NEXT MOBILITY

MENU

2019年3月4日【トピックス】

第一交通産業とウーバー、タクシー配車サービスで戦略的連携へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

国内最大手の第一交通産業、広島市内及び安芸郡の一部など限られた特定エリアであるがタクシー配車サービスで先陣を切る

 

 第一交通産業株式会社(本社:北九州市、代表取締役社長:田中 亮一郎)と Uberジャパンは3月4日、タクシー配車サービスで戦略的パートナーシップを締結したと発表した。(坂上 賢治)

 

対して米国資本のUberは、既にタクシー会社との連携を重視する戦略を打ち出しており、名古屋、大阪、仙台の3都市でUberアプリを通じたタクシー配車サービスを展開している。

 

 今回は、事業規模で国内最大手の第一交通産業と戦略的パートナーシップを締結することにより、日本国内のタクシー会社との連携を強化し、日本のタクシー市場での新たなタクシー乗車体験を消費マーケットに向けて提供していく構えだという。

なおこの締結に伴い、今春以降、まずは広島市内及び安芸郡の一部など限られた特定エリアで第一交通産業グループのタクシーをUberアプリを通じて手配することが可能となる。

 

 

乗客は到着時刻の共有機能、GPSによるリアルタイムでの追跡機能、同乗者との割り勘機能、過去の乗車履歴の確認機能など世界中で幅広く提供しているユーザー体験の浸透を図っていくものと見られる。

 

 なおこの戦略連携について第一交通産業の田中亮一郎代表取締役社長は「このパートナーシップ締結にあたり、世界中に数多くのユーザーを抱えるUberの配車サービスと連携することを正式に決定しました。

この配車サービスを通じて、訪日外国人のみならず日本のお客様のニーズに応え、より快適な乗車体験を提供できると確信しています」と話している。

 

配車事業者との連携については、NEXT MOBILITY10月号< https://amzn.to/2EJ0C8H >での企業トップへの単独インタビュー記事「LEADERS VOICE」に於いても田中亮一郎社長からタクシー業界の未来、並びに次世代戦略についての話を聞いており、そうした構想の一端がいよいよ見えてきたというところのように考えられる。

 

 

 一方、Uberジャパンのモビリティ事業 ゼネラルマネージャーのトム・ホワイト氏は、「日本のタクシー業界最大手である第一交通産業との提携実現を光栄に思います。

今後、一人でも多くの日本に住む方々や観光で訪れた方々に、Uber アプリを通じた配車サービスを提供したいと考えています」とコメントした。

 

ちなみに両社は今後、日本国内の広域エリアで順次サービスを展開していくことを目指していく構え。個別のサービス内容やその詳細については開始前に改めて発表する予定だとしている。

 

 最後に第一交通産業の歩みだが、1960年に創業者で現・代表取締役会長の黒土始氏(96)が、北九州市で第一タクシー有限会社を創業したのが皮切り。現社長の田中亮一郎氏(59)は、元テレビ朝日編成局企画部から同社に入社(1994年)した後の2001年6月、代表取締役社長に就任した。

 

事業沿革としては1980年代にM&Aを加速。九州・山口を足掛かりに全国各地のタクシー会社を買収して成長する。1995年に、九州内のタクシー会社28社と自動車教習所1校、不動産会社2社が合併し、第一交通産業株式会社となる。

 

2000年4月26日に福岡証券取引所に上場。2004年に沖縄県のバス会社・那覇交通の事業を譲受し路線・観光バス事業へ本格進出した。さらに琉球バスの事業も2006年に譲受し、同年9月に琉球バス交通として事業を開始している。

 

 現在では、北海道から九州・沖縄に至る全国で事業所を持ち、グループ内会社数165社。グループ全従業員数約15,000名。グループ全営業車両数9,154台(タクシー・バス他/平成30年3月末時点)、連結売上高1,007億円(平成30年3月期)の国内最大手のタクシー事業者となっている。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。