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2022年11月11日【エネルギー】

佐渡汽船とみちのり、島内のオンデマンド運輸実証を開始

坂上 賢治

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日本初、AIオンデマンド輸送で船便と繋ぐ「佐渡汽船シャトル」の実証運行を開始

 

佐渡汽船、みちのりホールディングス、佐渡地区ハイヤー協会、移動マーケティング事業のREA、新潟県、佐渡市の6者は11月11日から、佐渡地区の市街地エリアと両津港の佐渡汽船ターミナルとを繋ぐ〝リクエスト型最適経路交通〟と銘打つ「佐渡汽船シャトル」の実証運行を開始した。( 坂上 賢治 )

上記の「リクエスト型最適経路交通」とは、オンデマンド型の運行管理に人工知能( AI )を融合。対象地域内で移動を希望する利用者のリクエストを受け、小型バス・ワンボックス車・乗用タクシーなどを用いて運行経路の再構築と運行ダイヤ内容を適時最適化。関連業務を順次、柔軟的に消化していくもの。

 

例えばバス事業の場合では、従来型のバス停標柱付近に、既存の設定ルートには無かった新たな乗降場所を新設する。これにより、従来型輸送とは異なるニーズを持つ新たな利用者のための乗降場所としても利活用する仕組みを指す。

 

今実証では、みちのりグループのリクエスト型最適経路交通の運用実績を活かす

 

みちのりグループでは、これまで会津乗合自動車( 福島県会津若松市 )や茨城交通( 茨城県水戸市 )などの事業区地域で、こうしたリクエスト型(オンデマンド型)最適経路交通の運用実績を積み重ねており、今回は、この経験・ノウハウを活かす。

 

これを踏まえ、この度、新規に運行される〝佐渡汽船シャトル〟は、両津港から出発する船、両津港に到着する船のタイミングに合わせて、両津港と佐渡島内市街地エリアとの間を運行する新たな乗り合いの交通サービスとなる。

 

より具体的には、両津港と佐渡島内市街地エリア内に多数設置した乗降ポイントのうち、複数の利用者からリクエストされた複数の乗降ポイントと両津港との間を、人工知能が計算した効率的な乗り合いルートで運行する。

 

 

こうしたリクエスト型最適経路交通の導入で、島内交通サービスの利便性向上を目指す。結果、佐渡汽船としては観光客を始めとする航路利用者の増加と定着を確かなものとしていく。一方、佐渡島内の交通事業者( タクシーなどの運輸事業者 )としては佐渡島民だけでなく、来島者から求められる新たな利用ニーズの獲得を目指す。

 

乗降場所は島内の186箇所(既存バス停付近98箇所、新設88箇所)を設定

 

乗降場所は、島内の両津地区と国中地区の市街地エリアを対象に186か所設定。そのうち98か所は既存のバス停付近。その他の88か所は旅館・ホテルや店舗等の各種施設を目印として新たに設けた。これらの中から、リクエストされた場所と両津港を結ぶ新手の交通サービスを佐渡汽船の船便毎に運行させる事で、高い利便性の実現と新ビジネルモデルの構築を見据えている。

 

 

実運行は、基本的に両津港発着の船便に合わせる。つまり新潟港行きの船が出航する30~50分前に佐渡汽船シャトルが両津港へ到着し、新潟港からの船が到着した15分後に佐渡汽船シャトルが両津港から出発する。このため今実証運行では、新潟港行きの朝5時30分両津発と、7時20分両津発を除く全佐渡汽船の船便に対応させる計画だ。

 

 

対する佐渡汽船シャトルの利用希望者は、専用ウェブサイトから乗船予定の船の日付と便を選び、利用したい乗降場所を選択して予約するか、佐渡汽船の予約センターへの電話で予約する方法を使う( 但し一部の時間帯の便を除く )。

 

同事業は、新潟県による「地域活性化リーディングプロジェクト」の事業委託が骨格

 

ちなみにこの佐渡汽船シャトルは、島内交通事業者と佐渡汽船が連携した取り組みであり、実証運行ではその事業性検証と共に、リクエスト型最適経路交通を島内のより広い範囲、多様な目的に活用出来るかを検証し、その可能性を検討する。

 

 

なお同事業は、新潟県の「地域活性化リーディングプロジェクト」として佐渡汽船が事業委託を受け、みちのりホールディングスと連携。佐渡市の協力も得ながら実施する。なお車両の運行は佐渡地区ハイヤー協会に加盟する6社が担い、予約受付・配車システムは移動マーケティングのREAが提供する。

 

 

プロジェクトは、この実証運行を経て利用状況やアンケート等から検証し、本格運用へ向けた検討を占っていく。また佐渡市が設置済みの佐渡島MaaS検討会と連携。地域の交通ネットワーク全体の持続性を高めて行きたい構えだ。

 

佐渡汽船シャトル実証運行の概要
・ 運行日:2022年11月11日(金)~12月18日(日)の金・土・日曜日、祝日
・ 対応する船便:全便(ただし 5:30 両津発、7:20両津発を除く)
・ 予約方法:ウェブ予約または佐渡汽船予約センターでの電話予約
・ 運行エリア:両津・国中地区の市街地エリア
・ 乗降場所:186箇所(既存バス停付近98箇所、新設88箇所)
・ 運賃:無料
・ 運行会社:佐渡地区ハイヤー協会に加盟する下記 6 社
新潟交通佐渡株式会社、おけさ観光タクシー株式会社、株式会社港タクシー、ヱビス観光タクシー株式会社、内藤タクシー有限会社、中央タクシー有限会社
・ 車両数:金曜日は船1便あたりワンボックス1台/土・日曜日・祝日は船1便あたりワンボックス1台とセダン1台
・ 利用可能人数: 金曜日は船1便あたり7人/土・日曜日・祝日は船1便あたり10人
・ サービスに係るウェブサイト:https://www.sadotrico.jp/shuttle2022

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。