本田技研工業(ホンダ)は6月13日、同社の新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」から、ベンチャー企業2社目となる「ストリーモ社」が設立されたと発表した。
ストリーモ社では、独自のバランスアシスト機構により、歩行から自転車程度の速度で安定走行ができる1人乗りの電動三輪マイクロモビリティ「Striemo(ストリーモ)」を開発。Striemoは、2022年中に日本国内で、2023年に欧州での発売が予定されていると云う。
<Striemoの特長>
・0.1mm単位で重心バランスを計算した緻密な設計と、独自のバランスアシスト機構により、人が自然にバランスを取りやすい構造とし、ゆっくり歩くようなスピードから自転車程度のスピードまで、転びづらく安定した走行が可能。
ストリーモ社の設立にあたり、同社代表取締役の森庸太朗氏は、以下のように話している。
「移動することの楽しさの一つに発見や出会いがあります。これをより多くの人に体験してもらいたい。誰しもが靴を履いて出かけるように、自然体で動き出せる、そんな移動手段をつくれないだろうかとStriemoを開発しました。Hondaでの二輪開発で培った『人研究』のノウハウを生かし開発した、新しいモビリティです。Striemoが世界中で人々の生活の中に当たり前にあるモビリティの一つになり、人々が自由な移動を楽しめる豊かな世界をつくっていきます」。
また、ホンダ執行役専務でIGNITION審査委員長を務める青山真二氏は、以下のように話している。
「ホンダにはチャレンジ精神を持った従業員が数多くいます。今回、『すぐにでも人の役に立ちたい、社会に貢献したい』という熱い想いを持つ森さんに、起業という新たなチャレンジによってその想いを実現してもらうべく、ホンダもIGNITIONを通じて支援していきます。そして、これからもオープンイノベーションを加速し、事業開発の新しい風を起こしていきます」。
[ホンダのオープンイノベーションへの取り組み]
ホンダでは、創業時より、独創的な技術やアイデアを生かした社会課題の解決や新たな価値創造に向け、以下のようなオープンイノベーションに取り組んできた。
・オープンイノベーションプログラム「Honda Xcelerator(ホンダ・エクセラレーター)」(※1)
「Honda Xcelerator」は、米国・シリコンバレーのホンダ・イノベーションズ社(Honda Innovations)を中心に、スタートアップ企業とのコラボレーションを促進するオープンイノベーションプログラム。ホンダは、このプログラムを通して、グローバルで先進技術を有する多くのベンチャー企業と協業し、外部の知見を取り入れ、共創することで、新しい価値を創造し、社会課題の解決に結び付けることを目指している。
・新事業創出プログラム「IGNITION」
「IGNITION」は、ホンダの従業員が持つ独創的な技術・アイデア・デザインを形にし、社会課題の解決と、新しい価値の創造につなげる新事業創出プログラムとして、2017年に開始。2020年には、より早い社会実装を実現するために、起業するという方法を加え、2021年にはIGNITION発のベンチャー企業第1号として「Ashirase(あしらせ)」が設立された(※2)。
<特長>
・勤続年数や所属部門にかかわらず、日本国内の事業所に勤めるホンダ正規従業員は誰でも応募可能。
・最終審査を通過したアイデアは、社内で事業化、あるいは起業しベンチャーとして事業化。
・事業化判断までの期間は6ヵ月を基本とし、期間中は専門スキルを持った社内人材によるタスクフォースチームが結成され、提案者をサポート。
・審査過程において、ベンチャーキャピタルがアドバイスや支援を実施。
・起業したベンチャーの独立性を担保するため、ホンダの出資比率は20%未満とする。
※1:Honda Xceleratorについての詳細は、右記HPに<https://xcelerator.hondainnovations.com/ja/>に詳細がある。
※2:株式会社Ashiraseでは、視覚障がい者の歩行をサポートするシューズイン型ナビゲーションシステム「あしらせ」を開発。2022年度中の発売を目指している。
■株式会社ストリーモ:https://striemo.com/
■株式会社Ashirase:https://www.ashirase.com/