救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)と自動車メーカー、サービスプロバイダーからなるD-Call Netへの対応に、新たにスバル、日産、マツダの自動車メーカー3社が参加。今後、全9団体で救命率向上を推進する。
D-Call Netは、一般的にAACN(Advanced Automatic Collision Notification)と呼ばれる、車両のコネクティッド技術を活用した救急自動通報システムの一つ。
交通事故発生時に車両のデータを国内の事故データ約280万件をベースとしたアルゴリズムに基づき自動で分析、死亡重傷確率を推定し、このデータを全国約730か所の全消防本部と全国で37道県・46機・54病院の協力病院(2019年3月現在)に通報、ドクターヘリやドクターカーの早期出動判断につなげ、交通事故での救命率向上を目指すものである。
今回の自動車メーカー3社の参加を受け、D-Call Net参画団体代表で、HEM-Net理事長の篠田伸夫氏は、「今後に向けて」と題した談話を発表している。
「平成28年3月に策定された第10次交通安全基本計画は、交通安全の確保に資する先端技術を積極的に取り入れ、「交通事故のない社会の実現」への大きな飛躍と「世界をリードする交通安全社会」を目指すとしています。
交通事故重症者の救急医療は、必要な医療をどれだけ早く実施するかがカギです。正にこうした領域にこそ、コネクティッド技術のような先端技術が活用されるべきです。
そこで、事故発生~搬送~医療開始という一連の流れをどれだけ正確かつ迅速に進めるかについて、HEM-Net、トヨタ、ホンダ、日本緊急通報サービス(HELPNET)が中心となり、2011年よりデータの集積とアルゴリズムの設計を開始し、D-Call Netを創り上げました。
そして、2015年11月からの試験運用を経て、2018年6月から消防・病院等の協力の下、全国で本格運用を開始しています。
D-Call Netには、医師が傷病者へ接触する時間を約17分短縮可能との研究結果が、ならびに全ての車両に搭載された場合は年間282人の交通事故死者が低減できるとの研究結果があります。
今後は、今回から新たに参画するスバル、日産、マツダを含めて、一台でも多くの車両をD-Call Net対応としていくことにより、オールジャパンで救命率の向上を推進し、「交通事故のない社会の実現」に寄与していきたいと考えております」。
<協力病院>
■認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net):http://www.hemnet.jp/index.html