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2024年1月19日【MaaS】

電脳交通、副業タクシー乗務員の実証実験結果を報告

坂上 賢治

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第二回は日本版ライドシェアに適応した採用サービスの実証実験を実施予定

 

電脳交通は1月19日、目下タクシー業界で最重要課題とされる乗務員不足への新たな取り組みとして、隙間時間にタクシー乗務員として働くことを希望する二種免許保有者(副業タクシー乗務員)をタクシー事業者が採用する実証実験「スポドラ(第一回実証実験)」を2023年11月10日から2024年1月9日まで実施した。

 

なお第二回実証実験は、2024年4月以降に日本版ライドシェアにも適応した採用サービスの実証を行うことを予定しているという。

この実証実験の背景は、コロナ禍が収まり、国内でオーバーツーリズムの話題と共にタクシー業界で乗務員不足が重要課題として取り沙汰されていることから取り組んだもの。

 

あえて取り組んだその理由は、業界への先入観・イメージとして「勤務時間が長い」「柔軟に働けなさそう」という声もある一方で、実際は柔軟な働き方の調整が可能なタクシー事業者も多く存在するため。

 

また乗務員不足は需要ピークの朝・夕の通勤時間帯や深夜帯、週末のイベント開催時など特定の時間帯需要に対応できれば、現況が大きく改善されるという仮説のもと実証実験を行ったとしている。

 

実証実験の概要は、電脳交通が二種免許保有者に需要ピークの特定時間帯だけ勤務してもらう形の副業特化採用サービスを実証実験として開始。副業人材を受け入れたいタクシー事業者と求職者をマッチングする役割を担い、業界の重要課題である乗務員不足の解消・緩和を目指した。

 

実証実験期間:2023年11月10日から2024年1月10日
実証エリア:横浜・埼玉
報酬形態:1時間/1,200円〜1,800円の時給制(固定制 残業割増・深夜割増あり)
     深夜・早朝などタクシー需要が増加する時間帯は時給アップ
就労条件:週1日以上、1日4時間以上(前日までのシフト提出で勤務可能)
その他 :研修機関の教習所通学から時給発生

 

実証実験の結果サマリーは以下の通り
✓ 横浜・埼玉エリアで約30名の求職者からの応募獲得
✓面接調整に進んだ求職者の内、72%が二種免許を既に保有
✓複数名内定獲得

 

実証実験結果( PDF )の成果概要は左記リンク、または以下の通り。

 

<実証の背景と目的>
【背景】
・タクシー業界の採用が難しい要因の一つとして“勤務時間が長い”という業界へのイメージ“がある。
・タクシー業界における乗務員不足は一日中の問題ではなく、朝・夕などの特定のピーク時間帯需要によるものという仮説もある。
【目的】
・タクシー会社が課題を感じているピーク時間帯にだけ働いてもらう副業乗務員に特化した採用が可能かどうかを検証すること。
・二種免許を保有していて「副業ならタクシー乗務員をしたい」と捉える人がどの程度いるのかを確認すること。

 

<スポドラ 実証概要>
【スポドラの特徴】
・前日のシフト提出で勤務可能
・勤務する時間帯や曜日、時期により給料が変動。
【採用条件】
・報酬形態:1時間/1,200円~1,800の時給制(固定制 残業割増・深夜割増あり)
 深夜・早朝などタクシー需要が増加する時間帯は時給アップ
・就労条件:週1日以上、1日4時間以上(前日までのシフト提出で勤務可能)等

 

<スポドラ 実証結果>
【結果】
・副業に焦点を当てたブランディングを行った求人サイトにより、「タクシーの副業乗務員を希望する求職者」を引き込むことが可能と確認した。
・二種免許を保有していて「副業ならタクシー乗務員をしたい」と捉える人が一定数いることを確認した。
【詳細】
・約30名の求職者から応募があった。
・面接調整に進んだ求職者の内、72%が二種免許を保有していた。
・採用となった求職者にスポドラを見つけた理由をヒアリングをした結果、「副業に特化した求人サイト」を探していて見つけたとのことだった。

 

今後の展望として電脳交通では、日本版ライドシェアに適応した採用サービスの実証実験を「スポドラ」で実施を予定している。

 

より具体的には、「今回の実証実験の対象であった〝タクシー業界での隔日勤務が合わず辞めてしまったタクシー乗務員など二種免許を保有されている方 〟に加えて、第二回の実証実験では、〝一種免許保有の自家用車での営業を希望される求職者〟をターゲットに加えた実証を行うことを予定しております。第二回目の実証予定時期は2024年4月以降に予定しております」と話している。

 

なお実証実験において「スポドラ」を利用した企業の声は以下の通り

 

三和交通株式会社 代表取締役社長 吉川 永一 氏
当社のタクシー稼働率は9割程度あり高稼働を維持しています。ただ、朝・夕・深夜帯などのピーク時には配車が追い付かないこともあります。また業界全体での乗務員不足もピーク時に顕著です。

 

この問題に対処するため、スポドラによりピーク時に限定して副業乗務員を採用するという施策は効果的であると考えています。

 

今回当社が内定している方はとても優秀であり、スポドラが副業に焦点を当てていることが求職者の応募につながっていることも確認できました。この点においてこの施策の価値を実証できたと考えています。今後は4月以降の日本版ライドシェアへの対応を期待しております。

 

~「電脳交通 FUTURE SUMMIT 2024」開催のご案内~
なお電脳交通は、2024年2月19日(月)、20日(火)に「電脳交通 FUTURE SUMMIT 2024」と題したタクシー事業者向けのオンラインイベントの開催を予定している。
事前申込み制、参加は無料。詳細は右記URLリンクを参照されたい。

 

株式会社電脳交通の概要
会社名 :株式会社電脳交通(英語表記:Dennokotsu Inc.)
所在地 : 徳島県徳島市寺島本町西1丁目5 アミコ東館6階
設 立 :2015年12月
代表者 :近藤 洋祐
従業員 :169名(2023年8月末時点)
資本金 :1億円(2023年8月末時点)
主要株主:三菱商事、JPインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、JR東日本スタートアップ、JR西日本イノベーションズ、四国旅客鉄道、GO株式会社、第一交通産業グループ、エムケイ、沖東交通、三和交通、NTTドコモ・ベンチャーズ、阿波銀行、徳島大正銀行、いよぎんキャピタル、ブロードバンドタワー(敬称略、順不同)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。