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2018年11月7日【テクノロジー】

ドコモとAGC、世界初「窓の基地局化」に成功

NEXT MOBILITY編集部

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NTTドコモとAGCは提携し、景観を損ねずに既存窓ガラスの室内側から貼り付けができる、世界初(※1)となる電波送受信が可能なガラスアンテナを共同開発した。

 

両社は、本ガラスアンテナを活用し、2019年上期から携帯電話のサービスエリア拡充を図る。

移動通信のトラヒック量は増大し続けており、安定した高速通信に向けての対策が必要となっている。

 

高トラヒックエリアでは、スモールセル基地局(※2)設置によるトラヒックの分散が重要で、スモールセル基地局用のアンテナ増設が必要。現在のスモールセルアンテナは、主に建物の屋上や中低層階の壁面に設置されているが、屋上や壁面は設置できる場所が限定されること、街の景観を損ねることから、設置が困難な場合が多いと云う。

 

そのため、建物内にアンテナを設置することで建物内から屋外をエリア化することを検討。

 

建物内へのアンテナ設置では、室内の意匠性を損ねる、電波が窓ガラスを通過する際に減衰するといった課題があったが、これを解決するために、AGCが保有する既存窓の表面にガラスを貼り付けるアトッチ工法(※3)を活用する室内の窓面に設置可能な新たなアンテナの開発を進めてきた。

 

今回開発されたガラスアンテナは、透明・透視性のある導電材料とガラスを組み合わせ、目立ちにくく、景観や室内デザインを損なわない他、新開発のGlass Interface Layer(グラス インターフェイス レイヤー/※4)の効果により、窓ガラスを通過した際の電波の減衰・反射を抑えるという特長を持っている。

 

ガラスアンテナ

ガラスアンテナ

ガラスアンテナを既存窓に貼付した様子

ガラスアンテナを既存窓に貼付した様子

 

両社は2019年上期から、現在主流のLTEの周波数帯の基地局へ同ガラスアンテナを展開していく予定。さらに、5Gに対応したガラスアンテナの開発も検討していくとしている。

 

※1:ドコモ、AGC調べ。
※2:主に高トラヒックエリアに、通常基地局のエリア内に設置する、小さなサービスエリアを構築する基地局。
※3:既存窓に後からガラスを貼り付けることで、省エネ・防音などの機能を付加することができる工法。
※4:ガラスに近づくことによってガラスアンテナの性能が変わる影響を抑え、アンテナ本来の持つ性能を引き出す技術。

 

ガラスアンテナ施工の様子(イメージ)

ガラスアンテナ施工の様子(イメージ)

 

[ガラスアンテナの概要]

 

<ガラスアンテナの特長>

 

・既存窓に透明なガラスアンテナを設置するため、街の景観を損なわない。
・建物の内側から施工するため、足場設置や土台工事が不要。
・自在な設置箇所とビーム形成技術により、柔軟なエリア設計を可能とするスモールセル向けガラスアンテナ。

 

<ガラスアンテナ設置基地局のスペック>

 

■ガラスアンテナ

 

– サイズ:700mm×210mm
– 重量:1.9kg

※アンテナガラスのみのサイズ、重量。ケーブル、既存ガラスへの取り付け部材、付属品は除く。記載された仕様は発表日現在のもの。

 

■基地局のスペック

 

– 方式:TDD-LTE
– 周波数:3.5GHz帯(BAND42)
– 帯域幅:40MHz
– MIMO対応:4×4MIMO
– 下り変調方式:256QAM
– 最大スループット:588Mbps

 

[両社の開発に関わる役割]

 

<ドコモ>

・サービスエリア確保の観点からアンテナ特性について検討。
・実証実験によるエリア確保観点での実用性確認。

 

<AGC>

・ガラスアンテナの開発・製作および施工方法の確立。
・ガラスアンテナを設置した場合の既存窓ガラスへの影響検討。

 

[各社概要]

 

<NTTドコモ>

 

– 会社名:株式会社NTTドコモ
– 代表者:代表取締役社長 吉澤 和弘
– 所在地:東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー
– 資本金:9,496億7,950万円(2017年3月31日時点)
– 営業開始日:1992年7月1日
– 従業員数:単独7,767名、連結27,464名(2018年3月31日現在)
– 主な事業内容:通信事業、スマートライフ事業、その他の事業

 

<AGC>

 

– 会社名:AGC株式会社
– 代表者:代表取締役 兼 社長執行役員 島村 琢哉
– 所在地:東京都千代田区丸の内一丁目5番1号
– 資本金:908億7,300万円(2017年12月31日現在)
– 創立日:1907年9月8日
– 従業員数:単独6,401名、連結53,224名(2017年12月31日現在)
– 主な事業内容:ガラス事業、電子事業、化学品事業、セラミックス事業、その他の事業

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。