ダカールラリー2024参戦車両 HINO600 Series 日野チームスガワラ
アリソントランスミッションの日本法人アリソンジャパンは3月29日、トルクコンバーター式6速フルオートマチックトランスミッションの「アリソン3000シリーズ(TM)」を、ダカール・ラリー2024に参戦した日野チームスガワラに提供したことを明らかにした。
ドライバー兼チーム代表の菅原照仁氏が率いる日野ダカール・ラリー共同参戦チーム「日野チームスガワラ(日野自動車+日本レーシングマネージメント)」は、初参戦の1991年から数えて30年を超えるレース経験を有する。
チームは、ボンネット車両のHINO600 Seriesに、過去のレース経験で優れた実績を持つアリソン3000シリーズ(TM)の搭載車両でダカール・ラリー2024のT5トラック部門に参戦。多くの大型車が上位を占めるトラック部門で総合6位・33回連続完走を達成した。
そんなダカール・ラリー2024は、2024年1月5日にサウジアラビアのアルウラをスタートし、14日間国内を走破しながら1月19日にヤンブーに帰着した。歌舞伎の隈取がモチーフの新デザインを採用した2024年参戦車両は、死の砂漠と形容されるエンプティ・クオーターの砂丘を走破できるよう徹底した軽量化を図り、2023年参戦車両と比較して約400kgもの軽量化を果たした。
アリソン 3000シリーズ(TM)
そんなHINO600 Seriesに搭載されたアリソン3000シリーズは、防衛車両や南極観測車、雪上車など幅広い分野で採用され、エンジントルクを最大1.77倍に増幅するトルクコンバーターが搭載されており、パワフルな発進性能を発揮する。
また、Continuous Power Technology(TM)が間断なく動力を伝達するので、トルク抜けなく安心して操作できるだけでなく、1秒を争うレースでのタイムアップに寄与した。
日野チームスガワラ 代表 菅原照仁氏
菅原氏は、「参戦車の技術力が向上していることに伴い、年々コース設定が厳しくなってきています。過去のレースでは市販車の改造車で参戦するチームも多数ありましたが、その姿はほぼなくなるほどの難しいコースとなっています。
我々は30年もの参戦経験を有するなか、厳しい気象条件下でのATの耐熱性能を上げるためにオイルクーラーを大型化するなどして対策を講じてきました。それでも砂地走行時、変速時にトルク抜けすると急ブレーキを踏んでいるような感覚があるくらい致命的な減速につながりますが、トルク抜けのないATによるシームレスな変速は、平均車速を維持、向上するためにも重要です。
また難コースを制するには車両性能はもとより、砂地でスタックや横転をしないようなドライバーの経験値が重要で、いかにミスを減らすかがタイムアップに欠かせません。
砂丘の勾配は30度程度もあり、簡単に登ることはできませんが、そこで横転しないようハンドリングを絶妙に調整する際にも両手でしっかりハンドルを握ることのできるAT車はドライバーへの負担軽減になっていると感じます。過去のAT車での参戦経験から、アリソン製ATのスムーズな加速性能と耐久性には信頼を置いています」と語った。