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2023年11月17日【イベント】

デンソーら7社、幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験

坂上 賢治

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ドライバー数やCO2排出量の低減に貢献。物流2024問題解決の有効手段に

 

デンソー、アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクス、安田運輸、大和ハウス工業は合同で11月17日、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を、去る2023年7月10日(月)から14日(金)まで静岡県浜松市と埼玉県坂戸市を中継地点に関東・関西間で実施したことを明らかにした。

 

実証実験の結果、SLOCが物流業界における人手不足や長時間労働といった「2024年問題」の解決に有効な手段の一つであること、そしてCO2排出量を削減し環境負荷低減にも貢献することを確認した。

 

実運用では、ルートや荷量・荷物の種類など様々な条件が、天候や需給によって変動するため、今後、SLOCの社会実装に向けて、手順やルールを標準化するなど安定運用が可能な仕組みへと進化させ、混載・共同輸送にも適応すべく、さらに検証を進めていくという。

 

実証実験におけるスワップボディコンテナ交換の様子

 

実証結果
(1)人手不足、長時間労働について

  • SLOCを活用しない場合に比べ、ドライバー数を12名(2024年4月から適用を開始する「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を順守しながら、ドライバーが中継輸送をせずに関東・関西間を往復する場合のドライバー数・所要時間・CO2排出量)から7名に削減でき、人手不足解消に貢献。

 

  • 運行にかかる所要時間が、最大約30%削減(大阪府吹田市~神奈川県横浜市に於いて、17時間から12時間17分に削減)、ドライバーの労働時間削減に貢献。

 

(2)環境負荷について
・ 運行にかかる所要時間が削減されることで、CO2排出量を855トン*1から461トンに削減(46%減)。

 

(3)運用について

  • 荷主企業5社と運送協力会社6社による1日6便の運行スケジュールをほぼ計画通り実施できることを確認。

 

  • 使いやすいUI(ユーザーインターフェイス)を取り入れた、デンソー開発によるコンテナ管理システムを導入し、中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーによるコンテナの脱着オペレーションがスムーズに行われたことを確認。

 

  • 複数荷主による貨物の混載について、荷主間の役割分担・責任区分を明確にし、輸送することができた。

 

実証実験の概要
ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、スケジュール通りに運行できるか、ドライバーによるコンテナの脱着オペレーションがスムーズに行われるかなど、2023年7月10日(月)から14日(金)の期間に於いて社会実装に向けた課題の抽出を行った。

 

主な検証項目
・ 1日6便(関西発3便/日、関東発3便/日)を運行し、事前に合意したスケジュール通りに運行できるかの検証
・ 中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証
・ スマートフォンとQRコード*2を活用したコンテナ管理システムの利便性確認
・ 複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証

 

以下は参加企業と役割:役割/企業名(50音順)

 

荷主/アスクル株式会社、エレコム株式会社、タカラスタンダード株式会社、三井倉庫ロジスティクス株式会社
荷主および混載作業/ 安田運輸株式会社
中継地点(マルチテナント型物流施設「DPL坂戸Ⅱ」)提供/大和ハウス工業株式会社
コーディネーター(運行スケジュール立案など実証実験取りまとめ)/株式会社デンソー
運送協力企業:アートバンライン株式会社、遠州トラック株式会社、高伸物流株式会社、トランコム株式会社、フジトランスポート株式会社、株式会社優輪商事

 

業種の垣根を超えた7社合同で幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証開始(デンソーのプレスリリース)
https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2023/20230706-01/

 

幹線中継輸送サービス「SLOC」の取り組みについて(デンソーウェブサイトDRIVEN BASEに掲載)
https://www.denso.com/jp/ja/driven-base/project/sloc/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。