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2024年12月10日【イベント】

ダイハツと竜王町のバイオガス実証プラントが本格稼働

坂上 賢治

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耕・畜・工連携により竜王町の資源循環プロジェクトを推進

 

ダイハツと滋賀県竜王町は12月9日、持続可能な地域社会の実現に向け竜王町ならではの取組みに挑戦する。それはダイハツの滋賀(竜王)工場第1地区で「竜王町バイオマス産業都市構想」を背景に、自動車製造の考え方で新しくバイオガス実証プラントを建設して、実証稼働させたもの。

 

 

上記の稼働は、耕種農業・畜産業・工業(耕・畜・工)が一体となって、地域のバイオマス資源を活用・循環させる〝竜王町バイオマス産業都市構想〟の取り組みの一環となる。

 

 

このバイオマス産業都市構想とは、バイオマス原料の収集・運搬から製造・利用まで経済性を確保したシステムを一貫構築。バイオマス産業を軸とした環境に優しく、災害に強いまち・むらづくりを目指すもので、関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)により選定された。

 

 

そこで竜王町は、2023年1月に滋賀県の市町村として初めて「バイオマス産業都市」に認定された同構想を推進。その一環となる「バイオガス化プロジェクト」は、竜王町主導のもと、町内の耕種農業・畜産業(近江牛)・工業(自動車製造)が連携して牛糞からバイオガス(メタンガス)を生成。

 

これをカーボンニュートラル燃料として利用すると共に、発酵残渣を用いて堆肥や液肥を製造して有機肥料として活用することで、竜王町内のバイオマス資源の循環を目指す取組みとなる。

 

 

ダイハツは、2021年から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、近江牛の糞尿を発酵材料とした基礎研究、バイオガス製造の技術開発、自動車製造の考え方を用いた独自のバイオガス実証プラントの立ち上げを進めてきた。

 

なお実証プラントは、数年以内に規模を拡大させて本格事業としての立ち上げを目指しており、将来的には1日あたり約20トンの牛糞からバイオガスを生成し、鋳造工場に於けるアルミニウム溶解に必要な燃料ガスの約10%を賄うことで、工場自体のカーボンニュートラルも併せて達成させたい考えだ。

 

 

今後も竜王町とダイハツは、同プロジェクトを通じて、地域の活性化と環境に優しい竜王町生産品(近江牛・近江米などの農作物・自動車)のブラント価値向上を目指すと共に、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを推進し、持続可能な地域社会づくりに貢献していくと結んでいる。

 

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バイオガス化プロジェクトの内容は以下の通り

 

<耕・畜・工連携の資源循環>
– 近江牛の牛糞をプラント内で処理・発酵することでバイオガスを製造し、カーボンニュートラル 燃料として活用。
– 発酵残渣は、堆肥・液肥にして農業で活用。有機農法を拡大させて持続可能な農業に貢献。
– 収穫後の稲わらは、牛の餌として安定供給。

※竜王町バイオマス産業都市構想 https://www.town.ryuoh.shiga.jp/biomass/top/top.html

 

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バイオガス実証プラントの概要

 

1.全体概要

 

– 水分含有量が少ない肉牛糞尿の特性に合わせ、独自の「乾式メタン発酵」技術を開発。
– 自動車製造ラインと同様の考え方で、発酵槽が工程を移動しプロセスが進行。
– 各工程の必要機能を自社で開発、設計。近在の協力メーカーや内製での製作、 既存設備の転用改造など、技術を手の内化。
– 自動車デザイナー考案のプラントカラーデザイン。

 

 

2.実証プラントの各工程の流れ

 

(2-1)牛糞の収集~発酵準備
– 1日あたり約2トンの牛糞を牧場より収集。
– プラントにて牛糞、メタン菌を含む液(消化液)・水を混合・調整し、発酵槽に投入。

 

(2-2)牛糞の発酵~バイオガスの活用
– 小型バッチ式発酵槽約80個を収納できる発酵棚に発酵槽を設置、バイオガスを生成。 個々の発酵状態を個別管理。
– 工場内のアルミニウム溶解炉の排熱を回収し、メタン発酵の温度保持に活用(CO2削減)。
– 生成したバイオガスは、小型自動車用エンジンを用いて新たに開発したバイオガス発電機にて 使用し、工場のカーボンニュートラル電気として活用。
(将来的にはアルミニウム溶解炉にてカーボンニュートラル燃料として活用)

 

(2-3)発酵残渣の活用
– 発酵残渣は固体と液体に分離し、堆肥(固体)と液肥(液体)を製造。
– 竜王町の農家にて有機肥料として活用。環境配慮型農業として竜王町産食材のブランド化に寄与。
– メタン菌を豊富に含む液肥(消化液)の一部を、次回の発酵種菌として活用。

 

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(以下は参考リンク)
2023年COP28出展時の説明動画 : https://youtu.be/Zl0FZR2S7JE
ダイハツ工業公式HP サステナビリティの取組み :  https://www.daihatsu.com/jp/csr/environment/lcs/manufacture.html
説明資料 : https://www.daihatsu.com/jp/news/2024/20241209-3_guidance.pdf

※ 同成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成業務の結果得られた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。