バングラデシュでバッテリー交換ステーションを展開するタイガーニューエナジー( タイガー/ Tiger New Energy )は、6月24日( バングラデシュ・ダッカ発 )、ADBベンチャーズから追加投資を含む通算350万ドルの投資を受けた。
タイガーは同投資により、バングラデシュ全土に於ける自社のバッテリー交換ネットワークの展開を加速。その結果、環境に優しいモビリティが促進され、バングラデシュ国内に対して大きな社会経済的利益をもたらすと言われている。
実際、今日のバングラデシュでは、何百万もの人々の生活が、日々、電動三輪を利用した移動に依存しており、賑やかな街中でクリーンエネルギーに取り組む新興企業のタイガーはバッテリー交換事業で、都市交通に於ける主たるエネルギー供給拠点として孤高の存在になっているという。
ちなみに先の大型投資については、昨年、シンガポールのベンチャーキャピタルのWavemaker Partners( ウェーブメーカーパートナー )が主導した250万米ドルのシードラウンドに、アジア開発銀行が主導するADBベンチャーズが100万米ドルの追加資金を提供。この投資ラウンドにより、バングラデシュ全土でタイガーのバッテリー交換ネットワークが拡大した。
そもそもタイガーは、ハーバード・ビジネス・スクール卒業生のニコール・マオ氏とイーウェイ・チュー氏というふたりの女性起業家により、 バングラデシュの都市交通部門を悩ませる炭素排出とエネルギー効率の悪さという差し迫った問題に対処するべく創業された。
そんなバングラデシュでは、全国で毎日約400万台の電動3輪車などの軽車両が1億 1,200万人以上の人々の移動ニーズを支えている。しかし当地の電動3輪車は、安価ではあるが、通算6~8か月程度しか継続して使うことしかできない鉛蓄電池を使用しているため、当地の差し迫った大量輸送のニーズに応えられずにいた。
そこでタイガーニューエナジーは、電動3輪車の鉛バッテリーを、フル充電済みのリチウムイオンバッテリーと交換する拠点ネットワークを導入。これにより充電待ちの無駄時間が解消され、輸送を生業としていた電動3輪・運転手の収入が60%も増加。都市交通の基盤が強化された。
加えて車載バッテリーの交換事業は、電力事情が不安定な当地に於いては停電時でもサービスの継続性が確保される他、バッテリーチャージングのインフラ自体が、同国内の分散型エネルギー貯蔵システム ( DESS ) としても機能している。
こうした取り組みについてタイガー・ニュー・エナジーのニコール・マオ共同創業者兼CEOは、「私たちの使命は明確です。それは国内の全ての人々にクリーンなモビリティ手段を提供することです。そうした意味で今回の資金調達は、私たちの技術とビジネスモデルの正当性が立証できたことのみならず、自国内に於ける二酸化炭素排出量の削減、持続可能な経済活動の促進、地域社会の生活向上へと繫がるものです」と話している。