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2024年3月25日【MaaS】

Luup、特定原付等のシェアで訪問介護事業者と連携

坂上 賢治

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電動キックボードや電動アシスト自転車シェアサービスのLuup社は3月25日、報道陣を募ってメディア向け発表会を開き、同壇上で京都の訪問介護事業者の「訪問介護まごのて一条(代表:北川 美江)」並びに「よりどころ訪問介護事業所(代表:岡本圭太)」と連携することを発表した。

 

より具体的には、電動キックボードや電動アシスト自転車を活用した訪問介護勤務を効率化させるための取り組みを開始する。今回は、Luup社のシェアリングサービスを訪問介護スタッフ向けに安価な特別プランで提供。訪問介護時の移動効率の向上、コスト削減を図る。

 

今回、Luup社との連携を決めた訪問介護事業2社は、これまで自動車・バイク・自転車・公共交通機関などを用いてサービス利用者の自宅へ訪問していた。

 

しかし、こうした移動手段には交通費や車両の維持に掛かるコストや管理の課題があった。また自動車・バイクによる移動は運転免許が必要であることから採用上の課題にも繋がっていた。

 

加えて「介護支援先付近に駐輪場や駐車場がない」「移動時間の長さから介護サービスを提供できる時間が圧迫される」などの理由から、介護支援を断らざるを得ないケースもあったという。

 

そうしたことから今回、小型車両シェアの利用で「車両の維持に掛かるコストが不要になること。街中で高密度にポートがあることから「駐輪場・駐車場の懸念を軽減できること」、スピーディな移動が実現することで「効率的な稼働が可能となることから、適切な介護サービスの提供す環境に繋がるとしている。

 

加えてキックボードは電動で動き、自転車は電動アシスト機能が付いているため、移動時の披露経験効果もある。

 

写真左から、「訪問介護まごのて一条」の北川美江代表取締役。Luupの岡井大輝CEO、「よりどころ訪問介護事業所」の岡本圭太代表取締役

 

同連携についてLuup社の岡井大輝CEOは、「この度、介護というこれからの日本にとって必要不可欠なサービスを提供している事業者様と連携できることについて、とても嬉しく思っています。

 

当社は創業当初、数十年後の日本の課題解決に繋がるインフラを作りたいという思いから当初から、介護士やその資格を持つ方々がシェアスポットを介して、サポートを行うCtoC事業を構想していました。

 

しかし日本では、駅から離れたところにご自宅があるご家庭も多く、現状の交通インフラや都市構造がCtoCサービスの普及に不向きであると考えたことから断念し、まずは短距離移動手段の確立に着手することにした経緯があります。

 

そうした意味で当社サービスは、まだまだ道半ばであり、京都市に於いてもポート数・車両数共に増やす必要がありますが、訪問介護事業者様に、我々のサービスの可能性を見出して頂けたことは感慨深く身が引き締まる思いです。

 

今後も、街じゅうの移動がより便利になり、訪問介護を含めた方々のお仕事に係る夢が大きく膨らむよう同サービスを、より精力的に推進してまいります」と話している。

 

対して訪問介護まごのて一条の北川美江代表取締役は、「(Luupのシェアサービスの)導入を決めた理由は色々ありますが、その中でも最も大きい理由は移動手段としての有用性です。

 

バイク、車での移動手段ですと免許の問題や渋滞の問題、駐車料金の問題があり、また自転車ですと業務の特性上、介護に係る荷物も持たねばならないことから身体的に疲労が溜まる課題がありました。そこでLuup社のサービスを利用することで、それらの課題が解決できると考えて今導入に至りました。

 

また当社の訪問介護では、移動に伴う支援の始点(主に家)と終点(主に学校や病院)が異なる支援の形もあります。そうしたケースでは、時間のロスが大きく、支援の依頼を頂いても受けられないことがありました。

 

今後は、より効率的に介護支援サービスに関わることができ、必要な方に必要な支援が届けられる一助になると考えました。シェアサービスの利用により、そうした移動の課題が改善され、より多くの支援が行えるのではないかと考えたことが今提携に至った切っ掛けです」と業務上の課題とその解決について説明した。

 

更に、よりどころ訪問介護事業所の岡本圭太代表取締役は、「事務所周辺にLuup社が管理するシェアリングポートが沢山あり、公共交通機関並みのインフラになっていることに気付いたこと。また、これを私たちのようなエッセンシャルワーカーが、利用者様宅への訪問時の移動で活用できると考えたのが、ひとつの切っ掛けとなりました。

 

弊社は2024年3月1日に訪問介護事業を始めた会社です。Luup社のサービスを活用する事で、訪問介護にも、こんな働き方ができると知って頂ける機会になればと思います。介護業界でも特に訪問介護の分野は人手不足で、それらが話題になりがちです。そんな人出不足にも一役を担うのではと考えています。

 

今や街のインフラとして整備されている同シェアサービスゆえに、〝私の家の近くにあるから訪問介護に挑戦してみよう〟〝介護の資格を持っているが活かせてなかったけれども、もう一度訪問介護の現場に出てみよう〟と考えて下さる方が増え、我々が抱えている人材不足の解決の糸口になるのではと期待しています」と将来に向けての期待を語った。

 

連携内容
・連携開始日:2024年3月25日(終了日未定)

 

・連携内容
(1)訪問介護スタッフ向けに電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP(サービス)」の割引クーポンの提供
(2)訪問介護事業所へのポートの設置
(3)訪問介護業務に於けるLUUP(サービス)の利用、Luup(社)へのフィードバック

 

まずは日々の介護支援業務内で、コスト面の心配なくLUUP(サービス)を利用できる訪問介護スタッフ向けのクーポンを提供。

 

これらが業務の効率化等に寄与できているか等のフィードバックを経て、将来的には、より多くの訪問介護事業者との最適な座組の検討を行っていく構えだ。

 

なお同連携事業は、一般向けシェアリングサービスのLUUPを利用する取り組みであり、Luup者では、専用の車両やポートを提供するものではないとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。