中日本高速道路(以下「NEXCO中日本」)は11月5日、NTTドコモ(以下「ドコモ」)と一橋大学、立命館大学が、ナッジを活用した観光情報の配信により、混雑・渋滞の緩和とそれによるCO2排出削減を目的とする実証実験を開始すると発表した。
実証実験では、商業施設などの観光情報と「AI渋滞予知」に基づく渋滞予測情報を配信する。配信にあたりナッジの活用と、ドコモの保有する情報やAI技術などにより、個々の利用者にパーソナライズした内容とすることで、渋滞緩和によるCO2排出抑制と観光促進の効果向上をめざす。
実証実験期間は、2021年11月6日(土)から約2ヶ月間。また実証実験は、上記3者に加えて、御殿場プレミアム・アウトレットを運営する三菱地所・サイモン、ドコモとともに2021年10月より「東名の渋滞予測TODAY」の実証を開始したNEXCO中日本、当該地域の観光促進を担う御殿場市観光協会とも連携して実施される。
なお、実証実験は、環境省の委託事業「令和3年度低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業」の一環でおこなう。この事業では、2つの課題に取り組む。
1つ目の課題は、「ナッジ(nudge:そっと後押しする)」の効果改善。ナッジは行動経済学理論に基づき、人々が自身にとってより良い行動(例:健康促進、疾病予防)を自発的に選択できるよう促す取り組みを指す。費用対効果が高く世界的に注目されているが、効果は個人差があり得るため、「Behavioral Insights-Technology(以下BI-Tech)」による効果向上が期待されている。そこで、ドコモの保有するお客さま 情報やAI技術などを活用し、パーソナライズされたナッジ配信を通じて観光促進の向上効果を検証する。
2つ目は、エリア全体のCO2排出削減効果の検証。情報配信により多くの運転者が移動行動を変更すると、本来発生するはずであった渋滞が緩和したり、お薦めの場所に向かうルートで新たに渋滞が発生するなど、エリアの交通量に一定の影響を与える。自動車のCO2排出は交通状況に大きく左右されるため、移動行動を変更した運転者だけではなく、エリアを走行するその他の運転者への影響も含めた、自動車のCO2排出量を検証する必要がある。そこで、「Multi-Agent Simulation(以下MAS)」によって、情報配信による行動変容がある場合、ない場合の交通量をシミュレーションし、CO2排出削減効果を検証する。
■実証実験における各者の役割
・ドコモと一橋大学は、パーソナライズしたナッジによるメッセージ配信を実施し、配信対象者の観光促進効果を分析する。
・ドコモと立命館大学は、対象者らが渋滞を回避する行動を選択した際の交通影響をシミュレーションし、エリア全体のCO2排出削減効果を検証する。
・ドコモと三菱地所・サイモンは、フィールド実証の企画・実施と、実証専用アプリへの観光情報配信の企画・実施をおこなう。
・ドコモと御殿場市観光協会は、実証専用アプリへの観光情報配信の企画・実施をおこなう。