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2021年12月8日【テクノロジー】

BOLDLYら、羽田空港付近の公道で自動運転バスの実証実験

NEXT MOBILITY編集部

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羽田空港(東京国際空港)に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ/以下、HICity)」の開発を進める鹿島建設など9社による共同出資会社である羽田みらい開発と、ソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー)、マクニカ、日本交通、鹿島建設の5社は、12月8日、HICityと羽田空港第3ターミナル間の公道で、12月11日~30日の期間、自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ/仏Navya社製)」の実証実験を行うと発表した。

 

今回の実証実験では、自動運転バスがHICityと羽田空港第3ターミナル間の公道を含む往復のルートを時刻表に沿って運行。事前予約をすることで一般人の乗車もできる(1便・片道あたり5名まで)と云う。

 

なお、羽田空港を含むルートでの一般利用者向けの自動運転バスの実証実験は初となる。

<実証実験の概要>

 

– 期間:2021年12月11日~30日
– 運行時間:午前10時~午後3時30分(正午~午後1時を除く)
– 走行距離:往復約3.9km
– 走行時間:往復約30分(片道約15分)
– 走行速度:最大20km/h
– 乗車方法:

事前にウェブサイト<https://reserva.be/boldly>での予約が必要(受付期間:2021年12月8日~30日)。

– 走行ルート:

 

 

 

羽田みらい開発では、ボードリー、マクニカ、日本交通および鹿島建設の協力の下、HICityで昨年9月18日から自動運転バスの「NAVYA ARMA」を定常運行しており、現在まで無事故を継続。

 

また、1年以上に亘って自動運転バスに関する様々な技術検証(以下、「HICityにおける自動運転バスの取り組み」を参照)を実施し、今年9月には本邦初となる自動運転バス3台による同時運行を検証。その結果を踏まえて、現在、車内オペレーターの操作なしでバスを運行している。

 

そして今回、「自動運転レベル4(※1)」での運行準備が整ったとして、HICity敷地内で行ってきた自動運転バスの運行を、一般車両の交通量が多い都道311号環状八号線を含む羽田空港周辺の公道で実施し、これまでに培ってきた技術的見地を実証する。

 

※1:限定された地域で、システムが全ての動的運転タスクと作動継続が困難な場合の応答を行う。

 

 

[HICityにおける自動運転バスの取り組み]

 

 

①3台の自動運転バスの同時運行の検証(2021年9月/羽田みらい開発、BOLDLY、日本交通)

 

遠隔監視者一名による複数の自動運転バスの無人運行の実現に向け、9月18日~29日にHICityで日本初となる自動運転バス(NAVYA ARMA)3台を活用した下記検証を行った。

 

・約5分に1便の高頻度な循環運行および3台同時の遠隔監視。
・無人運行(一時的に閉鎖空間にしたエリア内で実施)。

 

 

② これまでの実証実績について

 

HICityでは、(1)持続可能な交通サービスを支える新たなビジネスモデルの創出と、(2)オペレーターが操作しない自動運転バスの運行体制の構築に向けた取り組みを実施してきた。

 

(1)持続可能な交通サービスを支える新たなビジネスモデルの創出

 

乗車運賃を主たる収入源とする従来のビジネスモデルでは、地方の約9割の路線バスが赤字で(※2)、その維持に多くの補助金が充てられていることから、HICityでは、自動運転バスの導入の構想段階から「運賃脱却モデル」を計画・推進し、運賃無料で自動運転バスを運行。

 

「運賃脱却モデル」では、運賃無料の自動運転バスが高頻度で循環し、人の移動をサポートして運行エリアの活性化を図ることで、商業の活性化や地価の維持、人口減少の抑止など、交通サービスの価値を向上。運行コストを、エレベーターの運行と同様の施設運営コストと位置付けている。

 

(2)オペレーターの操作が介在しない自動運転バスの運行体制の構築

 

HICityでは、2022年度を目処に限定地域での自動運転バスの無人運行実現を目指して、センサーなどのハードウエアの変更なしで、ソフトウエアアップデートや設定の変更などで、自動走行が可能な場面を拡張させる「自動運転の高度化」と「遠隔監視体制の構築」に取り組んできた。

 

そして、一定期間の安定運行を通して走行中の危険がないことを確認し、運行開始当初には車内オペレーターが実施していた一時停止後の走行再開やドアの開閉などの一部の操作を自動化。

 

また、オペレーターが時刻表に合わせて行っていた発車操作や緊急時の停止・発車操作についての機能をBOLDLYの自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」に実装。自動発車や、遠隔地からの緊急停止・発車操作を可能とした。

 

 

 

 

・一時停止後の走行再開の自動化(2021年7月~)

 

停止線での一時停止後に走行再開する際、車内オペレーターが周囲の安全を確認した上で車内のタッチパネルで行っていた発車操作について、安全に走行再開するために歩行者や他の車両による進入がないことを確認する必要があるエリアを「プライオリティゾーン」として設定し、車両搭載センサーで安全確認をした上で、自動で走行を再開する機能を実装した。

 

 

・時刻表に合わせた運行の自動化(2021年8月~)

 

バス停を出発する際に車内オペレーターが発車操作を行っていたが、「Dispatcher」に登録した時刻表に合わせて自動でバス停を発車する機能を実装した。

 

・遠隔地からの緊急停止・発車操作(2021年9月~)

 

車内オペレーターが急病等で車両操作ができなくなった場合や、将来の無人運行の際の災害等緊急時に手動操作が必要となる場合を想定し、遠隔地から「Dispatcher」による車両の緊急停止や発車操作を行える機能を実装した。

 

※2:(出典)国土交通省「令和元年度の一般乗合バス事業(保有車両30両以上)の収支状況について」。
※3(表内):HICityに於ける一般車両の制限速度(8km/h)を超えて走行することが特別に認められている。

 

 

■(HANEDA INNOVATION CITY)自動運転バス 運行情報:https://haneda-innovation-city.com/bus_schedule/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。