DiDiモビリティジャパンは9月25日、都内で記者会見を行い、サービス開始1周年を記念して「PayPayならDiDiのタクシーが半額で乗れちゃうキャンペーン!」を実施すると発表した。同社はこれを機にさらに知名度を上げ、タクシー配車アプリで覇権を取ろうとしている。(経済ジャーナリスト・山田清志)
会社設立以来、“タクシーをもっと身近に・おトクに”をスローガンに掲げ急成長
同キャンペーンはDiDiのアプリ上でクーポンコードに「PAYPAY」と入力し、配車の時にPayPay残高での支払いを選択すると、タクシー代が半額になるというものだ。ただ、1日1回までで、割引の上限額は2000円だ。しかも、キャンペーン期間は9月27日から10月31日までだが、キャッシュバックの付与額が2億円に達した場合、期間中でもキャンペーンを終了するという。
また、キャンペーンを受けるにはいくつかの注意点がある。例えば、車内決済でのPayPay支払いや、車種選択機能を利用した場合は対象外になる。そのほか、他のクーポンやキャンペーンとの併用はできず、複数のクーポンを持っている場合は割引額が最大となるクーポンが自動的に適用される。タクシー会社により、迎車料金がかかる場合もあるそうだ。
冒頭、挨拶に立った菅野圭吾副社長は「当社は会社設立以来、“タクシーをもっと身近に・おトクに”をスローガンに掲げ、マーケティング活動をしている。それを今回、さらにパートナーシップを活用して強めていく形でPayPayとキャンペーンを行うことになった」と説明する。
同社は2018年9月27日に大阪でサービスを開始して以来、わずか1年の短期間にかかわらず急拡大を続けている。現在、12都道府県でサービスを展開しており、10月には新潟県でもサービスを開始する。「2019年の目標は13だったが、予想を上回るスピードで拡大し、10月には目標に達しています。そこで20に上方修正することにした」(菅野副社長)という。
利用者の声をから新しいものを導入。開発力の強さとスピードが強さの核心
一方、PayPayの馬場一副社長は「当社も10月5日にサービス開始1年を迎えるに当たって、ユーザー数が1250万人、加盟店申込数が140万カ所、決済階数が1.4億回となった。毎月加盟店が伸び、うなぎ登りの状態が続いている。スマホでタクシーを呼ぶところから決済まで完結したら便利だと思う。近日中にPayPayのアプリ内でDiDiのサービスが使えるようになる」と話す。
また、DiDiモビリティジャパンは同日、ゼンリンデータコムとの業務提携も発表した。第一弾の取り組みとして、9月25日からDiDiのタクシー乗務員向けアプリにおいてゼンリンデータコムのナビゲーションアプリ「Z-NAV(ゼットナブ)」の利用が順次可能になるとのことだ。これによって、タクシー乗務員はゼンリン製地図を活用した活用した高機能ナビゲーションをドライバー用アプリ「DiDiドライバー」内で利用できるので、乗客が乗車しやすい方向からの送迎が可能になるほか、安全性を優先したルートで乗客を目的地まで案内できるようになるという。
「利用者の声を聞いて、新しいものを次々に導入している。ここがわれわれの開発力の強さとスピードだ」と菅野副社長は話し、利便性を考えて常に改良を重ねているそうだ。例えば、乗車アプリに関しては、週に1.5回の改善を行い、タクシーの乗車アプリについては、週に2回のペースで改善を行っている。
今年中には「DiDiドライバー」に「需要予測ヒートマップ」機能を追加する計画だ。この機能はタクシーの需要と供給のバランスを可視化するため、タクシー乗務員は一目で需要の高いエリアが分かり、収益を最大化することができるそうだ。DiDiモビリティジャパンは圧倒的ナンバー1の配車プラットフォーム会社に向け、これからその動きはさらに加速していきそうだ。