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2025年2月17日【エネルギー】

デンヨーと帝人、FC発電装置を新開発

NEXT MOBILITY編集部

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デンヨー 帝人 は2月17日、新たに3kVA級の水素燃料電池発電装置(FC発電装置)を開発した。このFC発電装置は、帝人が販売を手掛けている英国のインテリジェント・エナジー社(Intelligent Energy /IE社)製の燃料電池モジュールを用い、デンヨーが開発。水素の供給に、帝人グループの帝人エンジニアリングが展開する大型可搬式複合材料容器を使用することで、長時間の連続運転が可能になるとしている。

 

帝人が展開するインテリジェント・エナジー社製の電池モジュール「IE-LIFT804」(写真左)と、帝人エンジニアリングの大型可搬式水素用複合材料容器(右)。 デンヨーが開発した 水素燃料電池発電装置(上)。帝人が展開するインテリジェント・エナジー社製の電池モジュール「IE-LIFT804」(下左)と、帝人エンジニアリングの大型可搬式水素用複合材料容器(下右)。

 

1.背景
近年、地球温暖化問題の解決に向けた次世代エネルギーとして水素エネルギーの利用が注目されるなか、全世界で発電機事業を展開するデンヨーでは、2019年にFC発電装置に関する技術開発を開始。2024年からは量産型の可搬形FC発電装置の開発を進めてきた。

 

一方、帝人では、2021年にIE社が開発した燃料電池モジュールの代理店販売を開始。2023年にIE社製のFCモジュールを用いた1kVA級の可搬式の小型FC発電装置の開発を開始し、FC発電装置の有効性・有用性について検証を進めてきた。また、子会社の帝人エンジニアリングに於いては、水素ボンベ向けの炭素繊維を用いた複合材料圧力容器「ウルトレッサ」を展開している。

 

両社では、これら各々の知見やノウハウを組み合わせることにより、水素エネルギーの早期の社会実装に貢献できると考え、可搬式の小型タイプとしては大容量である3kVA級のFC発電装置の展開に向けた協議を進めた。

 

2.開発品について
デンヨーが今回開発したFC発電装置は、IE社製の燃料電池モジュール「IE-LIFT804」を搭載。同社が有するFC発電装置に関する技術や知見に、帝人が有する IE社製の燃料電池モジュールに関する運転ノウハウや実証実験で得た知見などを組み合わせることで、野外イベント会場や工事現場、災害現場などで需要が高いとされる3kVAの発電能力を有するほか、200Vと100Vが使用できる。

 

なお、帝人グループは、2月19日から21日まで東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される「H2&FC EXPO ~水素・燃料電池展~」に出展し、帝人エンジニアリングが展開する大型可搬型複合材料圧力容器のほか、デンヨーが開発した新たなFC発電装置を展示する(ブース番号:E1-24(東1ホール))。

 

<仕様>
– 定格出力:3.1kVA 単相3線式(周波数 50/60Hz)
– 電圧:200V / 100V
– 寸法:全長1,020 × 全幅700 × 全高1,000mm
– 質量:200kg
– 備考:

開発品に帝人エンジニアリングの大型可搬式水素用複合材料容器「ウルトレッサ」を用いた場合、ボンベ1本で以下の連続運転(仕様に応じた定格の電力負荷を掛けた場合の連続運転時間)が可能。

・容量130L/充填圧45MPaの場合:約13.6時間
・容量130L/充填圧19.6MPaの場合:約6.7時間

 

 

デンヨーと帝人グループは、FC発電装置の社会実装に向け、今後も共同で実証実験を実施するなどで連携し、水素エネルギーの早期の普及を目指すとしている。

 

[問い合わせ先]
・デンヨー 研究開発部(電話(049)280-7770)
・帝人 アライアンスマネジメント部(電話(03)3506-4398)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。