デルフィスは12月17日、全国の18歳~69歳の男女を対象に、第5回目となる「コロナ禍における『移動』『クルマ』に関する意識調査」を実施したことを発表した。
この調査は、コロナ禍の「移動」「クルマ」に関する意識変化を把握するため、定期的に行われている。第5回目となる今回は、2021年を控えた今の生活意識を分析。人々が自分を見つめ直す中で、特に「暮らし方」「クルマ選び」がどう変化しているかについて考察している。
引き続き、〝自動車を買いたい人〟が、〝購入中止・延期した人〟を上回る
今回の調査では、「コロナ禍の影響によりクルマを買いたくなった人(18%)」は、やや増加。引き続き、「買うのを中止・延期した人(12%)」を上回っており、クルマの購入意欲は高い結果となった。また、「クルマを買いたくなった人」のうち9%の人に実際のクルマ購入が見られた。
クルマ選びについても、「経済的な負担の軽さ」に加え、「趣味に対応」や「何にでも使える」という意識が高く見らた。先が見えない中で、多用途性を重視する傾向が見受けれる。
クルマに対する魅力を見ても、「何でもこなせる」「実用性」「シンプルな外観」など、フレキシブルで使いやすいクルマの魅力が高まっている。
コロナ第三波で混沌とした状況の中でも、前向きな生活意識
コロナ禍における「前向きに頑張りたい気持ち」は、やや回復傾向。また、来年に対する気持ちを見ると、現在(年末)よりも更に高くなっており、来年に向けてポジティブな気持ちを持っている人が多いことが窺える。
コロナ禍による価値観の変化について、「先を見通せない」と感じつつ、「少し先の未来を思い描き、がんばりたい」、「新しいもの・サービスを取り入れたい」という、今後を見据えてポジティブに生活を変えたい、何かにチャレンジしたいという傾向が表れた。
さらに、2021年にやりたいことでは、特徴的な結果となった。 「激しい変化に、柔軟に対応していきたい」という意識が高く見られ、“先を見すぎず臨機応変(少しずつチャレンジ)”という意識が窺える。
地方暮らしに対する関心は高いが、多くの人は「都心に通える範囲の地方圏」を希望
最近よく耳にする「移住」について、若い世代ほど関心が高い傾向となった。ただし、移住スタイルは、いわゆる「田舎暮らし」や「二拠点居住」ではなく「都心部に通える程度の地方圏」に関心が高く、“都心・郊外居住者”では約3割を占める結果になった。
また、地方暮らし関心層の働き方の意向は、“都心・郊外居住者”では「現在の会社」「地方の会社」「独立」で、それぞれ2〜3割と一定数存在。また、地方での交通手段は、やはり「自家用車」が圧倒的に高い結果となり、生活を支える存在として認識されている。
2021年に向けた新たな一歩は、変化に柔軟に対応できる「スモールチャレンジ」
デルフィスでは、新型コロナウイルスが与えた社会の構造変化や、人々の生活意識への大きな影響を探るべく、2020年4月を皮切りに計5回に渡り調査を実施している。今回は、その生活者意識が来年に向けどう変化していくのかを考察した。
今春、人々の生活様式は大きく変化したが、その中でデルフィスが着目していたのは、未曾有の出来事の渦中でも気持ちが落ち込むことなく、「前向きに頑張ろうという気持ち」の人が多かったことだ。その背景には、誰も経験したことのない事態に対し、その深刻さを受け止めつつも事態の悪化を想定しきれなかったことにあると推察している。
今回の第5回調査では、「来年に向け前向きに頑張りたい」と答えた人が82%存在し、そのポジティブマインドが継続していることが判明。そして、この前向きな気分は新しいことを少しずつ始めようという意識に繋がり、「暮らし方」「クルマ選び」といった比較的大きな判断にも影響を与えているとしている。
まず「暮らし方」では、都心・郊外に暮らす人のうち60%の人が地方暮らしに関心があることが判明。ただし、いきなり地方に暮らすというよりは、今の職場に通勤できる範囲で、「ほどよく都会でアクセスの良い田舎」に住みたいというニーズが高まっているという。まずは移住体験から始めるプチ移住、あるいは試住といった言葉も聞かれる。
次に「クルマ選び」については、こちらも先が見通しづらい時代にあって、生活の変化に柔軟に対応できるような、マルチタスクで使い勝手の良い車が求められているようだ。また、柔軟なクルマ選びという点では、サブスクも伸長で、トヨタ自動車がサービスを提供している自動車サブスク「KINTO」は昨年比8倍(2020年7-9月:前年同期比)の申し込み件数となっている。
このように、2021年に向け新たな一歩を踏み出そうとしている人が増えているが、その変化や挑戦の仕方の特徴は、思いっきり振り切るというよりは、世の中の変化に柔軟に対応できるスタイルであり、まずは小さく始めてみる「スモールチャレンジ」ともいえるだろう。
変化の激しい時代だけに、用意周到な人生設計をするというよりは、数年先くらいを見通して、柔軟な変化に対応できるような選択をする時流が芽生えているようだ。消費活動の面でいえば、そういったスモールチャレンジや生活変化に柔軟に対応できる、実用性のあるモノ選びだったり、まずはお試しできるような消費活動が芽生えているとしている。
■調査概要
– 調査時期
①【第1回】2020年4月28日~29日(GW前半)
②【第2回】2020年5月11日~12日(GW後半)
③【第3回】2020年6月 8日~10日(緊急事態宣言解除後)
④【第4回】2020年8月17日~19日(第二波/お盆明け)
⑤【第5回】2020年12月7日~9日 (第三波/年末時期)
– 調査地域:全国
– 調査対象者:18~69歳男女
– サンプル数と対象者割付:人口構成比(性年代)に合わせ割付
<調査①③④⑤> 合計1,000人
<調査②> 合計600人
※10代は18~19歳のみ
– 調査手法:インターネット調査