関西電力、ダイヘン、シナネン、三菱総合研究所、米・WiTricity Corporation(ワイトリシティ コーポレーション)の5社は、電気自動車(EV)の普及を支える社会インフラとして、ワイヤレス給電を実用化し普及させていくため日本国内に於いて「EVワイヤレス給電協議会」の設立を発起した。
目下、日本市場では政府の脱炭素化政策を受けて、国内の関連企業各社が新たなEV技術を開発するなどの技術革新を加速させている。
また日本に於いては、 EVの普及を促進させる上で、ワイヤレスEV充電が価値のある課題として浮上してくる特徴がある。というのは、人口が密集する巨大都市では、EVの係るサービス提供のためのスペースに制約があるため、EVの給電ステーションを設置するのに困難が伴うためだ。
そうしたなかワイヤレスのEV充電であれば、車両に充電プラグを差し込まなくても給電でき、必要なスペースが少なくて済む。併せてワイヤレス充電は、車両の運用面でも利点をもたらす。それはV2G( Vehicle-to-Grid / EVを蓄電池として電力会社の電力系統に接続して相互利用する )技術があるからだ。
例えば商用の貨物車両では、建物から建物を繋いで荷物の集配を行うことになる。こうしたケースでは、貨物差車両が停車する度に車載バッテリーが都市の電力網と繫がることができ、より環境に優しく、より回復力のある送電網の充足に役立つ。
今回「EVワイヤレス給電協議会」に参画する企業群( 今後は参画企業の連携拡大も模索 )は、相互運用可能なワイヤレス充電システムの構築を目指すべく、自動車メーカーや関連産業の標準化団体全体との連携を進め、先行する欧米に於ける取り組みに追従。ワイヤレスEV給電機会の拡大・普及に取り組んでいくとしている。
1.設立の背景
- EVワイヤレス給電技術は、プラグ挿抜の手間が無くなりEVユーザーの利便性を高めるだけでなく、停車中の充電はもちろん走行中でも給電できる。ゆえにEVと電力系統との常時接続を可能とすることにより、再生可能エネルギーの最大活用や電力需給バランス調整に役立つ有望な社会インフラとして期待されている。
- しかしワイヤレス給電を社会インフラとするためには、産官学が協力して制度化・標準化・事業化に資する各種検討に取り組んでいく必要がある。これがEVワイヤレス給電協議会設立の背景となる。
2.同会の活動目的
- EVワイヤレス給電の社会インフラ化の推進。
- EVワイヤレス給電の実用化・普及促進に関する対外発信・啓発。
- EVワイヤレス給電の標準化の推進。
3.活動内容
- 導入普及シナリオ、ロードマップの策定・提言。
- 実用化・普及に向けた実証実験の支援。
- 設置や運用に関するガイドライン、規制緩和等の要望。
- 給電ネットワーク化に必要な規格・仕様の検討(充放電器、システム、認証・課金等)。
4.発起人
- 関西電力株式会社
- 株式会社ダイヘン
- シナネン株式会社
- 株式会社三菱総合研究所
- WiTricity Corporation
5.協議会設立日
- 2024年6月開催予定の設立総会を以て設立日とする。
なお上記、EVワイヤレス給電協議会の設立に伴い、協議会の設立メンバーの1社となるWiTricityは、日本国内に子会社のWiTricity Japan KKを設立する。
同社によると、日本はワイヤレス充電を活用するのに独特に適している。併せてWiTricity は、日本の顧客と同国内の多数のワイヤレス給電プロジェクトをサポートするべく日本でのスタッフも増強するとしている。
WiTricityのAlex Gruzen(アレックス・グルーゼン)CEOは、「EVワイヤレス給電協議会の設立は、日本のワイヤレス充電産業の発展に於ける重要なステップです。
この度の日本国内に於けるワイトリシティ株式会社の設立により、日本国内でも現在の技術の垣根を飛び越えて、次世代のEVの利用体験を提供できるよう支援致します。
WiTricityは今後、日本のEVワイヤレス給電の業界リーダーと協力して、ワイヤレス充電とV2G技術の促進、ビジネスモデルの実証、展開の推進に貢献していきます」と述べた。
加えてWiTricityは、日本の自動車市場がもたらす特有の課題と機会を考慮すると、WiTricity スタッフが実際に駐在することで、日本でのEV向けワイヤレス充電システムの導入に係る顧客のニーズを素早くキャッチすることができるようになるとした。