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2025年2月20日【MaaS】

菓子・加工食品の自動運転トラックによる幹線輸送実証が始動

坂上 賢治

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写真左:キユーピー神戸工場(KRS関西SLC)

 

写真右:GMJ北本工場(今回の走行ルート外)

 

江崎グリコ、キユーピー、キユーソー流通システム( KRS )、T2の4社は、7月からT2が開発した自動運転トラックを用いた関東・関西間の幹線輸送の高速道路を経由した実証実験を始動させる。なお当該実証は、将来に向けレベル4自動運転トラックを活用する上で最も効果的な輸送オペレーションの構築を検討することを目的としており、レベル2自動運転トラックを使用する。

 

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1.目的と背景

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人手不足が深刻な物流業界で、特に長距離幹線輸送ではドライバー不足が懸念されている。そうしたなかで東京に本社があるキユーピーと、大阪に本社がある江崎グリコとが両社得意とするドレッシング類と、ポッキー等の菓子類を関東・関西間で協力して自動運転トラックの実証を行うことにより、効率的な長距離間の自動運転トラックの検証、運行が可能となる。

 

これにより一段と自動運転トラックの検証実績を積むことが可能となり、且つ自動運転化に向けた実装スピードが増す。更には江崎グリコ、キユーピー両社の連携は、集荷までの待機時間や運行スケジュール調整の削減等にも繫がる。このような企業間連携の取り組みを社会に広く周知することは、「2024年問題」として知られる物流危機の解決に貢献する。

 

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2.実証概要

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時期:2025年7月17日以降、計4回(往復)を予定

 

場所:関東・関西間の高速道路上の一部にて実施
<往路>:キユーピー五霞工場 → キユーピー神戸工場間
<復路>:グリコマニュファクチャリングジャパン神戸工場 → グリコ所沢DC間

 

今回の輸送区間と積載物

 

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役割:
キユーピー/Glico  実証貨物の提供
KRS ルート、運行マネジメント
T2 全体マネジメント、実験用車両の提供

・積載:キユーピー/Glico製品を予定

・検証内容 (すべての実証はドライバーが乗車し、レベル2相当で実施)
 ・貨物を積載した幹線輸送における自動運転の走行ルート及び走行リードタイム検証
 ・想定したオペレーションパターンの有効性検証

 

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当該取り組みに際し、江崎グリコ株式会社で執行役員 SCM本部長を務める髙橋 康巳氏は、「私たちが参画させていただくこの実証実験によって物流技術革新が加速し、日本でも自動運転トラックが広く拡大する一助になれたらと心より期待しております。当社グループのパーパス〝すこやかな毎日、ゆたかな人生〟と持続可能な物流の実現に寄与する先進的で重要なこの実証実験にチーム一丸となり誇りをもって取り組んで参ります」と述べた。

 

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対してキユーピー株式会社の執行役員 ロジスティクス本部長を務める前田 賢司氏は、「厳しさを増す物流環境の中で、ドライバー不足や輸送効率の低下は深刻な社会課題と捉えています。弊社はこれまでも、業界の枠を超えた幹線の共同輸送やモーダルシフトなど、さまざまな輸送手段を検討し、課題解決に向けて努力してまいりました。今回の新たな挑戦は、さらに未来を見据えたものとなります。本プロジェクトを通じて、持続可能な物流の実現と社会課題の解決に向け、積極的に取り組みを推進します」と語った。

 

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更に株式会社キユーソー流通システムで取締役執行役員 共同物流事業担当を務める岡田 敦氏は、「2024年問題」という大きな変化の中、人と食を結ぶインフラを担う当社グループは、物流の安定確保を念頭に、労働環境や労働条件の改善に向けた取り組みを推進しております。そのようななか、この度「日本の物流の未来を支えること」を使命に掲げる株式会社T2様の、大変意義深い実証実験に参加させていただきます。参加企業の皆さまと共に、持続可能な物流の実現に貢献してまいります」と話している。

 

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最後に株式会社T2で代表取締役CEOを務める森本 成城氏は、「日本の食を支えておられる両グループと共に自動運転技術を活用し、物流課題の解決とイノベーティブな物流モデル構築に向けて、実証実験にチャレンジできることを大変嬉しく思います。

 

2027年のレベル4自動運転での幹線輸送サービス開始に向け、T2は今回の実証実験に加え、関東・関西間の自動運転での走破、レベル2自動運転トラックでの幹線輸送サービス開始を予定するとともに、「自動運転トラック輸送実現会議」で13社の参加企業や政府・有識者と共に検討を進めています。

 

着実なレベル4自動運転での幹線輸送サービス開始を行い、少子高齢化先進国における新たなソリューションの創出、日本の産業競争力の維持・強化、物流・運送業界の活性化・成長産業への更なる転換に貢献し、持続可能な豊かな社会を次世代へ引き継ぎたいと考えております」と結んでいる。

 

 

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■株式会社 T2
本社所在地 : 東京都千代田区内幸町二丁目 2 番 3 号 日比谷国際ビル 1階
代表者 : 代表取締役 CEO 森本 成城
設立日 : 2022 年 8 月 30 日
事業内容 :
自動運転システムの開発、レベル 4 自動運転トラックによる幹線輸送サービス事業、幹線輸送に付随した関連サービス事業、その他関連サービス事業
企業サイト URL : https://t2.auto/

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■江崎グリコ株式会社
本社所在地 :大阪府大阪市西淀川区歌島4−6−5
代表者 :代表取締役社長 江崎 悦朗
設立日 :1929年2月
事業内容 :菓子、冷菓、食品、牛乳・乳製品の製造および販売
企業サイト URL :https://www.glico.com/jp/

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■キユーピー株式会社
本社所在地 :東京都渋谷区渋谷1-4-13
代表者 :代表取締役社長執行役員 髙宮 満
設立日 :1919年11月
事業内容 :「マヨネーズソース」その他一般ソース類の製造販売
企業サイト URL :https://www.kewpie.com/company/

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■株式会社キユーソー流通システム
本社所在地 :東京都調布市調布ケ丘3−50−1
代表者 :代表取締役社長 富田 仁一
設立日 :1966年2月1日
事業内容 :倉庫業、各種瓶缶詰類その他一般物品の包装、荷造ならびに配送等の引受業務、貨
物利用運送事業、運送取次事業、貨物自動車運送事業等
企業サイト URL :https://www.krs.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。