国土交通省は12月11日、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定されたことを発表した。
近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化するとともに、南海トラフ地震・首都直下地震などの大規模地震の発生も切迫している。また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が今後加速度的に進行し、適切に対応しなければ、中長期的なトータルコストの増大を招くのみならず、我が国の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念がある。さらに、国土強靱化の取組をより効率的に進めるためには、デジタル技術の活用等が不可欠とされる。
こうした観点から、国土交通省においては、災害から国民の命と暮らしを守るため、所管する各種インフラ等を対象に、
「あらゆる関係者が協働して行う流域治水対策」「道路ネットワークの機能強化対策、鉄道、港湾、空港等の耐災害性強化対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた早期対応が必要な施設への集中的な老朽化対策」「国土強靱化に関する施策をより効率的に進めるためのインフラDXの推進」などの対策について、重点的かつ集中的に実施し、取組の更なる加速化・深化を図っていく。
5か年加速化対策の柱・国土交通省で講じる53の対策
■激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策(26対策)
(1)人命・財産の被害を防止・最小化するための対策
– 命を守るための事前防災の加速化・深化/防災体制の整備の加速化・深化/避難支援の加速化・深化
(2)交通ネットワーク・ライフラインを維持し、国民経済・生活を支えるための対策
– 強靱なネットワーク整備の加速化・深化/身近なインフラの強化の加速化・深化
■予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策(12対策)
– 予防保全への転換による老朽化対策の加速
■国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進(15対策)
(1)国土強靱化に関する施策のデジタル化
– DXの活用の加速化・深化
(1)災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化
– 災害関連情報の高度化の加速化・深化
取組の加速化・深化のために5年間で追加的に必要となる事業規模は、政府全体ではおおむね15兆円程度を目途とし、このうち国土交通省では、おおむね9.4兆円程度を目途として、所管分野を対象に、重点的・集中的に対策を講じていく。
■防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策 事業規模の目途
1.激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策
政府全体:78対策 概ね12.3兆円程度(うち国土交通省:26対策 概ね7.7兆円程度)
2.予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策
政府全体:21対策 概ね2.7兆円程度(うち国土交通省:12対策 概ね1.5兆円程度)
3.国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進
政府全体:24対策 概ね0.2兆円程度(うち国土交通省:15対策 概ね0.13兆円程度)
– 対策数
政府全体:123対策(うち国土交通省:53対策)
– 合計
政府全体:概ね15兆円程度を目途(うち国土交通省:概ね9.4兆円程度を目途)
注)四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある