ボルボトラックスが 74トンの電気トラックで化石燃料を使用しない鉄鉱石輸送を実証
ABボルボ傘下のボルボトラックス(Volvo Trucks)と採掘会社のカウニス・アイアン社は9月6日(北欧時間)、鉄鉱石の輸送を化石燃料に頼らないものにするべく大型BEVトラック(74トン)を使用した鉱石輸送の実証テストに取り組んでいると発表した。( 坂上 賢治 )
同プロジェクトは、先のカウニス・アイアン社、ボルボトラックスの車両販社ウィストラスト&バス(Wist Last & Buss)及びEVトラックの充電インフラストラクチャをサポートするエネルギー会社のバッテンフォール(Vattenfall)の共同事業だ。
カウニス・アイアン社は、このプロジェクトの成功を視野に5億SEK(5億クローナ/66億円) を投資する。今回の実証区間は、北極圏に近接するスウェーデン北部・パヤラ市のカウニスヴァーラ(Kaunisvaara)と、ピトカヤルヴィ(Pitkäjärvi)間の160キロメートルの道路区間で昨年の冬期から行われている。
成功すれば化石燃料を100%使用しないカーボンフリー輸送が実現する
同社では通常、この区間はディーゼルエンジンを搭載した大型トラックを使用して鉄鉱石を輸送しており、その場合は30台の90トンのセミトレーラーが24時間体制で稼働する。今後は、これを重輸送用のBEVトラックに切り替える構え。これが成功すれば同区間に於いては化石燃料を100%使用しないカーボンフリー輸送が実現する。
当地は先の通り北極圏の近接地域であり、ここで稼働するEVトラックはマイナス30度超の極寒地で稼働させなければならないが、ボルボトラックスのFMXエレクトリックトラックは、同環境下での初回の実証テストを乗り切った。
この取り組みについてカウニス・アイアン社でロジスティクス部門を担うラース・ウォールグレン氏(Lars Wallgren)は、「当社の目標は、2025年迄に化石燃料を100%使用しない輸送を実現する事です。
極寒の地の鉄鉱石輸送はBEVトラックにとっては想像を絶する難関
私たちは現在、大型BEVトラックを活用してこの目標を達成するべく懸命に取り組んでいます。このプロジェクトが成功すれば、現在の生産量で年間約1万5,000トンの二酸化炭素排出量を削減できます。
今回の実証テストの成功を受けて、次フェーズでは2023年迄に90トン規模での商用実証を実現させていく計画です」と話している。
一方、2019年にBEVトラックの商用生産を開始したボルボ・トラックでは、「野心的なサステナビリティ目標を掲げた同プロジェクトに参加出来た事を大変光栄に思います。
カウニス・アイアン社の鉄鉱石輸送は、その輸送規模、極寒の気候など、BEVトラックにとっては想像を絶する難関です。しかし当社は電動トラックのマーケットリーダーとして、この計画を成功させるべく、今後も積極的に取り組んでいきます」と結んでいる。