アストンマーティンの新型Vantage GT3は6月24日(米ニューヨーク州ワトキンズ・グレン発)、ザ・グレン(ワトキンズ・グレン・インターナショナルサーキット/Watkins Glen International Circuit)で開催されたIMSAスポーツカー選手権GTD Proクラスで、パートナーチームのHeart of Racing Teamと共に初勝利を手にした。
ワトキンズ・グレン6時間耐久レースでは、土砂降りによってトラックに水が溜まり、レース中盤ではレッドフラッグが出て中断になる場面もあったが、ワークスドライバーのロス・ガン選手(英国)および FIA世界耐久選手権のレギュラー・ドライバーであるアレックス・リベラス選手(スペイン)は反撃を開始。
当初は、急変する天候のコンディションに合ったタイヤが履いていたことを指摘され、周回遅れとなったものの、Heart of Racing Teamならではの戦略づくりと、リベラス選手の判断力と勇敢な走りに支えられ、再び上位争いに加わる。
途中、レース中段以降でレッドフラッグとなった後に解除され、その際、フィールドがグリーンフラッグの状態に戻る最終ステージで、ガン選手はGTD Proクラスの首位を走るコルベットと16分差で2位につけた。
しこの際ガン選手は、先頭車は残燃料が少ないことを把握していたため、滑りやすいコンディションであるにも関わらず果敢にプレッシャーをかけ、ライバルは最終ラップで燃料補給のためピットに入らざるを得なくなった。これによりHeart of Racing Teamはクラス首位の座を奪い、トップでのゴールラインを潜った。
この結果にチーム・プリンシパルのイアン・ジェームス氏は、「本日はHeart of RacingチームとVantageにとって夢のような素晴らしい日になりました。もちろん以前から、このような結果をすべてのシーズンで出すために多大な努力を重ねてきました。
しかしロスとアレックスは前回のデトロイト戦では表彰台に立つことができませんでしたが、今シーズンへの弾みがつき始めています。
ル・マン24時間レースでは、不運に見舞われる直前まで優勝争いに加わっていたため、次のレースでこうして今季初の勝利を掴んで勢いを取り戻すことができ、素晴らしいと感じています。
私たちは見事なパフォーマンスによって、厳しい状況を落ち着いて切り抜けることができました。この快挙を成し遂げたチーム全員に心から感謝いたします」と語った。
また今回、米国でも最も権威ある耐久レースで8回目の優勝に輝いたグレン選手は、「新型Vantage GT3は、あらゆるコンディションにおいて優れた性能を発揮しますが、とりわけワトキンズ・グレンではその強さが際立ったと思います。
正直なところ、このモデルで勝利を手にする兆しは少し前から感じていました。私たちはVantage GT3に秘められた大きな可能性を生かす挑戦を始めたばかりです。今日はアレックスが大活躍したので、彼こそが優勝の美酒に酔うに相応しい仕事を果たしたのだと思います」と話した。
この2人がワトキンズ・グレンで優勝を勝ち取ったのは、同じくHeart of Racing Teamと共にVantage前世代モデルで勝利した2022年のレースに続き、今回が2回目となった。
現在、ガン選手はGTD Proクラスの上位者と60ポイント差で3位のランクインしており、リベラスは5月にFIA WECスパ6時間耐久レースに出場し、ラグナ・セカ戦には不参加であったため8位となっている。
現時点では、新型Vantage GT3のパフォーマンスの高さは素晴らしく、パートナーチームであるMagnus Racingがジョン・ポッター選手(米国)、アンディ・ラリー選手(米国)、スペンサー・パンペリー選手と共に挑んだ3度目のGTDクラス戦で、3位を獲得し表彰台に上がったことをみても上り調子にある。
アストンマーティン新型Vantage GT3は、今年初めにシルバーストーンで初披露された新型Vantageロードカーと同じ機械的アーキテクチャを備え、アストンマーティンの実績ある接着アルミシャシーを中心に組み立て、4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載したモデルであり、6月に参戦したレースでは主要3大陸において優勝を飾っている。
Vantage GT3は、鈴鹿で開催されたSUPER GTのGT300クラスでD’station Racing Teamと共に初優勝を手にし、Blackthorn Racing Teamは先週末のル・マン24時間レースの直前に開催された著名なラ・サルト・サーキットでのロード・トゥ・ル・マン第2戦で欧州初優勝を達成した。
この勝利に続き、同チームは日曜日に行われたスパ・フランコルシャンでのブリティッシュGT選手権シルバー・アマ・クラスで準優勝し、新型Vantage GT4で挑んだForsetti Motorsport Teamは、GT4シルバークラスで優勝の賛辞を浴びた。これは同チームがVantageで掴んだ4度目のクラス優勝であり、残り4戦となった現在は、GT4のシルバーとプロ・アマ・クラスの両方で首位に立っている。
これらの実績を踏まえ耐久モータースポーツ責任者のアダム・カーター氏は、「6月は、アストンマーティン新型Vantage GT3が日本、欧州、そしてこの度米国で優勝を果たした記念すべき月になりました。
当社をIMSA選手権での初タイトル、ロレックス・デイトナ24時間レース優勝へと導いたパートナーであるHeart of Racing Teamこそが、米国初の栄冠に輝いたチームに相応しいといえます。
アストンマーティンの全員にとって大きなモチベーションになっており、今週末のスパ24時間レースでもニュルブルクリンク24時間レースやル・マン24時間レースで示した素晴らしい可能性を発揮し、最高の結果を残すことを目指します」と述べている。
なお2024 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦は、カナダのカナディアンタイヤ・モスポート・パークで7月14日に開催される。