千曲バスとヤマト運輸は、10月1日から、バス路線網の維持や物流の効率化による生活サービスの向上を目的に、長野県上田市と青木村を結ぶ路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始。
同日10時から青木村役場で調印式を、11時40分から千曲バス「下秋和車庫」で出発式を行った。
[背景]
小県郡青木村は、長野県中部に位置する人口約4,500人の村。村の大半は山間部で、少子高齢化と人口減少に伴う生活サービスの維持・向上が課題となっている。
千曲バスは、青木村や隣接する上田市を中心にバス路線網を展開。青木村から上田方面へ通学・通勤する住民にとって、重要な生活インフラとしての役割を担う一方で、自治体や地域に密着した持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて取り組んでいる。
ヤマト運輸では、全国の自治体や企業と連携し、地域の活性化や課題解決に向けてさまざまな取り組みを行う「プロジェクトG(government)」を推進する一方で、山間部や過疎地域では集配効率の向上が課題となっている。
今回、青木村・千曲バス・ヤマト運輸の三者は、それぞれの課題解決のため連携し、地域住民の生活サービスの維持・向上を目的として、路線バスを活用し宅急便を輸送する「客貨混載」に取り組むこととした。
[取り組みの内容]
取り組みでは、千曲バスの「下秋和車庫」(上田市)から「青木バスターミナル」(青木村)まで、路線バスを活用し、宅急便を輸送。
これまで、ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)が上田市の「塩田宅急便センター」から青木村まで荷物を運び、昼と夕方には上田市まで荷物を取りに戻る必要があったが、今後、路線バスが12時と16時の便で客貨混載により宅急便を輸送するため、SDは一日中青木村に滞在することが可能となる。
[メリット]
<地域住民>
バス路線網の安定的な維持につながる。また、宅急便の再配達や集荷の要望に対して、都合に合わせた対応が可能になる。
<千曲バス>
車両内の空きスペースで宅急便を輸送することで、路線網維持につながる新たな収入源が確保できる。
<ヤマト運輸>
青木村を担当するセールスドライバーの運転時間の約2時間の削減で、集配効率が向上。休憩時間が取りやすくなるなど、労働環境が改善できる。さらに、一日あたりトラックの走行距離を48km削減でき、燃料費やCO2排出量の削減にもつながる。
※タイトル写真:左から、ヤマト運輸 長野主管支店長 副島 明、上田市市長 土屋 陽一、青木村村長 北村 政夫、千曲バス 代表取締役社長 髙野 公秀(敬称略)