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2024年8月13日【イベント】

アルテア、今年の自動車技術賞を発表

坂上 賢治

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Altair Enlighten Award、デュポン・BMW M・ダウ・トヨタ・GM等が獲得

 

製品設計支援のアルテアエンジニアリング( ALTR / Altair Engineering /  米国本社:米ミシガン州、CEO:James Scapa、日本本社:東京都中央区、代表取締役社長:加園 栄一 )は8月6日( 米ミシガン州発 )、2024年度のAltair Enlighten Award( アルテア エンライトン アワード )の受賞者を発表した。

 

この「Altair Enlighten Award」は、広く自動車産業を対象に据える優れたイノベーションを生み出すことを軸に、持続可能な設計技術に焦点を当てるもの。

 

米国自動車研究センター( CAR=Center for Automotive Research )との共催で毎年行われる同賞は、二酸化炭素排出量の削減、水やエネルギーの消費の抑制、材料の再利用とリサイクルの促進を実現した持続可能性と軽量化等での秀でた取り組みを称えるものとなっている。

 

そんな歴代のAltair Enlighten Awardは、自動車産業界、同・関連技術者、多様な産業領域の施策立案者、大学等の高等教育分野、クリエイターなどの多方面から注目されており、過去のAward獲得者には、GM、フォード、ステランティス、ハーレーダビッドソン、トヨタ、日産、マツダ、フェラーリ、JLR、メルセデス、BMW、ポールスター、SAIC-GM-Wuling( SGMW/上汽通用五菱汽車 )、BASF、マレリ、Volterasなどが名を連ねる。

 

 

今年の大賞、次点、入賞の全受賞者は以下の通り

 

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− サステナブル製品部門 −

排出量削減、軽量化、材料循環、安全性の向上を取り入れた生産車両( または主要なシステムモジュール )。

 

・大賞:デュポン – デュポン™ ベタメイト™ ブロードベーク接着技術
デュポン™ BETAMATE™ブロードベーク接着剤技術は、接着剤を低温で硬化させることで、車体製造時のエネルギー使用量と温室効果ガス排出量の削減に貢献する。また同技術は保存期間を延長する特殊な配合により、低温保存の必要性をなくす。

 

 

・ 次点:ブリヂストン アメリカ – TURANZA EVタイヤ
グランドツーリング用タイヤ「TURANSZA EV」は、市販されている補修用タイヤとしてはトップクラスの再生可能・リサイクル材を50%使用し、ブリヂストンのENLITEN™テクノロジーを採用することで、性能の最適化とタイヤ寿命の向上を実現している。ブリヂストンは、2050年までに全てのタイヤを再生可能素材とリサイクル素材で100%構成することを目指している。

 

 

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− サステナブルプロセス部門 −

製造またはエンジニアリング段階に於いて、排出削減、材料の再利用・リサイクル、節水を可能にするプロセスを評価。

 

・大賞:BMW M、AMC、Bcomp、Gradel Lightweight Sàrl、Lasso Ingenieurgesellschaft – BMW Mビジョナリー材料シート
BMW Mビジョナリー材料シートは、循環型設計の原則と持続可能な素材に重点を置いている。同シートは、リサイクルポリエステル繊維、亜麻繊維バイオコンポジット、代替バイオジェニックレザーなど、持続可能で再生可能な素材を使用することを重視したモノマテリアル軽量設計が特徴。
可能な限り藻類や植物由来の充填材(チョークやコルクなど)を使用し、石油由来の原材料からバイオベースの素材を作成。複合材は、必要に応じてカーボン、玄武岩、ガラス繊維、天然繊維を使用できる。

 

 

・次点:トヨタ自動車マニュファクチャリングカナダとPPGインダストリーズ – EPIC200X電着塗料
EPIC200X電着塗料は、自動車ボディの防錆性を高めると同時に、環境への影響を大幅に低減させる。トヨタの工場では、新製品と塗布プロセスにより、年間3,500トンのCO2排出量を削減することができる。具体的には、新製品は車両ごとの塗布量を0.6kg削減し、新しい塗布工程は年間5,626,000kWhのエネルギーと1,843,000ガロンの水を節約する。

 

 

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− モジュール部門 −

車両モジュール、サブシステム、またはコンポーネントの質量削減。

 

大賞:サイエンスコ、ゼネラルモーターズ – 高性能熱可塑性バッテリーモジュール構造
サイエンスコとゼネラルモーターズは共同で、革新的な高性能熱可塑性プラスチック製バッテリーモジュール構造を設計した。主な特徴としては、精密射出成形による車両性能の向上、組み立てを簡素化するための合理化された部品統合、バッテリーセルを安定させる独自のセルロック機能などが挙げられる。更に複数の部品と工程を排除した設計により、効率をさらに最適化している。

 

 

次点:トヨタ自動車、米国ファラサン、BASF – トヨタ・タコマ2列目コンポジットシート構造
トヨタ・タコマの2列目コンプライズシート構造は、前世代のスチール製シートよりも30%軽量化され、2022年型トヨタ・タンドラに搭載される現行の樹脂製シートよりも20%軽量化される。また、55以上の部品をわずか4つの部品に統合され、射出成形から出荷までの時間を短縮した。

 

 

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− 軽量化実現技術部門 −

材料、生産プロセス、設計方法、接合技術など、車両の軽量化を可能にする技術の進歩。

 

大賞:CompositeEdge – 次世代サステイナブル高性能構造体
CompositeEdge社は、材料の使用量を最小限に抑えることを目的として亜麻繊維や麻繊維などの天然繊維複合材料をプラスチックと混合して使用し、接着剤を追加することなく、自動車のボディパネル、内装トリム、シャーシ部品、サスペンション要素などの自動製造に対応できる高性能構造を形成した。

天然繊維複合材料の使用は、合成材料に比べて二酸化炭素排出量とエネルギー消費量を大幅に削減する。全体として、この技術は持続可能な軽量自動車部品の製造を可能にした。

 

 

次点:テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ – 複雑なCFRP部品を可能にする完全自動成形プロセス
テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズの全自動プリフォーム工程は、自動車部品(この場合は車両ドア)に使用される炭素繊維プリフォームの大量生産を可能にする。自動化されたプロセスの精度は、材料の使用量を最適化し、少量の端材(廃棄物)をリサイクルできる。以前の労働集約的な工程は大量生産には不向きで、人為的なミスによって避けられない無駄がしばしば発生していたが、新工程は遙かに効率的で、必要な労働力を20%削減した。

 

 

入選:ビーミス・マニュファクチャリング・カンパニー、BASF – BASFのウルトラミドポリアミドを使用した小型掘削機用大型油圧タンク
ビーミス・マニュファクチャリング・カンパニーとBASFは、BASFのポリアミドを使用した小型掘削機用の大型油圧タンクを開発し、環境保護(ライフサイクルCO2排出量の削減)とライフサイクルコストの削減を両立する環境効率の高いソリューションを提供した。また、射出成形と振動溶着を組み合わせることで、従来のロート成形に比べて5%の質量削減と20%のコスト削減を実現した。

 

 

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− 軽量化構想部門 −

自動車の軽量化を進展させる大きな可能性を秘めたプロセス、材料、技術。

 

大賞:WEAV3D、Braskem、Clemson Composites Center – コスト効果の高い軽量車体構造
WEAV3D、Braskem、Clemson Composites Centerは、市販されているあらゆる車体構造の性能に適合するように調整可能な複合格子強化ポリプロピレンシートを開発した。
より少ないエネルギーでより多くの部品を生産する、高速で高度に自動化された成形サイクルで製造されたこの新しいシートは、CFPA6オルガノシート(ナイロン6)よりも50%安く、23%軽く、鋼鉄よりも60~70%軽量化されている。更に重量ではトリムスクラップの62%削減も実現しています。スチールと比較しても、ポリプロピレンシートは優れたエネルギー吸収性と形状回復性を備えている。

 

 

次点:Carsolia Composites Corporation – Carsoliaの複合サスペンションコイルスプリング
Carsolia Composites社は、スチールより50%軽い特許出願中の複合コイルスプリングを発表した。この炭素繊維複合材料は、鋼鉄と比較して1kgあたりのCO2換算量が50%少なく、その結果、CO2排出量を全体で75%削減でき、更に自動車の大量生産に対応する効率的な生産工程で製造されたこのスプリングは、以前は不可能だったユニークな外観デザインの可能性も可能。バッテリー電気自動車(BEV)プラットフォームに最適なこのスプリングは、「ボルトオンソリューション」として現行車と直接交換することができるため、デザイン変更は必要ない。

 

 

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− 責任あるAI部門 −

設計、エンジニアリング、運用から生産、使用に至るまで、自動車のバリューチェーン全体を通じた責任あるAIの導入。

 

大賞:ダウ- 持続可能なSPECFLEXTM ポリウレタンソリューション
ダウの持続可能なSPECFLEXTM ポリウレタン溶液は、性能を最適化するために、よりクリーンな原材料と独自の設計原理を開発・使用することに重点を開発された。

従来の配合と比較して同等の機械的特性および経時特性を達成するこれらのソリューションは、総揮発性有機化合物(VOC)が50%以上、ホルムアルデヒドが60%、アセトアルデヒドが80%低く、大幅に安全性と持続可能性が高まった。更にAIアルデヒド予測モデルは、悪臭の要因を捉え、複雑な非線形特性を実世界に関連する性能特性に変換することで結果予測を可能にし、市場反応を加速させる。

 

 

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主催者からのエンドースメント(endorsement)は以下の通り

 

アルテア創立者兼CEO James R. Scapa氏のエンドースメント
Enlighten Awardは、持続可能なテクノロジーにおける自動車業界の優れたイノベーションに光を当てる代表的な賞です。より持続可能な未来を創造する組織を再び表彰できることを嬉しく思います。今年の受賞者は、困難な目標を達成する最高のイノベーターであると考えます。

 

Center for Automotive Research 社長兼CEO Alan Amici氏のエンドースメント
Enlighten Awardでは毎年、画期的な自動車技術の次世代を切り開く製品、プロセス、組織を紹介しています。今年の受賞者を表彰するのが待ちきれません。アルテアをはじめとする大切なパートナーとともにこの賞を授与できることを、今回も大変嬉しく思っています。

 

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受賞式に係る関連情報は以下の通り

 

CARマネジメントブリーフィングセミナーの授賞式
Enlighten Award受賞者は、2024年8月6日午前8時(現地時間)に開催されるCARマネジメントブリーフィングセミナーの授賞式で発表された。Enlighten Awardの詳細については、https://altair.com/altair-enlighten-award-jp を閲覧されたい。

 

2024 Enlighten Awardパートナーは以下の通り
Auto Bild Japan、Autocar Professional、Automobil Industrie、Auto Messe Web、Auto Messe Web Worldwide、Center for Automotive Research、Google Cloud、Korean Society of Automotive Engineers (KSAE)、SAE Automotive Engineering、Tech Briefs

 

Altair Engineering, Inc.
設立:1985年
代表者:ジェームス・R・スキャパ(創設者、会長兼CEO)
事業内容:CAEソフトウェア、オンデマンドコンピューティング、情報分析ソリューション、デザインソリューションの研究・開発・販売、製品開発コンサルティング
本社所在地:1820 E. Big Beaver Rd, Troy, MI 48083-2031, U.S.A.
企業URL: http://www.altair.com/

 

アルテアエンジニアリング株式会社
設立 :1996年
代表取締役社長 :加園 栄一
事業内容 :製品開発、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、人工知能(AI)に係わるソフトウェアおよびクラウドソリューション開発、販売、サポートおよび受託サービス
東京オフィス :東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン14階
URL: https://www.altairjp.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。