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2025年2月20日【イベント】

フォーミュラE第3戦、DSのギュンターが今季初勝利を飾る

坂上 賢治

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2025年シーズンABB FIAフォーミュラE世界選手権・第3戦サウジアラビア(ジェッダ・コーニッシュ・サーキット)戦の決勝レースが1月14日に開催され、DSペンスキー フォーミュラチームのマクシミリアン・ギュンター選手が今季の初勝利を飾った。

 

今大会の舞台となったジェッダ・コーニッシュ・サーキットはF1でも使用されている名コースだが、フォーミュラEでは、その全長を3.001kmに縮めたショートレイアウトを31周で競われる。また、ここでは予てより導入が宣言されていた「PIT BOOST(ピットブースト)」が遂に試された。

 

この「ピットブースト」は先の通り、今季新たに設けられた新ルールで、レース途中に於いて充電のためだけのピットストップを行い、僅か34秒間で600kWもの超高速充電を行って3.85kWh(約10%のエネルギー)を追加するというもの。

 

これによりフォーミュラEの戦いに新たな見せ場が追加されることになる。実際、ポールポジションからスタートしたギュンター選手は、フィニッシュラインまで数百メートルの最終シケインでトップを奪い返すという劇的な形で勝利を収めた。

 

昼間に行われた第3戦の予選では、ギュンター選手とパスカル・ヴェアライン選手(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がファイナル進出を決め、ギュンター選手が1分14秒911を刻んでポールポジションを獲得。2番手にはDSペンスキーのギュンター選手続く3番手にはニッサンのオリバー・ローランド選手がつけた。

 

決勝レースは、集団から抜け出したギュンター選手がホールショットを決めてトップ集団を引き離し始める。しかし、追い縋る後方集団でマシン同士の接触やスピンが多発し、7周目にコース上のデブリ発生によってセーフティカーが導入。9周目にそれが解除されレース再開となった。

 

そして、いよいよ迎えたレース中盤。各車、新たに導入されたピットブーストを開始。ここまで着実な走りで上位グループを走り続けたギュンター選手は17周目にピットブーストを行い、20周目には全車がピットブーストのルーティン作業を終えた。

 

このピットストップでギュンター選手は、若干ポジションを落としたものの、直ぐにファステストラップを刻んでポシションを取り戻し、ローランド選手、テイラー・バーナード選手(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)の3台の鍔迫り合いに突入。

 

結果、30周目のフィニッシュ目前の数百メートルの区間で、ギュンター選手がトップを走るローランド選手を射程圏内に捉えて首位を奪取した。これにより最大29ポイントを獲得して選手権ランキング3位に浮上した。

 

ちなみに10番グリッドからのスタートとなったギュンター選手のチームメイト・ジャン-エリック・ベルニュ選手も堅実に走り続けて6位でフィニッシュした。これによりDSペンスキー フォーミュラチームはチームランキングで2位に返り咲いた。

 

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この成果にDSパフォーマンスディレクターを務めるEugenio Franzetti(ユージニオ・フランゼッティ)氏は、「まさに完璧なレースだった。ポールポジション、レース勝利、ファステストラップを記録できるなんて、これ以上の結果はありません。マックス(マキシミリアン・ギュンターの愛称)とチーム全員がこのレースに向けて素晴らしい準備をしてくれたことを心から称えたいです。

 

開幕2戦ではポテンシャルを感じながらも不運に見舞われましたが、今回はすべてが完璧にかみ合いました。 チームとドライバーの才能が、忘れられない結果をもたらしたと思っています。JEV(ジャン-エリック・ベルニュ)も10位から6位に順位を上げ、貴重なポイントを獲得し、DS PENSKEはランキング2位に浮上しました。明日も再び全力で挑み、さらに良いレースを目指します」と述べた。

 

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更にマキシミリアン・ギュンター選手は、「本当に素晴らしい一日でした。このチームで初勝利を挙げることができ、とても誇りに思うし、本当に嬉しいです! チームのメンバー全員が、この勝利にふさわしい努力をしてくれたと思います。ここ数週間、彼らは本当に素晴らしい仕事ぶりを発揮し、チームには才能あふれる人たちが集まっています。

 

彼らと一緒に仕事をするのが大好きです! 私たちは努力し、その結果、わずか3戦目で勝利を手にしました。このレースは簡単ではなかったが、諦めずに戦い抜いて勝利をつかみました。そして、その勝ち方も最高でした——ポールポジション、優勝、ファステストラップのすべてを獲得できたことが誇らしいです」と語った。

 

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加えてジャン-エリック・ベルニュ選手(2018・2019年フォーミュラEワールドチャンピオン)は、「チーム全体にとって素晴らしいレースでした。まずはマックスの勝利を祝福したいです。自分のレースは10位スタートから6位まで順位を上げたが、これ以上を望むのは難しかったと思います。

 

残念ながら、いくつかのアクシデントの影響でタイムをロスし、トップグループから離されてしまいました。それでも多くのことを学ぶことができ、チャンピオンシップに向けて貴重なポイントを獲得できました。明日はさらに良い結果を目指します」と話している。

 

DSオートモビルズのフォーミュラE参戦以来の主な実績:
– 124レース出場
– 4回のチャンピオン獲得
– 17勝
– 52回の表彰台獲得
– 25回のポールポジション獲得

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。