トヨタ自動車は、豊田市と岡崎市にまたがる山間部に建設を進めてきた新たな研究開発施設のうち、カントリー路を中心とした中工区の工事が完了し、4月25日から「トヨタテクニカルセンター下山(Toyota Technical Center Shimoyama)」として施設の一部運用を開始した。
トヨタは、豊田市本社地区から約30分の立地に新設したテストコースの厳しい走行環境で、クルマを徹底的に鍛え上げ、さらなる「もっといいクルマづくり」に挑戦。
将来のクルマに求められる走行性能や環境性能、安全性をより高い水準で実現し、世界中の顧客に「もっといいクルマ」を届けるため、豊田市の本社地区における研究開発機能を強化していくとしている。
同施設の2023年度の本格稼働までにトヨタは、総額約3,000億円を投資。現在、用地取得や施設建設を進めており、完成時には約3,300人の従業員が同施設で勤務する予定。
この内、今回運用を開始した全長約5.3kmのカントリー路は、世界屈指の過酷なコースとして知られるニュルブルクリンクを長年走りこんできた経験を基に、自然の地形を活かした約75メートルの高低差と多数のカーブが入り組んだ、厳しい走行環境を持つテストコースとして設計。先ずは、評価ドライバーを中心に約50名が勤務する。
この施設の竣工に当たり、社長の豊田章男氏は、以下のように話している。
「Toyota Technical Center Shimoyamaの建設に対し、構想段階から長期間に亘り、様々なご助言、ご配慮、ご協力をいただきました愛知県、豊田市、岡崎市、そして何よりも地元の皆様に心より感謝申し上げます。
これまで5大陸走破プロジェクトやニュルブルクリンク24時間耐久レース、世界中での様々なテスト走行などの場などを通じ、道と語り、クルマと語ることで“もっといいクルマづくり”を目指してきました。
今回、それらの経験を元に、世界中の多種多様な“道”を新たなテストコースに再現しました。世界中でのテスト走行に加えて、新たなテストコースが再現する厳しい走行環境のもとで、全てのクルマを徹底的に鍛え上げ、クルマ本来の走る喜びを持ったクルマづくりに挑戦してまいります。
CASEによるモビリティのあり方が大きく変化する時代だからこそ、現地現物でのリアルなクルマづくり、感性性能には徹底的にこだわり、お客様に笑顔をお届けできるよう努力してまいります」。
また同施設には、2023年度の本格稼働時までに、東工区には高速評価路や世界各地の特殊な路面を再現した特性路を、西工区には車両開発施設を設置し、緑に囲まれたオープンな環境を整備。
環境保全の取り組みとして、敷地面積(約650ha)の約7割で、その土地本来の森林を残し、保全を行うことに加え、緑地を新たに造成するなどし、自然環境の適切な維持・管理に努めているとしている。
[トヨタテクニカルセンター下山の概要]
– 名称:Toyota Technical Center Shimoyama
– 所在区域:豊田市(旧下山村)および岡崎市(旧額田町)の一部
– 事業面積の内訳:
<用途、面積、総面積に占める割合>
・施設用地、159.2ha、24%
・道路、7.1ha、1%
・調整池等、16.2ha、3%
・造成緑地、81.8ha、13%
・残置森林等、386.5ha、59%
・総面積、650.8ha(6.508km2)、100%
– 事業主体:
・用地造成工事:愛知県企業庁
・施設建設工事:トヨタ自動車株式会社
– 施設概要:
・カントリー路(約5.3km)
・車両開発施設
・高速評価路(2023年度までに稼働予定)
・特性評価路(2023年度までに稼働予定)
– 投資額:約3,000億円
– 従業員数:約3,300名(2023年度完成時・予定)
※今回の稼働開始時は、約50名。