耕・畜・工連携により竜王町の資源循環プロジェクトを推進
ダイハツと滋賀県竜王町は12月9日、持続可能な地域社会の実現に向け竜王町ならではの取組みに挑戦する。それはダイハツの滋賀(竜王)工場第1地区で「竜王町バイオマス産業都市構想」を背景に、自動車製造の考え方で新しくバイオガス実証プラントを建設して、実証稼働させたもの。
上記の稼働は、耕種農業・畜産業・工業(耕・畜・工)が一体となって、地域のバイオマス資源を活用・循環させる〝竜王町バイオマス産業都市構想〟の取り組みの一環となる。
このバイオマス産業都市構想とは、バイオマス原料の収集・運搬から製造・利用まで経済性を確保したシステムを一貫構築。バイオマス産業を軸とした環境に優しく、災害に強いまち・むらづくりを目指すもので、関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)により選定された。
そこで竜王町は、2023年1月に滋賀県の市町村として初めて「バイオマス産業都市」に認定された同構想を推進。その一環となる「バイオガス化プロジェクト」は、竜王町主導のもと、町内の耕種農業・畜産業(近江牛)・工業(自動車製造)が連携して牛糞からバイオガス(メタンガス)を生成。
これをカーボンニュートラル燃料として利用すると共に、発酵残渣を用いて堆肥や液肥を製造して有機肥料として活用することで、竜王町内のバイオマス資源の循環を目指す取組みとなる。
ダイハツは、2021年から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、近江牛の糞尿を発酵材料とした基礎研究、バイオガス製造の技術開発、自動車製造の考え方を用いた独自のバイオガス実証プラントの立ち上げを進めてきた。
なお実証プラントは、数年以内に規模を拡大させて本格事業としての立ち上げを目指しており、将来的には1日あたり約20トンの牛糞からバイオガスを生成し、鋳造工場に於けるアルミニウム溶解に必要な燃料ガスの約10%を賄うことで、工場自体のカーボンニュートラルも併せて達成させたい考えだ。
今後も竜王町とダイハツは、同プロジェクトを通じて、地域の活性化と環境に優しい竜王町生産品(近江牛・近江米などの農作物・自動車)のブラント価値向上を目指すと共に、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを推進し、持続可能な地域社会づくりに貢献していくと結んでいる。
—————————————
バイオガス化プロジェクトの内容は以下の通り
<耕・畜・工連携の資源循環>
– 近江牛の牛糞をプラント内で処理・発酵することでバイオガスを製造し、カーボンニュートラル 燃料として活用。
– 発酵残渣は、堆肥・液肥にして農業で活用。有機農法を拡大させて持続可能な農業に貢献。
– 収穫後の稲わらは、牛の餌として安定供給。
※竜王町バイオマス産業都市構想 https://www.town.ryuoh.shiga.jp/biomass/top/top.html
—————————————
バイオガス実証プラントの概要
1.全体概要
– 水分含有量が少ない肉牛糞尿の特性に合わせ、独自の「乾式メタン発酵」技術を開発。
– 自動車製造ラインと同様の考え方で、発酵槽が工程を移動しプロセスが進行。
– 各工程の必要機能を自社で開発、設計。近在の協力メーカーや内製での製作、 既存設備の転用改造など、技術を手の内化。
– 自動車デザイナー考案のプラントカラーデザイン。
2.実証プラントの各工程の流れ
(2-1)牛糞の収集~発酵準備
– 1日あたり約2トンの牛糞を牧場より収集。
– プラントにて牛糞、メタン菌を含む液(消化液)・水を混合・調整し、発酵槽に投入。
(2-2)牛糞の発酵~バイオガスの活用
– 小型バッチ式発酵槽約80個を収納できる発酵棚に発酵槽を設置、バイオガスを生成。 個々の発酵状態を個別管理。
– 工場内のアルミニウム溶解炉の排熱を回収し、メタン発酵の温度保持に活用(CO2削減)。
– 生成したバイオガスは、小型自動車用エンジンを用いて新たに開発したバイオガス発電機にて 使用し、工場のカーボンニュートラル電気として活用。
(将来的にはアルミニウム溶解炉にてカーボンニュートラル燃料として活用)
(2-3)発酵残渣の活用
– 発酵残渣は固体と液体に分離し、堆肥(固体)と液肥(液体)を製造。
– 竜王町の農家にて有機肥料として活用。環境配慮型農業として竜王町産食材のブランド化に寄与。
– メタン菌を豊富に含む液肥(消化液)の一部を、次回の発酵種菌として活用。
—————————————
(以下は参考リンク)
2023年COP28出展時の説明動画 : https://youtu.be/Zl0FZR2S7JE
ダイハツ工業公式HP サステナビリティの取組み : https://www.daihatsu.com/jp/csr/environment/lcs/manufacture.html
説明資料 : https://www.daihatsu.com/jp/news/2024/20241209-3_guidance.pdf
※ 同成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成業務の結果得られた。