三菱重工は1月25日、三菱重工エンジニアリング(MHIENG)が、関西電力(KEPCO)と共同開発した新型吸収液「KS-21™」ならびにKS-21™を採用した最新鋭のCO2回収プロセス「Advanced KM CDR Process™」で、一般社団法人日本機械工業連合会が主催する「令和3年度優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」の最高位である「経済産業大臣賞」を受賞したと発表した。
この表彰は、優秀な産業用の省エネ脱炭素機器・システムを開発して実用化した企業、団体および個人を表彰するもので、表彰式は2月15日に東京都港区の機械振興会館で行われる予定。
なおMHIENGは、東京都江東区の東京ビッグサイトで1月26日から28日まで開かれる「ENEX2022 第46回地球環境とエネルギーの調和展」のアワードコーナーに、受賞企業としてパネルを出展する予定。また、2月28日まで並行開催されている同展のオンライン展示でも同様のパネルを掲載している。
KS-21™は、2021年に世界最大級の実験施設ノルウェー・モングスタッドCO2回収技術センターでの実証試験を経て商用化が完了したほか、世界最大規模となる年間800万トン以上のCO2排出量削減を目指す英国電力会社Drax社のプロジェクトでの長期使用契約が締結されている。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、CO2エコシステムの構築はその中の柱の一つ。CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されている。
■受賞製品について
<概要>
・地球温暖化対策のため世界各国から限られた予算の中での大規模CCS やCCUS プロジェクトの推進が強く求められている
・その声に応えるために、化学吸収法による排ガスからのCO2回収技術として、世界で13基の商用プラント納入実績によって高い信頼性が確認されている吸収液「KS-1™」およびCO2回収プロセス「KM CDR Process™」の次世代型としてコストを抑えた「Advanced KM CDR Process™」を開発したもの。新型吸収液「KS-21™」の適用が可能
<主な特長(従来のKS-1™および一般的なアミン吸収液(MEA)との比較)>
(1)揮発性が低く、劣化に対する安定性が高い。吸収反応熱が低減し、回収エネルギー削減に寄与
⇒運用コスト削減など経済性の向上が期待できる
(2)低いアミンエミッション
⇒吸収液消費量の低減、環境負荷低減につながる
(環境影響評価について第三者機関による信頼性の高いエミッション計測結果を取得済み)
(3)多様な排ガス源からのCO2回収に対応
⇒従来の発電や化学プラントに加え、バイオマス、LNG液化プラント、製鉄・セメント工場、ごみ焼却施設など、産業・インフラ分野で基本設計・パイロット実証・ライセンス供給などの案件組成段階からサポート