日本出版販売(日版)は、トーハンとの間で、両社における物流協業の検討を開始する基本合意書を11月7日に締結した。両社は、各々からメンバーを選出し、物流協業に関してのプロジェクトチームを発足する。
なお、今回の基本合意書の締結は、今年(平成30年)4月19日から公正取引委員会に物流協業に関する事前相談を行い、同年10月12日、同委員会からの回答を受けてのものだと云う。
出版物の売上は1996年をピークに減少を続けている。2017年度には、ピーク時の52%程度の規模にまで縮小。昨今の輸送コストの上昇と相まって流通効率の悪化が顕著となり、全国にわたる出版物流網をいかに維持するかが、業界全体の喫緊の課題となっている。
今回の両社による取り組みは、課題の解決のために行われるもので、同時にプロダクトアウトからマーケットインを目指した抜本的な流通改革への新たな一歩となることを目指すものだと云う。
両社は、制度面・システム面を含めて、厳密な情報遮断措置を講じることを前提に、両社の物流拠点の相互活用ないし統廃合を中心とした出版流通の合理化に向けた物流協業について検討。それぞれが保有する経営資源を有効活用することを基本として、システム面・業務面などからの実現可能性と経済的合理性を評価し、物流協業の具体的な方向性の検討を進める。
また、具体的な検討作業のために、日版・トーハン各社からメンバーを選定し、プロジェクトチームを設置する。
なお、両社は検討を進めるにあたり、各社において、独占禁止法遵守の観点から機微情報の厳密なコントロールを行う。
具体的には、機微情報の目的外利用を防止するため、プロジェクトチームのメンバーを限定し、情報交換の範囲や運用管理を明文化する等の措置を講じる。また、必要に応じて公正取引委員会への報告・相談を行っていくとしている。