1993年のDTM( Deutsche Tourenwagen Masters / ドイツツーリングカー選手権 )チャンピオンのニコラ・ラリーニ氏がアルファロメオと共にレーストラックに戻ってくる。彼はラリーナビゲーターのジャコモ・チウチ氏と1900スポーツスパイダー(1954年製)を駆って、6月11日から15日まで開催される世界で最も美しいレース「第42回・1000ミリア」に出場する。
コンペティティブなレースとアドベンチャーが融合したこのイベントは、いつものように400台を超えるヴィンテージカーが参加する。そのうち50台以上が最大グループを形成するアルファロメオである。
また、そのうちの2台は、通常はアレーゼのミュージアムに展示されているアルファロメオのヴィンテージコレクションの1900スーパースポーツ(1954年)と、1900スーパースプリント(1956年)だ。前者は、アルファロメオ155 V6 TIで1993年のDTMチャンピオンに輝いたニコラ・ラリーニ氏と、ラリーナビゲーターのジャコモ・チウチ氏がコクピットに収まる。
今日でもアルフィスティとモータースポーツファンの心の中にいるニコラ・ラリーニ氏は、1987年から2003年までアルファロメオの公式ドライバーであり、1990年代にはツーリングクラスを制覇した。
一方で1900 スーパースプリント(1956年)には、ジャーナリストでヴィンテージカー専門家のアンドレア・ファリーナ氏と、インフルエンサーでYouTuberのダビデ・チローニ氏がドライブする。なおこの際、新しいジュリアとステルヴィオ クアドリフォリオ スーパースポーツが共に披露される予定だ。
今回出走するヘリテージ コレクション達は、イタリアンブランドの保護と遺産の継承を目的に設けられた。特に今回、「289」のナンバーが付された1900 スポーツ スパイダー (1954 年) は希少なレーシング スパイダーであり、これまでに2モデルのみが製造された。このクルマは4気筒のツイン カム エンジンを搭載し、最高出力は138馬力、880kgの重量と優れた空力特性により220 km/hのトップスピードをマークする。
対して「392」のナンバーを付けて出走するのは、1900 スーパー スプリント(1956 年)。1950年代当時のプロモーションによると〝レースに勝てるファミリーカー〟という触れ込みだった。
1900セダンのショート バージョン シャーシをベースに、ツイン カムシャフトを備えた 2リッター4気筒エンジンを搭載、5500 rpmで115馬力を発揮する。1950年代当時は、コーチビルダーがアルファ ロメオからシャーシを購入し、独自のボディワークを施すことも当たり前の光景だった。ミラノのTouring(トゥーリング)はそれを実行し、1954年から1955年に掛けて1900スーパー スプリントをベースにしたモデルを約300台生産されたという記録が残されている。