BOLDLY(ボードリー)は10月23日、 自動運転EV〝MiCa(ミカ)〟を製造するエストニア共和国のAuve Tech(オーブテック)と事業連携し、自動運転レベル4対応の日本仕様の独自モデルを開発。この車両で先の10月4日、日本国内に於いて自動車登録番号標(ナンバープレート)を取得したことを明らかにした。
具体的には、国土交通省関東運輸局長から基準緩和認定(車両構造や使用方法の特殊性を踏まえ保安基準の一部の規定に適用しないことを認める)を受けて車両登録を行い、自動車登録番号標(種別:普通、用途:乗用)を取得した。
ちなみに深刻なドライバー不足により、昨今、世界から自動運転車の参入市場として注目されている我が国ではあるが、ステアリングを持たない自動運転車両を日本市場向けに改良しナンバープレートを取得した海外メーカーは「MiCa」が世界で初になるという(2023年10月23日時点のボードリー調べ)。
その際に於いて鍵となったのは、同車(今回、開発のベースとなった自動運転車両のイセオート)が国際規格として用いられる欧州の「UN規格」に準拠する障害物回避機能を持ちスムーズに走行すること。
これを前提にオーブテックとの開発過程では、日本の保安基準や道路交通法を満たし公道走行を迅速に実現させるための戦略立案、 仕様の検討や再設計などのサポートなどを行った。
もちろんその際には、かつてボードリーが取り組んできた自治体との摺り合わせ、交通事業者と膝詰めで話し合った潜在顧客の要望。
また自動運転バスを安全に運行するために必要な技能を備えるオペレーター育成でも、その育成人数が累計110人に到達させ、これまで運用していた自動運転EV「ARMA」のオペレーター人員うち、世界の三割以上を同社が育成したこと(2022年7月時点で世界で326人)なども新たな車両改善に活きたようだ。
例えば、この「MiCa」の場合は、前方ピラーの大きさ、窓が小さいという特徴を踏まえ、車外カメラ7台と車内モニター3台を設置して運転手の死角を補い、保安基準第21条(運転者席から運転に必要な視野の確保を定めるもの)に於ける国内初の基準緩和認定を受けたという。
いずれにして、これにより「MiCa」は公道で走行することが可能になる。同社は今後、自治体等と連携。2023年度中に全国6カ所での実証走行を行う予定だ。
より詳細には、ボードリー自身が独自開発している運行管理システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を利用して公道実証を重ね、 国内唯一の「MiCa」の販売代理店として2023年度中に15台の販売を目指す。
もとよりボードリーは世界各国を飛び回り、日本国内事情に適した自動運転EV探しを行うなかでオーブテックを発掘。2022年10月にAuve Techと戦略的協業に合意。2021年11月以降、同車の日本国内導入を推し進めてきた。
今回、自動運転車両としてナンバープレートを取得したのは「ARMA(アルマ/当時の生産メーカーの仏NAVYA<ナビヤ>は2014年創業。現在は仏GAUSSIN.SA<ゴーサン>が、NAVYAに係る資産を引き継いだ)」に続く2車種目となる。
乗車定員の違いから「MiCa」と「ARMA」は、満たすべき日本国内の保安基準で差分があるが(10人以下と11人以上で満たすべき基準が異なる。MiCaは8人。大してARMAは11人)、これまでボードリーが蓄積した知見により、車両輸入から約6カ月間でナンバープレート取得に至った。
このナンバープレート取得にあたりボードリーでは、「現在、移動に関する課題の解決手段として、自動運転車両の導入を検討する自治体や企業が増えていますが、需要に対して車両の供給が追いついていない状況です。
当社は、自動運転バスの実用化に於ける国内No.1企業(2023年10月23日時点に於いて、自治体や企業による自動運転バスの導入・定常運行プロジェクトを手掛けた件数が全国で4カ所)としての経験や信頼を生かし、今後も世界各国の自動運転車両の調査を続けるなど、各国メーカーの車両を日本の保安基準に適合させるためのアドバイザーとしての役割を担っていきます」と話している。