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2023年3月6日【エネルギー】

BOLDLY、雪道で自動運転バスの試運行を実施

坂上 賢治

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東川町内の「幼児センター」前を走行する自動運転バス

 

北海道の東川町に於いて雪道での自動運転バスの試運行

 

北海道の東川町( 町⻑:松岡市郎 )とソフトバンク傘下のボードリー( BOLDLY / 代表取締役社⻑ 兼 CEO:佐治 友基 )は3月6日、同日より10⽇まで、東川町の町役場や道の駅ひがしかわ『道草館』などを通る1周約2.6キロメートルのルートで、⾃動運転バス「ナビヤ アルマ( NAVYA ARMA / 仏Navya社製 )の試運行を実施する。( 坂上 賢治 )

 

この試運行は、北海道経済産業局の「令和4年度北海道における先進モビリティサービスと地域通貨の連携による利用及び消費促進モデルの事業性調査・分析事業」に採択されており、今回は、雪道に於ける自動運転バス共に、町役場や道の駅周辺などの町内で交通量が多い市街地で関係者向けの試乗会を開催。

 

社会受容性を調査する事を目的に、1日に約15便( 調査研究用:約12便、試乗会用:3便 )を運行する。

 

運行ルート

 

今回、自動運転車の試運行が行われる東川町は、東川町を応援しようとする人が東川町への投資(ふるさと納税)によって株主となり、まちづくりに参加する「ひがしかわ株主制度」が敷かれている。

 

加えて東川町の地域通貨で100店舗以上が加盟し、住民の約8割が所有している地域通貨「ひがしかわユニバーサルカード(HCU)」など、様々な先進的取り組みや、写真などを通した文化・自然に関する情報発信などまちづくりが奏功が実現出来ている地域でもある。

 

更なる地域内の移動を支える仕組みとして自動運転バスを活用する

 

一方、公共交通に関しては長距離移動には路線バスが役立てられている他、地域内での短距離移動には、町や地域住民が主体となって実施している乗り合いタクシーやボランティアによる送迎サービスなどが利用されている。

 

そうしたなか、更なる地域内の移動を支える仕組みとして自動運転バスを活用する事で公共交通の利便性向上や地域活性化を目指すべく、自動運転バスの試運行を行う事になった。

 

写真は昨年、北海道上士幌町で定常運行した自動運転バスの様子

 

気になる雪道での走行検証については、昨年にBOLDLYが協力し2022年12月から自動運転バスの定常運行を行う北海道上士幌町で得たノウハウがある。

 

従ってこのBOLDLYによる知見を基に、降雪量や気温などの気象条件が異なる東川町で、除雪や、除雪によってできる雪山を想定したルート設定など雪道での走行に必要なオペレーションを検証。降雪地域でも安定した運行を実現するための体制構築を目指す。

 

具体的な試運行を行う体制としては、BOLDLYが自動運転バスの運⾏業務を担い、セネックがBOLDLYの運⾏管理プラットフォー ム「Dispatcher( ディスパッチャー )」を使って茨城県の境町にある本社オフィス( 遠隔監視センター )で遠隔監視を⾏う。

 

実際に事前に2023年2月21~22日に実施した運行ルート上での試験走行( 路上駐車なしの環境下 )では、積雪後の道路環境を整備した結果、信号がある交差点を除いた区間で車内のオペレーターがコントローラ ーを一切操作しない「無介入( バス停での発車時に行う車内のタッチパネルの「発車」ボタンの押下のみでルートを1周出来た場合を「無介入」と定義 )」での自動走行を達成しているという。

 

雪道で安全に走行するため、様々な積極的な取り組みも行う

 

但し3月に入り気温が上昇した事により、融雪で大きな水たまりが出来たり、路面が滑り易くなったり、路肩に除雪した雪が車道に崩れ落ちたりするなどの環境の変化がある。

 

そもそもBOLDLY側の車両仕様として、除雪作業で路肩に寄せた雪が走行ルート上にはみ出していると、自動運転バスが障害物として検知してブレーキが掛かる。

 

バス停付近の除雪方法

 

このため東川町の都市建設課とBOLDLYは、連携して除雪作業を実施する共もに、除雪した雪を十分に路肩に寄せてルートの整備を行う。

 

また併せて安全性を担保できる範囲内で、走行ルート自体をやや中央線寄りに設定する工夫も行う。

 

更にバス停付近では自動運転バスが路肩に寄って停車するため、追加の除雪が必要になるケースもある。従って試運行に係る運営体制側では、バスの停車位置から横30センチメートル以上、前方1メートル以上、後方2メートル以上の除雪を実施。

 

​凍結路面へは、あらかじめルート上でスリップしやすい場所に運行前に滑り止め防止剤を撒くなどで安全にバス停で停車できる環境を整えるなど、環境変化に応じた道路環境の整備を実施していくとしている。

 

バス停付近の除雪方法

 

なお将来的に東川町とBOLDLYは、東川町での自動運転バスの定常運行を目指しており、試運行の結果を踏まえて今後、地域の交通事業者と協議を開始する。

 

特に自動運転バスの利用促進や自動運転バスの運行による地域経済の活性化に向けて、地域通貨「HUC」を活用した様々な施策の検討を行うために先の地域通貨「ひがしかわユニバーサルカード(HCU)」の運営元である商工会との協議を積極的に行っていくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。