メガシティの中心地に於ける都市移動を視野にした新たな切り口
独アウディは4月19日、主に中国のメガシティを走行することを想定した未来のクルマとしての習作、アーバンスフィア コンセプト(Audi urbansphere concept)を発表した。未来に於いて、パーソナルスペースが十分ではないメガシティ(大都市圏)に於いて、同コンセプトカーは、これまでに市販されたアウディのコンセプトモデル中でも最大のインテリアスペースを生み出すもとのして提案された。
その特徴は、文字通り〝広々とした室内スペース〟にあり、そこに五感を刺激する最先端のテクノロジーとデジタルサービスを組み合わせて、全く新しい空間体験を作り出す。車両開発に携わるプロセスは、北京のデザインスタジオと独インゴルシュタットの本社の間で連携して行われた。今回は初めて、中国の潜在的な顧客層も参加し、当地の生のニーズや経験も採り入れた。
その結果は、インテリアに関して如実に表れており、広々とした室内を備えたこのクルマは、移動オフィスあるいはラウンジとして利用する事が出来るというコンセプトを持っている。
つまり、このコンセプトカーは移動に費やすための第3の生活空間を提供する事が目的だ。例えば、日々の渋滞でも有意義な時間が過ごせるよう、完全にプライバシーを保つ空間、ラグジュアリーな雰囲気、包括的なハイテク機能を組み合わせた。またレベル4の自動運転技術により、ステアリングホイール、ペダル、ディスプレイは室内空間に於いて巧みに格納されている。
これらのアイディアは、アウディブランドがプレミアムモビリティの未来ビジョンを示すために製作してきた3台のコンセプトカー(Audi skysphere、Audi grandsphere、Audi urbansphere)から生まれたものだ。アウディは今回も、歴代コンセプトカーの開発プロセスで、ただ単にA地点からB地点へと移動するという目的を超えた乗車体験の創造を目指した。
このアーバンスフィア コンセプトは、過去のアウディのコンセプトカーの中でも最も大きなモデル(全長5.5m、全幅2.0m、全高1.78m)で、3.4mというホイールベースを持たせた事で、広大な空間が生まれた。またドライバーを可能な限り運転操作から解放。全ての乗員が、各々に独自の体験が出来る空間作りに取り組んだ。
それゆえ2列に並んだ4座のセパレートシートは、乗員に豪華なファーストクラスの快適性を提供。リヤシートは、特に広い寸法と調整幅があり、背もたれを最大60度までリクライニングする事が出来る。会話を楽しみたい場合にはシートを回転させて向き合うことが出来、その一方でプライベートな空間が必要な場合は、ヘッドレスト後方に取り付けられたプライバシースクリーンを使用して、頭部のエリアを隠す事が出来る。
前後のアクスル間には、フラット構造のバッテリーモジュールを搭載。約120kWhのエネルギー容量を最大270kWの出力を介して充電出来る。充電時間は、内燃エンジン搭載車に燃料を補給する時間に近づき、300km以上を走行可能なレベル迄バッテリーを充電する時間は10分で済む。
さらに25分未満でも5〜80%迄充電可能で、1回のフル充電で最大700km(WLTP基準)の航続距離を実現する。これにより、エネルギーを大量に消費する都市や短距離の走行に使用する場合でも、予期しない充電を回避することが可能となった。
発揮されるパワーは295kWの合計出力と690Nmの最大トルクを発生する2基の電気モーターとして積まれ(前後アクスル間)、電気自動車専用に最適化された5リンクアクスルに組み付けられた大径24インチのホイールを介して路面へ駆動力が伝えられる。