
2025年シーズンABB FIAフォーミュラE世界選手権・第3戦サウジアラビア(ジェッダ・コーニッシュ・サーキット)戦の決勝レースが1月14日に開催され、DSペンスキー フォーミュラチームのマクシミリアン・ギュンター選手が今季の初勝利を飾った。
今大会の舞台となったジェッダ・コーニッシュ・サーキットはF1でも使用されている名コースだが、フォーミュラEでは、その全長を3.001kmに縮めたショートレイアウトを31周で競われる。また、ここでは予てより導入が宣言されていた「PIT BOOST(ピットブースト)」が遂に試された。
この「ピットブースト」は先の通り、今季新たに設けられた新ルールで、レース途中に於いて充電のためだけのピットストップを行い、僅か34秒間で600kWもの超高速充電を行って3.85kWh(約10%のエネルギー)を追加するというもの。
これによりフォーミュラEの戦いに新たな見せ場が追加されることになる。実際、ポールポジションからスタートしたギュンター選手は、フィニッシュラインまで数百メートルの最終シケインでトップを奪い返すという劇的な形で勝利を収めた。
昼間に行われた第3戦の予選では、ギュンター選手とパスカル・ヴェアライン選手(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がファイナル進出を決め、ギュンター選手が1分14秒911を刻んでポールポジションを獲得。2番手にはDSペンスキーのギュンター選手、続く3番手にはニッサンのオリバー・ローランド選手がつけた。
決勝レースは、集団から抜け出したギュンター選手がホールショットを決めてトップ集団を引き離し始める。しかし、追い縋る後方集団でマシン同士の接触やスピンが多発し、7周目にコース上のデブリ発生によってセーフティカーが導入。9周目にそれが解除されレース再開となった。
そして、いよいよ迎えたレース中盤。各車、新たに導入されたピットブーストを開始。ここまで着実な走りで上位グループを走り続けたギュンター選手は17周目にピットブーストを行い、20周目には全車がピットブーストのルーティン作業を終えた。
このピットストップでギュンター選手は、若干ポジションを落としたものの、直ぐにファステストラップを刻んでポシションを取り戻し、ローランド選手、テイラー・バーナード選手(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)の3台の鍔迫り合いに突入。
結果、30周目のフィニッシュ目前の数百メートルの区間で、ギュンター選手がトップを走るローランド選手を射程圏内に捉えて首位を奪取した。これにより最大29ポイントを獲得して選手権ランキング3位に浮上した。
ちなみに10番グリッドからのスタートとなったギュンター選手のチームメイト・ジャン-エリック・ベルニュ選手も堅実に走り続けて6位でフィニッシュした。これによりDSペンスキー フォーミュラチームはチームランキングで2位に返り咲いた。
——————————————–
この成果にDSパフォーマンスディレクターを務めるEugenio Franzetti(ユージニオ・フランゼッティ)氏は、「まさに完璧なレースだった。ポールポジション、レース勝利、ファステストラップを記録できるなんて、これ以上の結果はありません。マックス(マキシミリアン・ギュンターの愛称)とチーム全員がこのレースに向けて素晴らしい準備をしてくれたことを心から称えたいです。
開幕2戦ではポテンシャルを感じながらも不運に見舞われましたが、今回はすべてが完璧にかみ合いました。 チームとドライバーの才能が、忘れられない結果をもたらしたと思っています。JEV(ジャン-エリック・ベルニュ)も10位から6位に順位を上げ、貴重なポイントを獲得し、DS PENSKEはランキング2位に浮上しました。明日も再び全力で挑み、さらに良いレースを目指します」と述べた。
——————————————–
更にマキシミリアン・ギュンター選手は、「本当に素晴らしい一日でした。このチームで初勝利を挙げることができ、とても誇りに思うし、本当に嬉しいです! チームのメンバー全員が、この勝利にふさわしい努力をしてくれたと思います。ここ数週間、彼らは本当に素晴らしい仕事ぶりを発揮し、チームには才能あふれる人たちが集まっています。
彼らと一緒に仕事をするのが大好きです! 私たちは努力し、その結果、わずか3戦目で勝利を手にしました。このレースは簡単ではなかったが、諦めずに戦い抜いて勝利をつかみました。そして、その勝ち方も最高でした——ポールポジション、優勝、ファステストラップのすべてを獲得できたことが誇らしいです」と語った。
——————————————–
加えてジャン-エリック・ベルニュ選手(2018・2019年フォーミュラEワールドチャンピオン)は、「チーム全体にとって素晴らしいレースでした。まずはマックスの勝利を祝福したいです。自分のレースは10位スタートから6位まで順位を上げたが、これ以上を望むのは難しかったと思います。
残念ながら、いくつかのアクシデントの影響でタイムをロスし、トップグループから離されてしまいました。それでも多くのことを学ぶことができ、チャンピオンシップに向けて貴重なポイントを獲得できました。明日はさらに良い結果を目指します」と話している。
DSオートモビルズのフォーミュラE参戦以来の主な実績:
– 124レース出場
– 4回のチャンピオン獲得
– 17勝
– 52回の表彰台獲得
– 25回のポールポジション獲得