ダイハツ工業と関西学院大学・理工学部・田中裕久研究室の研究グループは、福島第一原発廃炉のプロセスにおける課題の一つである水素安全の確立のため、自動車触媒を応用した「ハニカム型水素安全触媒」を開発した。
「ハニカム型水素安全触媒」は、ガソリン自動車用ハニカム型触媒を応用し、外部からの電力供給などが要らない、燃料デブリ等から放射線分解により発生した水素と酸素を水に戻す装置。密閉保管容器内で水素ガスが発生する課題を解決し、福島第一原子力発電所の廃炉の際に、燃料デブリ等を安全に搬出・輸送、そして長期間に渡る安全な保管を可能にすると云う。
ダイハツと関西学院大学は今後、この実用化に向けたステップに移行する。
[開発した触媒の特長]
・燃料デブリ等の保管容器内で発生する水素を、安全な濃度(4%未満)に保つ。
・高活性で、様々な環境で性能発揮(マイナス 20 ℃から水素濃度を低減可能)。
・外部からの電力供給が不要。
・セラミックス・ハニカムに塗布されているため、軽量で取扱いが容易。
・コンパクトで、保管容器にほとんど改㐀を加えることなく取り付け可能。
・貴金属使用量が極めて少ない。
・量産が可能で、実用性が高い。
なお、研究開発は、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた国家プロジェクト「国家課題対応型研究開発推進:英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(平成28~30年度)」の枠組みにおける「廃炉加㏿化研究プログラム:廃棄物長期保管容器内に発生する可燃性ガスの濃度低減技術に関する研究開発(研究代表者:長岡技術科学大学 高瀬和之教授)」の中で実施。
ダイハツと関西学院は、日本原子力研究開発機構と協力し、大型放射光施設SPring-8にて反応メカニズムを解析。触媒の試作には、キャタラーと日本ガイシの協力を得た。
また触媒改良の効果は、ドイツ・ユーリッヒ研究所 (Forschungszentrum Juelich GmbH)の大スケール反応装置を用いて実証を行った。