軒先の全株式取得で140万人の会員を誇るアジア最大の駐車場プラットフォームへ
駐車場シェアリングサービス「USPACE」を運営するユースペースは7月17日、スペースシェアリングベンチャーの軒先の全株式を取得した。この買収により、USPACEは、台湾と日本で合計2,000以上の駐車場と約9万の駐車台数(車室数)を管理し、140万人以上の会員を持つアジア最大のスマート駐車場プラットフォームとなった。
今回、同社が軒先の全株式買収に動いたのは、日本で駐車場のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでおらず、多くの駐車場が未だにアナログな管理方法を採用していることにある。そのため、利用者は空きスペースの検索や予約に時間を要し、管理者にとっても駐車場の管理に手間とコストのかかることが課題となっていた。
そこで先の通り、駐車場シェアリングサービス「USPACE」を配するユースペースは、この課題を解決するためIoT技術やAIを活用して駐車スペースの利用効率を向上させることを目指すべく、広範な駐車場ネットワークを保有する軒先の全株式を取得することで、日本の駐車場DXを推進する決断に至った。
そんな同社は、個人宅やマンション、事業所などの空いているスペースを、アプリを通じて簡単に貸し出すことができるサービスを展開。ドライバーは、リアルタイムで駐車スペースの空き状況を検索し、1分単位での予約が可能となっている。また、オーナーは、アプリひとつで提供時間や価格の設定、予約や収益の管理ができる。
USPACEは、催事マッチングなど軒先の駐車需要開拓に係る営業力を活かす
こうして駐車場シェアのUSPACEは、2016年のサービス開始以来、年間収益は3~5倍に成長し、急速に規模を拡大してきた。2022年には、台湾の大手通信企業である台湾大哥大股份有限公司(台湾モバイル)から出資を受け、台湾の駐車場の効率化や、電気自動車の普及促進、二酸化炭素排出の削減を進める他、2020年に日本市場へ上陸。大手企業と連携するなど確実にシェアを拡大している。
その強みは、独自のAI深層アルゴリズムにより、車両のブランドや色を認識し、ユーザー情報を識別できる強みにある。また、AIを使ったチャットボットで顧客対応を全自動化し、管理効率を大幅に向上させることができる。これにより、80%以上の顧客対応を削減することができ、人件費を抑えながら、サービスの品質とスピードを大幅に向上させることに成功した。
一方で軒先は、民家や空き地、休日の法人駐車場等の遊休地を有料予約制の駐車場として有効活用するサービス「軒先パーキング」を運営している。
「軒先パーキング」は、日本初の駐車場シェアリングサービスであり、約67万人の会員と33,000箇所の駐車スペースを保有している。特に、観光地やスポーツ関連施設、イベント会場周辺など、駐車需要が集中する場所での駐車場マッチングに強みを持つ。
両者は今連携により、双方のプラットフォームで、両社の駐車場を導入・公開する予定という。具体的には、USPACE上でも、軒先パーキングの広範な駐車場ネットワークが予約できるようになる。
軒先は、駐車場シェアサービスを超えた地域事業の拡大を視野に据える
また軒先パーキングは、これまで日単位での料金設定を採用していましたが、USPACEのIoT技術により、即時に駐車スペースの検索と予約ができるようになる。また、柔軟な料金設定も可能になるなど、消費者にとって更なるユーザビリティの向上が期待できる。
なお、軒先の経験豊富な社員は引き続き在籍し、市場開拓をより効率的かつ迅速に進める予定としている。USPACEのサービスについても、更にユーザーに寄り添ったものへと変化させていく考えだ。また今後、一定割合の株式が、上場予定の台湾にある親会社Uspace Tech Co., Ltd.(悠勢科技股份有限公司)の株式に転換される予定なっている。
さて両者の今後の展望では、USPACEが日本市場での駐車場シェアサービスの普及を皮切りに、アジア全域で市場シェア拡大を目指す。
将来的には、既存の駐車場シェアサービスを進化させていくだけでなく、EV充電ステーション、ガソリンスタンド、洗車サービス、カー用品ECサイト、自動車保険など幅広い分野での事業展開を計画している。これらの新たな事業を通じて、アジア最大のスマート駐車管理プラットフォームとなり、より便利な社会の実現に寄与せていく構えだ。
ユースペース代表の宋捷仁氏は、台湾の40倍にもなる日本市場の開拓に意欲
両社の連携について、USPACEを展開するユースペース代表取締役の宋捷仁氏は、「今回のパートナーシップは、収益と市場シェアを単純に統合するだけでなく、駐車場市場における未来の可能性とモビリティサービスの重要な戦略的な展開でもあります。
当社が日本市場での展開を優先する理由、および今が適切なタイミングであると考える理由は、市場規模が台湾の40倍であり、駐車場DXが遅れている点、そして日本政府がDXを推進している点です。
USPACEが開発した、車型、車種、ブランドを識別できる「AIナンバープレート認識技術」と「スマートフロアロック」は、日本におけるスマートパーキングモデルを変革すると考えています。
今後も当社のさまざまな先端技術を導入することで、人件費が高い日本において、より良いソリューションを提供し、モバイルサービスのDXを加速させることを確信しています」と述べた。
軒先・代表の西浦氏はサービスの融合で新ビジネスチャンスの拡大に期待
対して軒先で代表取締役を務める西浦明子氏は、「弊社は2008年、まだシェアリングエコノミーという概念が日本に存在しない黎明期から一貫してこの領域に携わってきました。
創業から10年以上経ち、シェアする文化やライフスタイルが徐々に浸透しはじめ、今や成長期に移行しつつあります。今回の提携により、更なる価値を提供できることを大変嬉しく思います。
USPACEの技術力と私たちのサービスの融合により、新たなビジネスチャンスが広がり、日本のシェアリングサービスが一層発展し盛り上がることを期待しています」と話している。
台湾モバイルは、国際市場への足掛かりとなる重要なマイルストーンと歓迎
ユースペースを采配するUspace Tech Co., Ltd.(悠勢科技股份有限公司)の親会社にあたる台湾大哥大股份有限公司(台湾モバイル)でChief Consumer Business Officerを務める林東閔氏は、「当社はシェアリングエコノミーを推進するため、2022年にUSPACEに2億元を出資し、30%の株式を取得して最大のリード投資者となりました。
自社の強みである通信、大規模データ、IoT(モノのインターネット)、および強力なカスタマーサービスを活用して、USPACEの台湾市場での拡大を支援しています。そうしたなかで今回、USPACEが、日本の軒先株式会社を買収したことは、両社にとって国際市場の拡大に向けた重要なマイルストーンです。
日本は世界第3位の経済大国であり、土地が狭く人口密度が高いため、駐車需要が非常に高い市場です。USPACEの先進的なスマート駐車技術を導入することで、日本の駐車場市場に変革をもたらし、ユーザーの駐車体験を向上させることができます。
今後もUSPACEとの連携を続け、相乗効果を発揮しながら、新たなパラダイムシフトを追求し、超5Gエコシステムおよび新サービスの展開を図っていきます」とコメントしている。
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株式会社ユースペース
利用者が1分単位で駐車でき、オーナーは空いているスペースを駐車場として登録出来るシェアリングサービス「USPACE」を運営している台湾発の企業。USPACEグループは、eMaaS(EV Mobility as a Services)エコシステムを拡大し、「USPACE駐車、UDRIVEテスラレンタカー、Ucharging電動車充電、GO空港送迎」などのサービスを通じて、様々な移動ニーズに対応している。将来的には、保険や電商などの分野にも進出し、アジア最大のスマート駐車管理プラットフォームとなることを目指している。
所在地:〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目4-5 202ビラ・アペックス市ヶ谷
代表者:代表取締役 宋捷仁
設立:2020年1月
URL:https://japan.uspace.city/
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軒先株式会社
だれでも簡単にお店が開ける「軒先ビジネス」、社会問題を解決する新たな駐車場のシェアシステム「軒先パーキング」、既存飲食店の空き時間を活用して開業できる「magari」など、複数のスペースシェアサービスを運営している日本国内におけるスペースシェアのパイオニア企業。
所在地 :〒107-0052 東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F
代表者 :代表取締役 西浦明子
設立 :2009年4月
URL:https://www.nokisaki.com/