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2024年8月8日【イベント】

キャデラック・レーシング、JOTAと提携し体制拡大へ

坂上 賢治

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キャデラック・レーシング、2025年からハイパーカー・クラスに参戦

 

キャデラック・レーシングは8月6日(デトロイト発)、FIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカー・プログラムを、2025年シーズンの開幕から2台体制に拡大し、「Cadillac Hertz Team JOTA」のチーム名で参戦することを発表した。

 

このHertz Team JOTAは2000年に設立。近年、最も成功を収めたスポーツカーチームのひとつだ。ル・マンでは、LMP2クラスで2017年の総合2位と3位を含む10回の表彰台を獲得しており、主なタイトルには、2016年ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、2017年アジアン・ル・マン・シリーズ、FIA世界耐久選手権での複数の準優勝などがある。

 

その他の実績でも、ブランパン耐久シリーズでの総合優勝、スパ24時間、ニュルブルクリンク24時間、アメリカン・ル・マン・シリーズでのクラス優勝などがある。

 

写真は、今季2024年のHertz Team JOTA

 

今季2023年には、Hertz、シンガー・グループ、ブレイディ・アパレルなどのスポンサーとのパートナーシップにより、Hertz Team JOTAは世界最高峰の耐久モータースポーツに参戦し、2024年5月に開催されたトータルエナジー・スパ・フランコルシャン6時間耐久レースで、ハイパーカー・クラスにおいてプライベートチームとして歴史的初優勝を飾った。

 

そんな同チームの2024年のドライバーのラインアップには、チームの大黒柱であるウィル・スティーブンス選手に加え、フィル・ハンソン選手、オリバー・ラスムッセン選手、カラム・イロット選手、ノーマン・ナトセ、そしてF1世界チャンピオンのジェイソン・バトン選手が名を連ねる名門チームでもある。

 

 

そんなHertz Team JOTAとの来季に向けたコラボレーション体制について、グローバル・キャデラックのバイスプレジデントを務めるジョン・ロス氏は、「キャデラックVシリーズ.Rは、キャデラックの第3世代のプロトタイプ・レーシングカーであり、ブランド初のハイブリッド電動レーシングカーです。

 

キャデラック・デザイン、キャデラック・レーシングそしてシャシー・コンストラクターのダラーラによって共同開発されたこのレーシングカーには、バーティカル・ライティングやフローティング・ブレードなど、キャデラックVシリーズの市販車の主要デザイン要素が随所に取り入れられています。

 

そんなキャデラックにとって、WECの一員として世界最高峰のレースに挑めることは大いなる誇りであり、来年、Hertz Team JOTAを新たにチームに迎えることを、とてもうれしく思います。

 

彼らの数十年にわたるレースの経験と技術の知見を結集し、サーキットにおいて継続的な成功を収め、世界中でキャデラック・ブランドの新たなファンを獲得できると確信しています」と語った。

 

 

またHertz Team JOTAの創設者でありディレクターのサム・ヒグネット氏は、「JOTAは常にマニュファクチャラーチームとしての発展を目指してきましたが、今回キャデラックと提携することで、この目標が実現しました。

 

過去2シーズンにわたり『キャデラックVシリーズ.R』と競い合って、その競争力の高さを実感しており、2025年以降のマシンを任されることを心から光栄に思っています。私たちは、WEC、特にル・マンにおいて記録的な成功を収めている恵まれた立場にあり、キャデラックとHertzとともにこの成功を継続できることをとても楽しみにしています」と述べた。

 

キャデラックレーシングとHertz Team JOTAによる〝Cadillac Hertz Team JOTA〟は、専用設計のキャデラック専用設計の5.5L DOHC V8エンジンを搭載した「Vシリーズ.R」12号車と38号車の2台でエントリーする。なお、ドライバーについては後日発表される予定としている。

 

ちなみにイギリスを拠点とするHertz Team JOTAは、ナイトヘッド・キャピタル・マネジメントLLCの関連会社が一部を所有し、世界的なレンタカー会社であるHertzや、過去7度のチャンピオンで起業家のトム・ブレイディがスポンサーを務め、チームを支援している。また2023年にプライベーターとしてハイパーカー・クラスに参戦し、現在、他メーカーの2台の車両でWECに参戦中だ。

 

 

5月11日に開催されたトータルエナジー・スパ・フランコルシャン6時間レースでは、プライベートチームで歴史的に初となる総合優勝を果たし、シーズン開幕戦のカタール航空主催のレース、カタール1812kmでは2位になった。このようにHertz Team JOTAは、ハイパーカー・プライベートチームのFIAワールドカップで首位に立っている。

 

一方、キャデラック・レーシングのWECに係る今年・初年度のハイライトは、100周年を迎えたル・マン24時間レースでの3位入賞して栄冠を獲得したことだ。加えて「キャデラックVシリーズ.R/2号車」は、2023年シーズンの開幕戦でセブリング、ポルティマン、スパ・フランコルシャンがトップ5位入りを果たしている。

 

 

併せて目下、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに2台のグランドツーリング・プロトタイプ(GTP)ファクトリープログラムで参戦しているキャデラック・レーシングは、2023年にはアクション・エクスプレス・レーシングとの「ウィーレン・キャデラックVシリーズ.R/31号車」で、GTPフルシーズンおよびIMSAミシュラン耐久カップのマニュファクチャラー、チーム、ドライバーの各受賞を独占した。 

 

結果、これまでにキャデラック・レーシングは、9つのマニュファクチャラー選手権、5つのIMSAミシュラン耐久カップ・マニュファクチャラー選手権を獲得。2017年以降のIMSAプロトタイプ競技での30勝を含む、合計69のスポーツカー選手権で勝利を達成している。

 

そんなキャデラック・レーシングは、2025年のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの計画についても後日発表する予定という。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。