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2024年6月1日【エネルギー】

電気興業、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムを開発

坂上 賢治

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電気興業は、ワイヤレス電力伝送の実用化に向けた独自の取り組みとして「空間伝送型ワイヤレス電力伝送の研究開発」を進めてきた。そうしたなか6月1日、「5.7GHz帯を使用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」の基礎技術を開発したことを明らかにした。

 

空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)は、電池レス・ケーブルレスで多数の機器への給電を可能とする技術であり、産業界で最も注目されている技術分野のひとつ。総務省は、2022年5月26日に電波法施行規則等の一部改正を行い、WPT向けの周波数として920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の3つの帯域を割り当てるなど、WPTの普及に向けて動き出している。

 

同社は、このような背景を踏まえ、5.7GHz帯を使用したWPTの開発を行っている。このシステムでは、送信アンテナのビームフォーミング機能(無線通信において送受信の方向を電子的に制御する技術)を活用し、受信アンテナを追従して電力伝送を行うことができる。

 

これを実証するため、鉄道模型を用いた実験を行い、アンテナから離れた場所にあるモーターが駆動すること、駆動する鉄道模型をアンテナで追従し、安定的に電力伝送できることを確認した。

 

また、2022年度から4か年での計画として総務省に採択された自社提案「5G準ミリ波との共用技術」に於いては、WPTによる送電中も5Gシステム性能を維持し、5GとWPTが共存した利用環境を実現するべく、研究を推進中という。

 

電気興業は、「今後、これらの基礎技術をもとに、5.7GHz帯用送信アンテナの商用向け試作設計や受信端末の開発を進め、実用化に向けた研究開発に取り組み、波資源の拡大、周波数の有効利用に貢献していく」と述べている。

 


△5.7GHz帯を利用したWPT

 

1.鉄道模型を用いた5.7GHz帯WPT実験の概要
・本技術を適用することにより、鉄道模型が駆動することを確認
・送信アンテナのビームフォーミング機能により、±20°のビーム可変を行い、鉄道模型を追従
・アンテナ4基で約2Wの電力を受電(アンテナ1台当たり、約0.5W)
・鉄道模型を追従し、安定的に電力伝送ができることを確認

 


△5.7GHz帯WPT実験 モデル図

 

2. 5G準ミリ波との共用化技術の概要
(総務省 令和6年度継続案件:空間伝送型ワイヤレス電力伝送の干渉抑制・高度化技術に関する研究開発)
・5G基地局アンテナ(28GHz帯)で準ミリ波帯(24GHz帯)のWPTシステムを共用し、WPTによる送電中も5Gシステム性能を維持するためのアンテナの開発を行う
・WPTによって生じる、5G基地局への干渉抑制の確認
・干渉を抑制することで、適切な通信環境を維持しつつ、WPTによる安定した電力伝送を確認
・24GHz帯にて、USB充電を可能とする動作必要電力7.5W程度の電力伝送を実現
上記を確認・実現するため2025年度まで研究を行う予定。

 


5G基地局とWPT基地局共有化イメージ

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。