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2024年7月26日【イベント】

エアロネクスト、北海道新十津川町でドローン物流実装開始

坂上 賢治

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写真は、SkyHub®サービスで使用されるドローンと軽バンと共にカメラに収まる主要メンバー。向かって左から2番目よりエアロネクスト代表取締役CEO/NEXT DELIVERY代表取締役の田路圭輔氏、新十津川町長谷口秀樹氏、ドローンデポスタッフなど

 

住民に向けたフードデリバリー、買い物代行のサービスを順次開始へ

 

北海道・新十津川町(町長:谷口 秀樹)、エアロネクストNEXT DELIVERY、AX・BX・CX・DX戦略を展開する電通北海道の4者は7月26日、新十津川町を舞台にドローンを用いた新スマート物流( 物流業界が抱える課題を陸送・空送・貨客混載等で解決する試み )に取り組む。

 

ちなみに上記、北海道新十津川町のルーツは、かつて明治22年に「奈良県十津川村」に未曾有の豪雨が襲い、村が壊滅する程の大水害で生活基盤を失った多くの村民が北海道への団体移住を決意。翌年、明治23年に、新天地新十津川に入り「不撓不屈」の精神で肥沃な大地を切り拓いたことが源流となっている。

 

現在の北海道新十津川町は、スマート水田農業が盛んな地域となり、農業用ドローンが農家の4割以上で普及したことでドローン利用が北海道随一であることから、町の課題を解決する取り組みとして「新十津川ドローンプロジェクト」が令和5年に立ち上げられている。

 

またエアロネクストは、ドローンを活用した新スマート物流の実現のためにドローン配送を主事業とするNEXT DELIVERYなどの戦略子会社を設立。ドローン配送サービスの社会実装に主体的に取り組んでいる。

 

7月25日にドローンデポを新設して報道陣を募り、開所式を執り行う

 

そうした参画4者の背景から新十津川町では、SkyHub®( 流通にドローン配送を加えた配達代行・オンデマンド配送・医薬品配送を目的に荷物配送・共同配送する仕組みを指すもの )に係るサービスを開始するにあたり、2024年7月25日(木)にSkyHub®サービスの拠点となるドローンデポ®( 陸上物流とドローン物流との接続・集積・配送拠点 )を設けて、その開所式を執り行った。

 

物流専用ドローンAirTruckがキャンプ場で荷物を置き配する様子 (しんとつかわキャンプフィールド)

 

そもそも新十津川町と各社は、去る2024年1月に「ドローンのまちづくりに関する連携協定」を締結しており、今回は、政府の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用した「新十津川町ドローンプロジェクト」の一環として、ドローン配送と陸上輸送を組み合わせた新スマート物流SkyHub®を社会実装していく。

 

より具体的には。SkyHub®事業とドローン運航事業を担うNEXT DELIVERY( エアロネクストの子会社 )を主体に、町内の事業者と連携しながら8月1日より、フードデリバリーサービス、買い物代行などの複数サービスを展開していく構え。

 

なお先の通りでSkyHub®は、ドローン配送と陸上輸送を融合した新たな物流インフラを構築して地域課題の解決に貢献するもの。新十津川町は、SkyHub®を社会実装フェーズに加えた自治体として全国で第11番目の地域となる。

 

開所式では、配送サービスの一つとして計画している、しんとつかわキャンプフィールドへの食材配送を、実際のドローン配送で使用する物流専用ドローンAirTruck( エアロネクストとACSLで共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン )を使用し、当地に報道陣を募り、メディア公開デモフライトを実施した。

 

ドローンで配送されたBBQセットを受け取る町民ご家族(しんとつかわキャンプフィールド)

 

配送サービスについて

(1).フードデリバリーサービス(SkyHub®Eats)
SkyHub®Eatsとは、新十津川町の提携飲食店のフードをドローン便あるいはクルマ便にて届ける。料金は配送料200円( 税込 )とサービス料( 商品代金の10%程度 )を想定。

 

(2).地域の商店と連携した買物代行サービス(SkyHub®Eats)
SkyHub®Eatsとは、SkyHub® ECで買物した地域の商店やスーパーなどの商品が、希望日時に個宅に届く買物代行・配達代行サービスであり、地域の商店のDX化支援の取り組みでもある、ネットスーパーのサービスとなるもの。

 

ドローン配送について

7月25日の公開実証段階では計画している配送サービスのデモフライトとして、地域商店「ヴルストよしだ」のソーセージ、「大畠精肉店」のジンギスカンなどをセットにしたBBQセットを、エアロネクストの物流専用ドローンAirTruck( 可搬重量/ペイロード最大5kg、最大飛行距離20km )に積み込み、新十津川町・農村環境改善センター「しんとつかわキャンプフィールド」までの片道約5.16㎞を約11分で配送した。

 

今回ドローン配送した地域商店の食料品をセットにしたBBQセットとAirTruck専用箱

 

ドローン配送したBBQセットを受け取った町民家族からは、「地元の食材がドローンで受け取れることで、キャンプを楽しむ方に喜んでもらえると思う」「子連れだと買い物行くのも大変なので、こうやってドローンで届くと楽でありがたい」という声が聞かれたという。

 

なおドローンによる配送は、今後8月1日より、しんとつかわキャンプフィールド利用客に向け、今回デモフライトと同じルートで食材等の配送を実施する予定。また年度末までに順次ルートも増やし、フードデリバリー等でのドローン配送も開始していく予定だ。

 

今回参画4者は、今後も「ドローンのまちづくりに関する連携協定」に基づき、新十津川町、各社が相互に連携・協力。新十津川町の課題や町民のニーズに沿って、ドローンを活用した持続可能な新たな物流網の構築と、人材育成も包括した新たな産業の創出に取り組んでいくと述べている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。