NEXT MOBILITY

MENU

2025年3月8日【イベント】

キャデラック、FIAの最終承認を得て来季のF1参戦が確定

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

FIA( Fédération Internationale de l’Automobile / 国際自動車連盟 )とF1( Formula One World Championship )は3月7日( 米インディアナポリス並びに英シルバーストーン発 )、キャデラックF1チームを、世界最高峰のモータースポーツシーンに参戦させるべく最終承認し、同チームが、いよいよ来季から、既存のF1参戦10チームに新たに加わるための要件を満たしたことを明らかにした。

 

これによりキャデラックF1チームは、TWGモータースポーツ米TWGグローバルホールディングスLLC傘下のモータースポーツ部門 )とゼネラルモーターズ( GM )の支援を受け、来たる2026年3月にFIAフォーミュラ・ワン世界選手権のスターティング・グリッドに加わることが遂に決まった。

 

これに伴い、去る2023年1月にゼネラルモーターズとキャデラックからF1参戦の意思が示されて以降、いよいよアメリカらしさ溢れる新チームが来季のフォーミュラワンレースのグリッド上に誕生する。

 

 

そのためにキャデラックF1チーム( チーム代表:グレアム・ロードン氏 )と、F1のシャーシとパワーユニットを製造するための新会社TWG&GMパフォーマンス・パワー・ユニット( CEO:ラス・オブレーンズ氏 )は、インディアナ州インディアナポリス、ノースカロライナ州シャーロット、ミシガン州ウォーレン、イギリスのシルバーストーンの4拠点が連携。各々に課せられた課題に精力的に取り組んでいる。

 

より具体的には空力、シャーシ、コンポーネント、ソフトウェア、車両ダイナミクスシミュレーションなどに取り組む300人を超える経験豊富なスタッフが、来季のフォーミュラワン参戦に向けて活動。これからはより一層、マシン開発を更に加速化させるべく、個々の部品開発と製造​​、性能テスト、風洞施設を用いたエアロダイナミズム実証などを順調に進めている。

 

なお同日に、新生キャデラックF1チームの参戦を最終承認したFIA会長のモハメド・ベン・スレイエム氏は、「FIAフォーミュラワン選手権の新たな時代の瞬間に自らが立ち会えたことを心から誇りに思います。来たる2026年のF1選手権が11チームに拡大することは、それほど画期的な出来事だと言って良いでしょう。

 

 

今後、ゼネラルモーターズ並びにキャデラックは、新たな11番目のチームを生み出すべくFIA2026規則に倣い組織とマシンづくりに係る活動を重ねていき、彼らはフォーミュラワンの世界に新たな時代を切り拓く存在になります。

 

そんなキャデラックF1チームが、来季のF1パドックに登場することは、既存のF1チームにとっても、また今日のF1レースを支えてくれているモータースポーツファンにも大きな刺激を与え、その参加により、世界最高峰のモータースポーツの世界に於いて、これまでの世界観を大きく塗り替えることになると期待を寄せています」と述べた。

 

またF1のステファノ・ドメニカリ社長兼CEOは、「先の11月にも述べましたが、ゼネラルモーターズが、キャデラックチームを世界最高峰のF1に参戦させる、その意思が、遂に現実のものになるということは、我々のモータースポーツの世界が、より深く、より大きく進展することに繋がります。加えて予てより、フォーミュラワン選手権を更に発展させていきたいとしていた新チームの積極姿勢を示す明らかな証左ともなります。

 

加えて、これまでのゼネラルモーターズとTWGモータースポーツの精力的な姿勢と、その取り組みには心から感謝しています。また来たる2026年から、我々の世界に加わってくれることに対して、我々F1ワールドチャンピオンシップは、その登場を心から心待ちにしています」と語った。

 

 

これを受けてTWGモータースポーツのCEO、ダン・タウリス氏は、「過去数年にわたり、私たちはゼネラルモーターズと協力しF1参戦のための強固な基盤を築いてきました。今日、FIAとF1から最終承認を頂いたことで、我々は、来たる2026年を視野にチームの開発施設の拡張や、最先端技術の改良、そして一流の人材の集結により注力するなど、更なる取り組みを大きく加速させていきます」と話している。

 

更にGM社長マーク・ロイス氏は、「キャデラックF1チームを正式に承認頂いたことを大変嬉しく思います。FIA並びにF1から我々のチームをグリッドに迎えて下さること。また当社とTWGパートナーに対する細やかなサポートについても心から感謝しています。我々が操業以来、長年に亘って努力を重ね蓄積してきた知識と技術を、フォーミュラワン選手権という名誉ある世界の舞台で披露できる日が近づくにつれ興奮は高まるばかりです」と来たる2026年のF1グリッドを視野にした自社の意欲と自らの可能性に期待を込めた。

 

加えてキャデラックF1チームのチーム代表のグレアム・ロードン氏は、「世界最高峰のモータースポーツシーンの頂点に挑戦することに最終承認を頂けたことを誇りに思います。今発表は我々のチームがスターティンググリッドに並ぶための長い道程でしたが、ここに至るまで我々は、参戦計画を着実に踏んでいくペース配分や、事前に掲げてきたミッションに対する信念を一度も失うことなく辿り着くことができました。今はパワーユニットの準備と開発は順調に進んでおり、一流の人材採用にも懸命に取り組んでいます。従って来季に於いて、ファンの皆様に新たなチームを見て頂くことを待ちきれない気持ちです」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。