世界最大の電気・電子分野の国際学会であるIEEE( アイトリプルイー )は先の10月7日、デンソーが開発した〝QRコード〟が世界中の企業の製造・管理業務の改善に寄与したことや、電子決済などの多様なアプリケーションで利用されている事を評価し「IEEEマイルストーン」に認定した。( 坂上 賢治 )
更に12月2日には〝QRコード〟を生み出したデンソーそのものが、世界規模で電気・電子分野の技術領域に貢献したとして「IEEEコーポレートイノベーション賞」贈り、その功績を讃えた。このIEEEコーポレートイノベーション賞は、革新的な技術や製品づくりで世界に大きな影響を与えた企業や団体に対して贈られる世界でも権威ある賞のひとつだ。
IEEEコーポレートイノベーション賞は、アメリカ合衆国に本部を置く電気・電子分野の国際学会IEEE( The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. / 世界160カ国以上で40万人超の会員を擁する団体 )が1985年に創設して以降、IT企業や電機メーカーなど世界の名だたる企業や団体が受賞しており、日本企業としてはデンソーが6社目の受賞となっている。
そんなQRコードは、「読み取りやすく、大容量の情報が扱える」というコンセプトのもと、1994年にデンソーの応用機器技術部門( 現在のデンソーウェーブ )が開発されたもの。
バーコードの約200倍の情報を収納でき、高速で読み取ることができる画期的な2次元コードであり、当初は、主に社内の製造現場で在庫管理などから活用を開始した。
写真はデンソーウェーブの技術者で開発の指揮を執ったAUTO-ID事業部、技術2部・技術2室の室長 原氏
その後、デンソーはQRコードの利用を無償開放( 規格化・標準化した上でオープン化した。なおQRコード並びにQRコードリーダー自体は特許権で保護されており、仮に今後に於いて模倣品・粗悪品・意図しない派生品が現れた時は権利行使していく姿勢だ )。
いち早いオープン化戦略を敷き、世界への普及拡大に注力した結果、2000年代前半にはカメラ機能を搭載した携帯電話の普及と共に、QRコードは人々の生活の中にも広がり、近年では電子チケットやキャッシュレス決済など世界津々浦々、至るところで利用されている。
そうして迎えた2020年、これらの業績が評価されてQRコードは、誕生から28年を経て、社会や産業の発展に貢献をした歴史的な業績を評価する「IEEEマイルストーン」に認定された事になる。
ちなみにQRコードは、先の通りで開発から28年が経った現在でも、新たな機能を追加するなどで今も現在進行形で進化を重ねており、デンソーウェーブでは、ひとつのコードに「公開用」と「非公開用」の2種類のデータが格納できる「SQRC」 。
人の顔の特徴をQRコード化できる「顔認証SQRC」、自由なデザインを可能にした「フレームQR」 などを様々なタイプと機能を持つソリューションを開発しており、今日では本人確認や偽造・情報改ざん防止、電子チケット生成などの分野で貢献している。
2020年10月7日 QRコードがIEEEマイルストーンに認定
https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2020/201007-01/
2023 IEEE Award受賞者( 英語 )
https://corporate-awards.ieee.org/recipients/current-recipients/#recognition-awards
これまでのIEEEコーポレートイノベーション賞 受賞者 ( 英語 )
https://www.ieee.org/content/dam/ieee-org/ieee/web/org/about/awards/recipients/corp-inn-rl.pdf