バイデン・ハリス政権は3月12日(ワシントン DC発)、運輸部門の大気汚染削減のための12億ドル(約1,800億円)の資金申請を行うと共に、国家ゼロエミッション貨物回廊戦略( National Zero-Emission Freight Corridor Strategy )を発表した。
同戦略は、米運輸省と米エネルギー省(DOE)が運輸省(DOT)および環境保護庁(EPA)と協力して練り上げたもので、ゼロエミッションインフラと同エネルギーの導入を主導するもの。
この大型公共投資により民間部門の経済規模を高め、排気ガスの影響を大きく受けている地域社会の大気の質を改善させていく構え。
米国エネルギー省長官のジェニファー・M・ケネディ氏は、「1世紀以上に亘り、貨物輸送は米国市場へ資源や食料などを運んできたが、同時にこれらの運輸車両は人口密集地域の公衆衛生の低下にも影響を与えてきた。
今後、バイデン・ハリス政権は、アメリカ企業の活動や市場を支えるだけに留まらず、将来世代の環境を守るべく、貨物輸送の変革に正面から取り組んでいく」と述べた。
また気候顧問のアリ・ザイディ氏は、「これは各地域に於ける環境改善を実現するための大きな動きだ。現在、交通網の4%で大型トラックの75%が走行する環境下にあり、この影響を受ける最も脆弱な地域社会を危機をもたらしている。
これらの交通量の多い道路と、それらが接続するハブ地域に対するゼロエミッション投資は、米国内の貨物輸送を変革し、きれいな空気の恩恵を受ける地域社会のみならず、同戦略により数百万ドルもの燃料費を節約できる企業にとっても、地域社会に貢献できる自らの取り組みを訴求できるチャンスだ」と説明した。
更にアレックス・パディラ上院議員は、「この画期的な戦略により、地域社会にきれいな空気を提供し、クリーン技術に係る産業育成に資するゼロエミッション社会の実現に一歩近づくことができる。
政府を挙げてこの取り組みを推進し、大型車両のインフラ構築を加速する私の呼び掛けに耳を傾けてくれたバイデン・ハリス政権に感謝する。
連邦政府と業界パートナーによるこの総力を挙げたアプローチにより、カリフォルニア州と連邦政府のゼロエミッション目標がようやく実現できるようになるだろう」と歓迎の意を示した。
なお米国内の貨物輸送路、輸送施設、利用頻度の高い港へEV・FCVに適した投資を集中させることは、2030年までにZE- MHDV販売を30%へと拡大させたい政府目標実現のための鍵にもなる。
それを前提に国家ゼロエミッション貨物回廊戦略では、主要な貨物回廊とハブを組み合わせたインフラ投資を優先順位付けを、以下4つのフェーズに沿って展開していくものとしている。
– 貨物量に基づいて優先ハブを確立(2024~2027年)
– 重要な貨物輸送ルートに沿ってハブを接続 (2027 ~ 2030 年)
– 回廊接続を拡大し、ネットワーク開発を開始 (2030 ~ 2035 年)
– ユビキタスアクセスのための地域回廊を結び、全国ネットワークを実現する(2035~2040年)