実証施設
デンソーは6月27日、自社開発のSOEC(固体酸化物形水電解用セル/セラミック膜を電解質として高温で動作し、水蒸気を電気分解して水素を製造する装置)を広瀬製作所内に設置。SOECから製造したグリーン水素を試作品の製造ラインに活用する実証を開始する。
これはデンソーの「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」の領域に於ける技術開発にあたって、半導体製造分野に於けるグリーン水素活用モデル工場と位置付けた広瀬製作所でSOECを用いたグリーン水素製造とモノづくりへの活用を検証するもの。
SOEC
具体的には、SOECで製造したグリーン水素をパワーカードの試作品の製造ラインで活用。パワーカードの構成部品同士をはんだ付けする工程で、はんだの酸化物を除去し、接合性を向上させる還元剤として使用している水素を、SOECで製造したグリーン水素に置き換える。
外部購入の水素を使用する従来のラインに加え、SOECで製造したグリーン水素を活用する新たなラインを立ち上げ、2つのラインを併用しながら製造の安定性とSOECで製造したグリーン水素がパワーカード(EVやPHVに搭載する電源のオン、オフを高速に切り替えるインバーター制御装置)の品質に与える影響を検証する。
SOECのメカニズム
実証開始時はSOECの動力源として外部購入のグリーン電力を活用。但し2025年以降は広瀬製作所内に設置する太陽光発電装置で発電するグリーン電力に置き換えて実証。
更にSOECを用いて工場内でグリーン水素を製造し、自社内で消費する「水素地産地消」を実現することで、水素を輸送する際のコスト課題にも取り組み、実証で得た知見を基に将来的に量産での活用を目指す。