産業技術総合研究所(産総研)は、11月1日に「サイバーフィジカルセキュリティ研究センター」を設立した。
IoT、AIなどによって実現されるSociety5.0では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の高度な融合による経済発展と、社会的課題の解決が期待されている。
しかし、そのような社会には、サイバー空間における攻撃、フィジカル空間における攻撃、両者の境界における攻撃が絡み合う高度化・複雑化された脅威が存在する。
サイバーフィジカルセキュリティ研究センターでは、サイバー空間とフィジカル空間に跨り価値を創造する産業基盤のセキュリティ強化に貢献することを目指す。
研究センターでは、新しい技術領域において、セキュリティを測定する技術、セキュリティのレベルを定める方法、セキュリティのレベルを検証する方法を研究開発する基礎研究と、その成果をセキュリティの基準作成・評価・認証・標準化等につなげ、新しい技術領域の技術を迅速に社会に広げられる基盤となる様々なセキュリティ保証スキームの研究開発を行う。
主要な研究として、① 信頼の起点となるハードウェアのセキュリティと、② 近年急速に利用が拡大する一方でセキュアであることの確認が困難となっている統計的機械学習AIのセキュリティの2つの課題に重点的に取り組み、いずれにおいても、基礎研究、実装・実証研究、実用化研究を連携させながら進める。
基礎研究では、学術的な成果発表を行いながら、基準・評価・認証・標準化などに繋がる技術の研究開発を、ステークホルダーと連携して遂行。開発された技術が、迅速に産業界に導入されるセキュリティ保証スキームの確立を目指す。
産総研は、サイバーフィジカルセキュリティ研究センターの設立により、ハードウェアからシステム、サービスに至るサプライチェーンで、製品やサービスのセキュリティを検証可能とし、セキュリティに対する不安を払拭、人々が安心してそれら製品やサービスを利用可能とするとともに、Society5.0を実現する産業基盤の利用に対する事業化投資を推進し、安心安全な世界の実現と産業競争力強化を目指すとしている。
※:Society5.0は、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。
■(内閣府)Society 5.0:http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html