BASFジャパンと三井化学は6月1日、ケミカルリサイクル推進に向けた協業検討を開始したと発表した。両社は、バリューチェーン横断的な連携を通じて、日本国内におけるプラスチック廃棄物のリサイクル課題に応えるケミカルリサイクルを日本で事業化することを目指し、共同ビジネスモデルを含めあらゆる可能性を検討していく。
近年、カーボンニュートラルやプラスチック資源循環に向けた取り組みが、世界的に加速、日本でも昨年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されるなど、リサイクルの重要性が一層高まっている。
ケミカルリサイクルは、技術的、経済的、生態学的な理由からマテリアルリサイクルされていないプラスチック廃棄物に焦点を当てた、マテリアルリサイクルを補完するソリューションとして注目を集めており、欧州では、この手法により製造された最終製品も既に市場展開されていると云う。
サステナビリティを経営の根幹に据えるBASFは、「ChemCyclingプロジェクト」において、革新的なプロセスをもつ技術パートナーと協働し、プラスチック廃棄物を化学品製造の原料として使用可能な熱分解油に変換するマテリアルリサイクルを実施。また、2025年には、化石原料を年間25万トンのリサイクルおよび廃棄物ベースの原材料に置き換えることを目指している。
ケミカルリサイクルにより生まれた化学品は、要求の厳しい用途でも品質を損なうことがない特徴を持ち、プラスチックなどの新素材の製造に使用され、また、このリサイクル原料の量は、第三者による認証済みのマスバランス方式に基づいて特定の最終製品に割り当てられると云う。
一方、化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル目標を掲げる三井化学は、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインナップの拡充により循環経済の実現を目指している。
今回、そんなBASFと三井化学が、ケミカルリサイクル推進に向けた協業について検討を開始した。両社は今後、各関係省庁・業界団体と共に、日本におけるケミカルリサイクルの社会実装に向けた協議を加速していくとしている。
[各社コメント]
BASFジャパン 代表取締役社長 石田博基氏
「BASFは現在、統合生産ネットワークの恩恵を受けられる欧州のフェアブントサイト(統合生産拠点)を中心に、“ChemCyclingプロジェクト”を進めています。これまで培ってきた技術やノウハウを活用し、三井化学とともに日本国内におけるプラスチックのサーキュラーエコノミーの実現に向けて大きな一歩を踏み出せることを嬉しく思います」。
三井化学 ESG担当常務執行役員 平原彰男氏
「日本においてもプラスチック問題は大きな社会課題であり、バリューチェーン全体での社会変革を求められています。BASFが欧州で実証しているケミカルリサイクル技術は価値あるソリューションであり、当社が持つ技術やエチレンクラッカーなどのアセットと組み合わせることで、循環経済の実現に向けた大きな布石になるものと思っています」。
■BASFジャパン:https://www.basf.com/jp/ja.html
■三井化学:https://jp.mitsuichemicals.com/jp/index.htm