愛知製鋼は、「オートモティブワールド2019」(1月16日〜1月18日・東京ビッグサイト)内の「自動運転EXPO」に、路面に設置した磁気マーカーにより高精度・高信頼の自動運転を実現する磁気ポジショニング・システム(以下、MPS)を展示した。
自動運転技術開発のベンチャー企業で、自動運転バスの開発等も手掛ける先進モビリティと共同出展した今回のブースに、メイン展示物として出展されたのがMPSだ。
これは、車両底部に取り付けた超高感度磁気センサである「MIセンサ」モジュールが、道路に敷設した磁気マーカーの微弱な磁力から自車位置を高精度に計測する自動運転支援システム。
自動運転車の自車位置特定にはGPSを活用することがよく知られているが、トンネル内や高架橋下、積雪や霧等の悪天候下などのGPSが届かない(画像処理技術が機能しにくい)環境下でも、低コストかつ安定して自車位置を特定できる技術として同社が開発を進めているものだ。
現在、同社では国土交通省や内閣府が全国で行っている自動運転の実証実験や、BRT(バス高速輸送システム)の実証実験等にこの技術を提供。実用化に向けた検証や開発を進めている。
ブースでは、様々なタイプの磁気マーカーを展示。
路面に貼り付ける表面設置タイプは、直径100ミリ、厚さ1ミリ。
また、路面のアスファルトに埋設するタイプは、直径30ミリ、厚さ20ミリといずれも非常にコンパクトだ。
また、いずれのタイプにもRFIDタグ装備バージョンもある。
RFIDタグは、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりするためのIC チップが埋め込まれたタグのことだ。
これにより各マーカーの座標情報を車両に送ることも可能で、より正確な車両の位置情報が検知できると共に、今後期待されるIoTやビッグデータを活用したコネクティッド技術などにも対応する。
これまでおこなわれた実証実験では、自動運転車の走行コースに合わせ、これらを路面の車線中央部に一定間隔で複数設置。
自動運転車の車両底部に装備したMIセンサがそれを検知し、自車位置を特定するという仕組みを採用している。
実証実験では、磁気マーカーの設置間隔を2メートル程度にした例が多いが、走行ルートによってはより間隔が広くなっても問題ないという。
また、マーカーの磁気は、強すぎると道路にある他の金属や空き缶などを引き寄せてしまう危険性がある。
そのため磁気自体は微弱としながらも、周辺の磁気ノイズを分離し、磁気マーカーの地場パターンのみを検知する同社独自の信号処理技術も採用している。
同社によると、このシステムの自車位置推定精度は+/−5ミリで、車両が200km/hで走行しても追従が可能だという。
また、実用化の課題は、位置推定の精度をより上げることや磁気マーカーのさらなる小型化等で、これら課題解決のために同社では本年度以降も多くの実証実験を計画中だ。
道路での自動運転だけでなく、空港・港湾など特定エリアでの無人搬送車や地下駐車場での自動バレーパーキングなど、実用化されれば幅広い用途への活用が期待されるだけに、今後の動向に注視したい。