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2022年11月10日【ESG】

ABボルボ、脱CO2鋼材使用のBEVトラックを顧客提供へ

坂上 賢治

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ABボルボ傘下のボルボトラックは11月10日、化石燃料を使用しない鋼材を組み込んだ世界初の電気トラックを自社顧客へ提供し始めていると発表した。大型輸送車両のグローバルメーカーである同社が、この車両の量産を開始したのは今年9月、皮切りとなったのは44トンの大型BEV( 電気 )トラックである。( 坂上 賢治 )

 

化石燃料を介さない電気と水素によって作られる同鋼材は、スウェーデン当地のSSAB( スウェーデン鉄鋼株式会社 )が製造。この鋼材は、既存の鋼材製造のプロセスとは全く異なる新製法を介して作られ、市場提供されている。

 

 

現時点のボルボ製トラックで、該当鋼材を利活用している部位は、車体上で主要コンポーネント類が組み付けられる骨格部にあたるフレームレールに使用されている。今後、化石燃料を使用しない鋼材の供給総量が増えるに連れて、該当トラックのみならず、他の車両にも同じ鋼材が導入されていく予定だという。

 

なお今日、ボルボ製トラックの組立に使われる全素材の中で、およそ3割がリサイクル素材で構成されており、使用済みとなった後のトラックでは、その9割がリサイクル可能な素材だ。

 

従って今回の化石燃料を使わずに製造される鋼材は、これまでボルボ製トラックに使用されて来た〝リサイクル鋼材〟と順次、置き換えられていく。

 

 

ボルボトラックのジェシカ・サンドストロム製品管理担当シニア・バイス・プレジデントは「当社は、気候変動に係るパリ協定に深くコミットし、遅くとも2040年迄に車両性製造に係るバリューチェーン全体で、温室効果ガスの排出量を〝正味ゼロ(実質ゼロ)〟にする事を供給市場に向けて約束しています。

 

そうした意味で、新たな鋼材の採用は当社の事業全域で、気候変動への影響を大幅に減少させる事を意味します。つまり、この取り組みはCO2のゼロ排出を目指す当社の最終目標達成に向けた重要なステップとなるのです。

 

ちなみに、化石燃料を一切使用しない鋼材で組み立てた電気トラックの顧客は、流通小売大手のアマゾン(Amazon)や、デンマークの国際海運&物流企業のDFDS( Det Forenede Dampskibs-Selskab/ユナイテッド蒸気船会社 )、その他、運送会社のサイモン・ルースを通じて英消費財メーカーのユニリーバも顧客の一角を占めています」と話す。

 

 

対してアマゾンの輸送サービス部門で、ヨーロッパ担当のバイスプレジデントを務めるアンドレアス・マーシュナー氏( Andreas Marschner )は「当社では2040年迄に全ての業務をゼロカーボン化にする道を歩んでいます。そしてこの脱CO2移行への取り組みを確実に実現させていくため、最重要パートナーとしてボルボトラックを選んでいます」と語っている。

 

更にDFDSの物流部門を担うニクラス アンダーソンEVP( Executive Vice-President/エグゼクティブ・バイス・プレジデント )は「私達は、より環境に優しい輸送及び物流ソリューションの提供を目的に未来を見据えています。

 

そんなロジスティクス分野で、環境に配慮した取り組みを積極的に消化していく取り組みは、私達の会社をカーボンゼロ社会へ近づけていくための第一歩であり、それゆえに間もなく納入されると聞いている化石燃料を一切使用しない鋼材で作られるBEVトラックの納入を心待ちにしています」と述べていた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。