるか

 

>結果:必要なアイテムが迅速かつ正確にピッキングされているか、その後の自動封函送り状貼付けまでのプロセスがスムーズに実行できるか確認できた。

 

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<テストの結果得られた定量的な指標>
1.処理スピード

– 出荷
ピッキング、検品、梱包をワンストップでステーションで行ったうえで300行/h以上の出荷効率を達成した。

 

– 入庫
検品済みの箱を直接入庫するトート入庫により、1ステーションで300トート/h 以上の入庫効率を達成した。

 

2.効率化
入庫から格納、ピッキングから梱包までの一連の流れが一元化され全体の作業効率が80%以上改善された。

 

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今後の展望
今回の検証により、自動倉庫システム「RENATUS」は、保管効率の最大化と出荷作業における生産性向上を実現し、EC・物流業界が抱える課題の解決に貢献できるものであることが確認できたという。

 

上記を踏まえ今後は、「RENATUS」がワンストップで対応する棚入れ~保管~ピッキング~自動封函・宛名貼付け以外の前後工程にも各種のマテハン機器を導入しながら、当社が持つ20年以上のノウハウと、最先端のロボットのシナジーを最大限に活かすことで倉庫内の自動化・オペレーションの最適化を目指す。

 

また埼玉草加センター内の「RENATUS」は、数少ない『デモ環境ではない実オペレーションに自動倉庫が組み込まれたショールーム』 としての機能も果たす。

 

「RENATUS」を始めとした最先端マテハンの提供を当社の既存事業である3PL、物流コンサルティングに続く革新的なサービスとして、自社倉庫を構える事業者、ディベロッパーなど、高効率なフルフィルメントセンターの立上げ・運営を目指す企業様への自動化ソリューションを提供し、物流全体の効率化とECの進化に貢献していくと結んでいる。

 

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RENATUS ROBOTICS Inc. 
社名:RENATUS ROBOTICS Inc.
代表取締役社長:大澤 琢真
所在地:1160 Battery St. San Francisco, CA 94111 USA
ホームページ:https://www.renatus-robotics.com/
設立:2022 年 5 月 27 日

 

株式会社イー・ロジット
社名:株式会社イー・ロジット
代表取締役会長兼社長:角井 亮一
所在地:東京都千代田区外神田3丁目11番11号
ホームページ:https://ec-bpo.e-logit.com/
設立:2000 年 2 月 14 日

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。