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2023年4月7日【エネルギー】

アウディ、都市の急速充電拠点に効率性を見い出す

坂上 賢治

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アウディはベルリン時間の4月6日、ニュルンベルクとチューリッヒに続く3番目のAudi charging hub(アウディ チャージング ハブ)をベルリンに開設した。

 

この新しい充電拠点では、ベルリンのパートナー企業と協力して既存の電源インフラを使用している。

 

 

新たに開設されたAudi charging hubは、魅力的なショッピングモールやレストランが併設されたドイツのスーパーマーケットFrischeparadies(フリッシュパラディース)に隣接。協力パートナーFrischeparadiesは、Audi charging hubが使用する電力を提供する。

 

将来的にFrischeparadiesとAudi charging hubは、充電ニーズと負荷に基づき、共用の送電線から電力を供給する形になる予定だ。

 

 

再利用バッテリーを搭載した同充電ステーションは、Frischeparadiesの消費電力が少ない時にのみ蓄電用のバッテリーを充電する。

 

これらアウディが独自に開発した高度なダイナミック ロード コントロール(動的負荷管理システム)は、既存の電力インフラの効率的な利用を実現するものだと言えるだろう。

 

 

またアウディは具体的な設置場所を選定する際、社内のデータ分析に基づき現地の電力需要を事前に調査した。

 

このような取り組みについてAudi charging hubエネルギーシステム統合およびベルリン導入統括マネージャーのエリアス ハンマー氏は、「アウディのダイナミック ロード コントロールにより、Frischeparadiesがあまり電力を使用していない時に、Audi charging hubの蓄電用バッテリーを充電することができます」と話している。

 

 

加えてAudi charging hubプロジェクトマネージャーを務めるラルフホルミグ氏は、「アウディのスマートチャージングコンセプトは、ニュルンベルクやチューリッヒだけでなく、ベルリンでも成功を収めました。

 

私たちは、すべてのAudi charging hubを、可能な限り効率的かつ持続可能な方法で管理し、エネルギーの最適化に取り組んでいます。

 

 

将来的には、スマートトレーディングを使用して、エネルギー取引所から電力を購入する事も視野に入れています。これは電力料金が比較的安い時に、再生可能エネルギー源から電力を購入する事を意味しています。

 

この蓄電装置は、解体されたアウディのテスト車両の使用済みバッテリーを再利用したものです。

 

Audi charging hubは、都市部など、充電ステーションの設置が困難な場所でも、持続可能な方法で最大320kWの出力を備えた4つの急速充電(HPC)ポイントを設置する事が出来ます。

 

 

蓄電装置のない急速充電ステーションを開設する場合、必要な変圧器を設置するまでに長い時間がかかる場合がありますが、Audi charging hubは、既存の電力網を有効に活用する事が出来ます」と説明した。

 

これら調査の結果は、アウディをはじめとする電気自動車のドライバーが、アウディが開発した都市部に於ける急速充電コンセプトAudi charging hubをどのように受け入れているかを示している。

 

 

ニュルンベルクでは、2021年12月以降、1階に6つの充電ポイント、2階には200m2のラウンジを備えた大型のAudi charging hubを運用しており、このサイトに於ける顧客のリピート率は70%に達した。

 

そうした近況についてホルミグ氏は、「お客様は、既にAudi charging hubを日常生活の一部として利用しています。

 

ニュルンベルクでは、1日あたり最大62回の充電が行われました。初めてAudi charging hubが設置されたこの場所では、1日平均36回の充電が行われています。利用者の約半数は、アウディの電動モデルでこの場所を訪れます。

 

 

実は2021年12月に初めてAudi charging hubを設置した時、これほどの成功を収めると予測した人は殆どいませんでした。しかし2023年1月末までに、ニュルンベルク拠点を利用した人は、既に1万人を超えています。

 

チューリッヒでも、同様に高い需要が見られます。これらの数字は、自宅での充電ではなく、都市部での充電というアウディのコンセプトが正しいものである事を裏付けていると言えるでしょう」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。