パナソニックホールディングスは7月12日、中国の“北京四維図新科技”との合弁会社「パナソニック四維モビリティテクノロジーサービス北京(以下、松下四維)」が、三井住友海上火災保険(中国)(以下、三井住友海上中国/※1)および日郵振華物流(天津)(以下、日郵振華物流/※2)と共同で、大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を中国の工業地帯で7月から開始すると発表した。
脱炭素の潮流を受け、EVの利用が世界規模で拡大するなか、今後その流れが日本に波及することが予想されている。EVの利用で世界最大の市場を有する中国では、電池の異常や劣化などによる安全性や経済性のリスクが、EVを利用する上での課題となっていることから、特に物流事業者など、保有台数が多く、使用頻度が高い企業では、環境負荷低減に向けてEV導入を進めるにあたり、こうしたリスクに対して強い危機感を持っていると云う。
そこで、松下四維と三井住友海上火災保険中国、日郵振華物流の3社は、EVトラックを安全・経済的に運用するサポートを目的に、大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を7月から共同実施する。
実証実験では、日郵振華物流が大型EVトラックを導入し、中国の天津市内にある工業地帯で工場間の自動車部品を輸送。松下四維は、電池分析クラウドサービス「BetteRRRy (ベタリー/※3)」を用いて電池データを分析し、電池異常の検知や劣化状態を可視化する。
※1:中国で損害保険事業を展開する三井住友海上火災保険の子会社。
※2:中国で物流事業を展開する日本郵船の合弁会社。
※3:パナソニックグループが約30年のリチウムイオン電池開発で蓄積してきた知見と独自のAI技術を応用して開発した電池分析クラウドサービス。松下四維では、電池状態の正確な把握によって製造、一次利用から二次利用、電池リサイクルに至るまでバッテリーのエコシステムを様々な企業と共に構築し、EVを含む新エネルギー車の生涯価値最大化を目指している。
[各社の狙いと主な役割]
■日郵振華物流
・自動車部品物流事業に於ける脱炭素化推進を目指し、大型EVトラックを実際の輸送業務に試験導入し、環境貢献性・経済性・安全性を検証。
・大型EVトラックには松下四維の電池分析クラウドサービスBetteRRRyを搭載し、電池状態の可視化や異常検知を行う。
・実証実験における電池状態のデータをBetteRRRyを通じて三井住友海上中国に提供。
■松下四維
・物流業界でのEV利用促進に向けて電池分析クラウドサービスBetteRRRyを提供。
・電池の異常予兆検知や異常アラート発信による運用の安全性向上。
・電池劣化状態の可視化に基づくコンサルティングによる運用の経済性向上。
■三井住友海上中国
・松下四維との連携を通じて、以下2つの新たな保険商品の開発・提供の検証を行う。
①電池のバックアップサービス責任保険:電池発火などの異常予兆を検知した際、対応を講じる費用を補償する(レッカーや点検・修復に要する費用など)。
②電池の修理・交換等保険(商品開発中、商品名未定):電池に、電池無償交換のメーカー保証範囲外で異常な劣化が発生した際、修理や交換に要する費用を補償する。
松下四維は、中国の大手物流事業者やEVリース会社など、多くの車両を高頻度で運用している事業者向けに電池分析クラウドサービスを提供してきた実績を活かし、今後も拡大し続ける市場に合わせて、電池に関わる課題を解決しながら、EVの導入や運用をサポートし、環境課題の改善に貢献していくとしている。