英Armの日本法人であるアーム株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:内海 弦)は9月15日、クラウドやサーバー、5G などのiTインフラストラクチャ向けプロセッサ「Arm Neoverse」の最新ロードマップと、次世代インフラストラクチャ分野向けの技術動向を発表した。(坂上賢治)
同社は、これらの発表を踏まえて、世界のパートナーへの迅速かつ継続的なイノベーションサポートをより強力に後押しするとしている。
その取り組みに関して同社のインフラストラクチャ事業部門シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのクリス・バーギー氏(Chris Bergey)は、「世界のコンピューティング・インフラストラクチャを再定義し変革するArm Neoverseのパフォーマンス、電力効率、用途特化型の演算、ワークロード・アクセラレーションに対する業界の注目は高まるばかりです。
私たちは世界最大級のコンピューティング・フットプリントを擁し、あらゆる演算分野を網羅して独自の知見を確立しています。
新時代のインフラストラクチャ・テクノロジーには、パフォーマンスと効率性というArmのDNAが必要とされますが、このたびのNeoverseロードマップの拡充によりそれを実現する準備が整い、Armが未来のインフラストラクチャを支える基盤となる事を確信しています」と語った。
そのためにArmは、最新版Vシリーズコアと広範な導入実績を持つArm CMN-700メッシュ・インターコネクトを備えたNeoverse V2プラットフォーム(Demeter)を発表。
このNeoverse V2は、クラウドとHPCのワークロード向けに市場をリードする整数演算性能を提供し、Armv9アーキテクチャの複数のセキュリティ強化機能も導入されるという。
実際すでに複数のパートナーがNeoverse V2ベースの設計に着手しているとしており、その一例としてNVIDIAは、データセンターCPUのGrace向けのコンピューティング基盤としてNeoverse V2を活用している。
Graceは、Neoverse V2の電力効率とLPDDR5Xメモリの電力効率をともに活用する事で、従来型アーキテクチャによるサーバーとの比較で2倍のワットあたり性能を達成する予定だとした。
さらに、効率的なパフォーマンスおよびスループットに向けた継続的な投資の一環として、同社は次世代Nシリーズ製品の開発を進めており、パートナーへの提供を2023年に据えた。
Neoverseプラットフォームは、アクセラレーション対応のインフラストラクチャ・ソリューションのあらゆる製品に対応できるよう特別設計された。用途特化型演算はワークロードの消費電力を削減し、現代のワークロードで求められる高い演算要件に対応する解決策になると話している。
5G RANとワイヤレス・インフラストラクチャの分野では、消費電力の低減とスループットの向上を通じて先進的なパフォーマンスを実現させていく。
これによりArmパートナーは、スモールセルからマクロセル、プライベート・ネットワークなど、さまざまなアプリケーションとユースケース向けに製品をカスタマイズ出来るようになる。
更に同社は、Ampere AltraベースのHPE Proliant Gen11プラットフォームの提供開始や、VMwareのProject Monterey、RedHatによるOpenShift on Armのサポート、SAP HANAによるクラウド・インフラストラクチャのArmベースAWS Gravitonへの移行など、各種の取り組みを通じて従来型のエンタープライズ領域へも進出していく予定であると結んでいる。