トヨタの自動運転ソフトウェアの先行開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(以下、TRI-AD)と、自動運転用HDマップを日本と北米で提供するダイナミックマップ基盤(以下、DMP)は、4月から新たに双方の技術を活用した実証実験を進めることで合意した。
両社は、TRI-ADのオープンソフトウェアプラットフォーム「Automated Mapping Platform(AMP:自動地図生成プラットフォーム)」を用い、車両センサーで収集した画像等のデータから道路上の変化した箇所を検出することで、DMPのHDマップの効率的な更新の可能性について実証する。
先進運転支援システムや自動運転システムのグローバルな普及に伴い、高精度及び高品質の自動運転用地図に対する需要が高まってきている。
この地図生成には、実際の道路上のペイントや構造物の変化を正確かつ迅速に把握し、効率的に地図を更新することが重要となるが、現在は主に道路工事情報等に基づいた計測車両での現地調査によって道路の変化を把握しているため、調査費用や迅速さについての課題があると云う。
今回の実証実験では、TRI-ADの画像認識技術を活用して、一般的な車両に搭載可能かつ普及価格帯のカメラで入手したデータから、道路上の変化した箇所を自動で検出する。
このTRI-ADとDMPの連携により、計測車両の走行距離や台数、人件費を大幅に削減しつつ、迅速にHDマップの更新が可能に。自動車メーカーを含むユーザーが期待する高い品質水準を保ちながら、費用を抑えた効率的なHDマップの更新が期待できると云う。
両社は、日本国内の自動車専用道路の画像等のデータを用い、TRI-ADのAMPの変化点抽出技術を活用し、DMPのHDマップ更新が効率的に行えることを確認。その後、2021年度からの運用開始を目指す。
また、更なる更新頻度の短縮に向けた方策の検討、及び北米でHDマップを提供しているUshr(DMPグループ企業)によるデータ更新へのAMP活用についても検討していく。
TRI-ADのAutomated Driving Strategy and MappingのVice Presidentのマンダリ・カレシー氏は、以下のように話している。
「私たちが開発するAMPの技術を活用することで、多くの自動車メーカーと連携し高品質なHDマップの開発と管理において業界をリードするDMPと、地図更新に資する変化点抽出技術で連携できることを嬉しく思います。
本連携を通して、自動車メーカーを含むユーザーに最新の地図データを提供することができ、さらにAMPの技術の開発も加速させることができます。
これにより、TRI-ADが目指す安心・安全な自動運転をより多くの人に提供できると考えています。TRI-ADが持つ技術開発の促進や活用範囲の拡大なども視野に入れ、今後も連携を強化していきます」。
DMP Presidentの稲畑廣行氏は、以下のように話している。
「DMPグループは、卓越したデータ精度により日本国内と北米において乗用車向けにHDマップを提供するリーディングカンパニーです。
現在、道路状況の細かな変化をタイムリーに捉えることにより、HDマップを高い鮮度で保持することを考えており、TRI-ADが開発するAMPの変化点抽出技術と連携することにより、DMP Groupはマップ更新のカバレッジとサイクル時間を改善できると考えております。
また、この取り組みがすべてのクライアントの地図更新サービスの改善に役立つとも考えています。TRI-ADと協力して、AMPの更なる活用範囲の拡大を検討していくと共に、他の自動車メーカー等が保有する画像等のデータを広く利用することで整備コストの低減にも努めていきます。その結果、すべての人にとってHDマップの品質が向上すると考えております」。
[ダイナミックマップ基盤について]
自動運転に求められる正確な自車位置推定等の要となるセンチメーター級のHDマップを整備・提供。また、2019年4月にはUshrを買収し、完全子会社化。日本国内のみならず北米でもHDマップの整備・提供を行っている。
■TRI-AD:https://www.tri-ad.global/jp/home
■ダイナミックマップ基盤:https://www.dynamic-maps.co.jp/