日産自動車と熊本日産自動車、日産プリンス熊本販売は、熊本市と「電気自動車を活用した持続的なまちづくりに関する連携協定」を締結した。九州での日産と自治体の連携は、熊本市が初。
協定は、熊本市が、『電気自動車(EV)の普及を通じて、温室効果ガスの削減や地域課題解決に取り組むと共に、地震災害等による大規模停電が発生した際に、市が指定する避難所等において、日産の販売会社である熊本日産自動車およびプリンス熊本販売より貸与される電気自動車(EV)「日産リーフ」を電力源として活用することで、避難所の円滑な運営を行い、市民の安全確保に努める』というもの。
熊本市は、地方自治体による持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた優れた取組みを提案する都市として、内閣府に認められ、今年7月1日に、「SDGs未来都市」として選定されている。
一方日産は、日本が抱える環境負荷低減や災害対策等の課題解決のため、昨年5月に日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を発表。全国の自治体や企業と協力して、EVの普及を通じた社会の変革を積極的に推進。
今回、この「ブルー・スイッチ活動」と熊本市の「SDGs未来都市」に双方が賛同し、協定締結へと至ったと云う。
なお、この連携事業は、熊本市が、「熊本地震の経験と教訓をいかした地域(防災)力の向上事業」として国に提案し、特に先導的な取組として認められた事業の一環となっている。
[協定の概要]
① EV普及促進による市民の環境意識の向上
熊本市と日産は、EVの普及啓発を行うほか、熊本市のイベントで使用する電力をEVから供給することで、「動く蓄電池」として活用できることを市民へ積極的にアピールしていく。
② 災害時におけるEV活用による市民の安全確保
日産、熊本日産およびプリンス熊本販売は、熊本市で災害発生を起因とする停電が発生した際または災害が起こりうる状況で市からの要請があった際に、熊本市が指定する避難所(熊本市の避難所19か所)に、熊本日産自動車/プリンス熊本販売の店舗に配備しているEV「日産リーフ」を無償で貸与する。
熊本市、日産、熊本日産、プリンス熊本販売が協力してEVからの給電を行うことで、災害時においても継続して電力が供給できる体制を整え、避難所の円滑な運営を図り、市民の生命及び身体の安全を守る。
③ EV普及を通じた地域課題の解決
熊本市は、地域力や防災力を確保するための地域のつながり確保や、大気汚染や騒音の解消など、日産と連携しながら、EVの普及を通じて、市の地域課題の解決を図る。
熊本市は、3年前の熊本地震後、「熊本市震災復興計画」を策定する中で、防災・減災のまちづくりの取組として、災害に強い自立・分散型のエネルギーシステムの構築を計画し、清掃工場を核としたエネルギー事業を展開。
熊本市が出資した地域エネルギー会社が、市施設への電力供給事業を行うほか、大型蓄電池や自営線の設置およびEV充電拠点などの整備を行うことで、エネルギーの地産地消の推進や地域内経済循環に加え、防災力の強化を図っている。
日産自動車は、3年前の熊本地震発生の際、熊本の販売会社と連携して義援金拠出の他、「日産リーフ」と「e-NV200」を合わせて約100台貸与。また飲料水や白米などの必要物資の支援を行うなど、絆を強めてきた。
日産と熊本市はこの協定締結を機に、今後も、温暖化対策の推進、災害に強いまちづくりなど、EV普及を通じて、様々な地域課題を解決し、SDGsの達成に向けて連携を強化していくとしている。